概念アラカルト(その5) 概念研究家 五十嵐玲二談
20. 指数と対数 (exponet and logarithm) 大きな数を表す
大きな数を表すために、指数を使います。(以下は佐藤敏明著「指数・対数」により)
10 × 10 × 10 × 10 × 10 × 10 × 10 × 10 = 10⁸ = 1億 というように使っています。
次に、地球の重さは、5.97 × 10²⁴ Kg です。(本来は10の後にゼロを23個書くべきですが、省略します)
江戸時代の和算書の一つ吉田光由(みつよし)によって書かれた「塵劫記」(じんこうき)に、大きな数の命数法(めいすうほう)が書かれています。
10⁴ : 万、10⁸ : 億、10¹² : 兆、10¹⁶ : 京、10²⁰ : 垓(がい)、10²⁴ : 杼(じょ) …… とあります。
従って地球の重さは、5杼9千7百垓 Kg となります。
次の例はちょっと面倒ですが、面倒がっていては、数学を学ぶ資格はありません。面倒なことを簡単にするのが、数学なのですから。(偉そうですが、私の意見です)
「北半球から肉眼でも見られるただ一つの銀河系外星雲であるアンドレメダ星雲までの距離は、地球から200万光年といわれている。それでは、地球からこの星雲まで何m離れているか。」
1光年は、光が一年間で進む距離である。光は、1秒間に 3×10⁸ m進むことがわかっている。
一日は24時間で一時間は、3600秒で、一日は、2.4×10× 3.6×10³ = 8.64×10⁴ 秒です。
200万年は、2×10⁶ × 3.65 × 10² = 7.3 × 10⁸ 日です。
したがって、この三つを掛け合わせると、3×10⁸ m/秒 × 8.64×10⁴ 秒/日 × 7.3 ×10⁸ 日 = 1.89 × 10²⁴ m です。
つまり、約18.9垓Km離れていることがわかります。(ここで、指数部分の計算は足し算になって、いることが重要です)
次の例は、西洋(世界標準)での大きな数と小さな数です。
10、da、デカ ; 10²、h、ヘクト ; 10³、K、キロ ; 10⁶、M、メガ ; 10⁹、G、ギガ ; 10¹²、T、テラ ; 10¹⁵、P、ペタ ; 10¹⁸、E、エクサ
このように、10の三乗ごとに、名称があるため、1,000,000というふうにカンマを打ちます。
10⁻¹、d、デシ ; 10⁻²、c、センチ ; 10⁻³、m、ミリ ; 10⁻⁶、μ、マイクロ ; 10⁻⁹、n、ナノ ; 10⁻¹²、p、ピコ ; 10⁻¹⁵、f、フェムト ; 10⁻¹⁸、a、アト となります。
指数法則と対数の関係
10² × 10⁴ = 10⁶ 2³ × 2⁵ = 2⁸ これらを一般化すると
aのm乗 × aのn乗 = aの(m+n)乗 すなわち、指数部分は足し算になります。
8=2³ は log₂8=3となり、10000=10⁴ は log₁₀10000=4 これをlog、対数(ロガリズム)と呼びます。
これを一般化すると
M = a のp乗 は、logaM = p と表せます。 これを言葉にすると、Mはaの何乗か イコール p です。
logaM : aを底とするMの対数、M : logaMの真数 と言います。
対数の3つの性質
logMN = logaM+logaN すなわち掛け算 MN が足し算 logaM+logaN になります。
logaM/N = logaMーlogaN すなわち割り算 M/N が引き算 logaMーlogaN になります。
logaMのk乗 = k logaM すなわちMのk乗がlogaMのk倍になります。
化石の年代測定について、考えてみます。
発見された、マンモスの体毛に含まれる炭素のうち、放射性炭素14Cの割合は1.320×10^(-13)であった。
放射性炭素14Cは半減期5730年で14Nにβ崩壊する。大気中の二酸化炭素に含まれる炭素のうち、放射性炭素14Cが占める割合は1.200×10^(-12)であり、この割合は時間の経過に関わらず一定である。
1.32×10⁻¹³ ÷ 1.2×10⁻¹² = o.11 (Y年経過後の14Cの12Cに対する率 / マンモスが生きて時の14Cの12Cに対する率)
半減期は、5730年で半分に、5730×2年で1/4に、5730×3年で1/8になります。
すなわち、経過した半減期をN回とすると
log[1/2]0.11=3.184
したがって、マンモスが生きていたのは、
5730×3.184=1.82×10⁴年前、 すなわち、1万8千年前です。 (第5回)