バスは好きな乗り物だ。
うちの前を通るバスは、元町、中華街、日本大通り・・を通って桜木町まで行く。
バスに乗っていると、いろいろな話が耳に入ってくる。
乗っているのは、老人、子連れ、がほとんど。
その日は、いつにも増してバスは混雑していた。
バス停を2つ3つ過ぎると立っている人でいっぱい。後部席に座っていた私からは、ほとんど前の方は見えない状態。。。
急に、前の方でザワザワした気配と怒鳴り声が。
途中から乗ってきた年配の女性が、老人席に座っていた人を立たせて自分が座り、「あっち行ってー!!」とか「ウルサイ!!」とか、ワアワア大声で言ってる。
すると、
「そんなことしちゃダメでしょっ!」というキッパリした、これも年配のご婦人の声。
知り合いではないようだが、叱っているのだ。
またしても、
「あっち行けーっ!」と「ウルサイ!!」の声と同時に、バサッと何か物を落としたような、投げたような音がした。
すかさず今度は、
「何でそんなことするのっ!!」と、また別の女性の声。こちらも年配のご婦人である。
どうやら、その女性は、老人席の向かいに座っていた、2人の子供を連れたイクメンパパに難癖つけているようだった。
見かねた周囲にいるご婦人たちが、叱っている。
子供たちはまったくおとなしくて、聞こえてきたのは女性の怒声と、それを叱りつけるご婦人の声だけ。
「怒りボケ、なのかなぁ〜」と連れ合いと話しているうちに、バス停でその女性が降りていった。
のろのろと立ち上がり降りていく女性に、後ろから他の男性の「早く降りろよ!」と小さな声がかかる。
その女性が降りて、バスの中は、妙な一体感が漂う。
知らない人同士顔を見合わせて、何だったんでしょうね〜。。あれは。。??
すると誰かが
「あの人、この先の道を入った左に住んでるのよ」。
そっか〜、皆んな知ってるんだね〜。。。古い住宅街だから〜。。。
それからバスが元町入り口で停車して、数人のご婦人と、イクメンパパが降りた(私たちも)。
「ビックリしたでしょう〜?」とご婦人。
「驚きました」とパパ。乳母車に一人乗せて、もう一人は抱っこして、あらあら大変。
それで何事もなかったように、ご婦人もイクメンパパも歩いて行ったのでした。
ある日のバスの中の出来事。
どうということもないが、なんか、妙に心に残る出来事でありました。