東京での上映は終わってしまったけど、5月の終わりに、有楽町スバル座で「グランドフィナーレ」を観た。
よく行く渋谷ル・シネマでの上映を見逃して、どこか他でやってないか?と探したら有楽町スバル座、が出た。
有楽町で映画、ってすっごく久しぶり。
有楽町駅前の、その名も有楽町ビル(これも昔風で分かりやすい)2階にある映画館だ。
階段を上がった2階フロアには、飲食店やちょこっとした服装店、旅行代理店などがあり、昼下がりのこの時間帯は人影もない。。
う〜ん、ノスタルジック。。。。
窓口でチケットを買って、広い階段を上がると、そこは大きなガラス窓があるロビー。お約束の売店があり、バルコニーを背にして待合用の椅子が並んでいる。
ロビーの絨毯に窓から日が射し込み、その光の中に、過ぎた時の名残りが微睡んでいるような、懐かしい静けさが漂っている。
中に入れば真っ赤なシート(これは新しい、もちろん)、上映前の館内にはナット・キングコールの曲が流れている。
MORE、とか、Love Is a Many Splendored Thing(慕情のテーマ曲)とか・・・・
オープンが昭和21年というから(!)、懐かしいのも当たり前か。
そんな映画館で観た「グランドフィナーレ」は、原題が『Youth』。
アルプスの豪華な高級リゾートホテルを舞台に、引退した著名な指揮者(マイケル・ケイン)、その親友の映画監督(ハーベイ・カイテル!=大好き!)を中心に、老境に入ってもなお続く人生への向き合い方を考えさせてくれる。。。。
エリザベス女王からの依頼を頑なに断る指揮者、一方、若いスタッフたちと自作品についての構想を練る映画監督。。。。
ラスト近くにジェーン・フォンダが、映画監督の昔馴染みの(蓮っ葉な)ハリウッド女優として登場(!)
やたら『shit!(クソよ!)』を連発する彼女の言葉に傷付いてかどうか??監督はバルコニーから(いとも気楽に?)飛び降りてしまう。。(可哀想なハーベイ・カイテル。。。)
監督はパオロ・ソレンティーノ。イタリア、スイス、フランス、イギリス合作の映画は、年寄りが主役のものが多い。
世界中の団塊世代が年取ってきて、特にヨーロッパ映画には、昔の俳優が出演するいい映画がいっぱい。
単館上映の名画座がどんどんなくなって、映画館といえばシネコンだが、私はこじんまりした映画館も大好き。
ひっそりと静かに、懐かしく、目一杯その中に浸れる、そんな映画館で映画を見たいのであります。
「グランドフィナーレ」。。。終わっちゃったけど、いい映画だったよ。