絵画・写真・詩・パフォーマンス等を通して世界との向き合い方を問い続けているさとう陽子。
初めて彼女の作品を観た時からすでに20年近くになる(多分?)が、周囲へ向ける真っ直ぐな眼差しと自分自身への覚悟はずっと変わらない。
不要な線や面を省いて最小限の線と色とで構成した絵画や、普段の日常にある何気ない景色を切り取った写真、必要最低限の言葉を選らんで語る詩・・・彼女の作品を観るといつも、W.H.オーデンの詩「今日は頭を上げて 僕たち見ている・・・」という一節を思い起す(ここしか覚えてないのでありますが。。💦💦)。孤高を恐れず、妥協せず、美意識と精神性を高く保ちつつ、同時にこれまで以上に他者へ向ける眼は優しく柔らかくなってきているように思える。
今回の作品展のテーマ”愛でる”について、彼女は以下のコメントを書いている。
「私は周囲を見回していて、音楽や小説を味わうようには美術作品が生活の中に溶け込んでいないように感じることがある。
・・・中略・・・
美術という概念が入ってくる以前に日本人の美意識は生活の中にあった。こしらえとしての生け花や掛け軸、のちに民画や民藝と呼ばれるようになる品々・・・
けれど現在私たちは美術の概念と美意識とをごっちゃにしたまま作品をつくり鑑賞し続けている。・・・・・
私は日常の中で愛でられる作品をつくる。そして作品が生きていくことに静かに力を添えるものになる仕事をしたい。」
う〜む。「美術の概念と美意識をごっちゃにしたまま」か。。。これ言えてるよなぁ〜。。。自分自身がそうだもの。
「美しいものを見つづける
逃げではない
責めでもない
ひとつの覚悟として」
お正月に彼女がくれた賀状に添えられた言葉を時々取り出しては、ワタシも、私自身の美意識を問い続けることを忘れたくないと思うのでありました。
■さとう陽子 ”愛でる”
会期:2020年10月2日(金)〜10月11日(日)
時間:12:00-19:00(最終日は17:00まで。会期中無休)
場所:s+arts(スプラスアーツ)港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3F
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