会場に一歩足を踏み入れると、そこは、縦横に張り巡らされた赤い糸の部屋。。!
赤は、人と人を繋ぐ(運命の)赤い糸、あるいはドクドクと脈打つ血液の色の象徴。
絡まり、張り詰め、お互いに関係性を持ちながら、不安定でかつ緊張したバランスを保ちながら、部屋中を赤く染めている。。。
塩田千春の代名詞ともなっているインスタレーションは、絡まり、切れ、解ける、夥しい赤い糸・糸・糸・・・・・まずはそのスケールにガツッと心臓わし掴み!圧倒される!
赤い色に取り囲まれて感じる気持ちの高まりと、この糸はどうやって繋がって伸びて広がっているんだろう?何故?どうやって作りあげたの?スゴッ!!という素朴なハテナ。
インスタレーションはその現場で作品を仕上げていくのだから、この場所で、黒いワイヤーで組まれた舟型に糸を結びつけ、あちらの壁にピンで留め、こちらの糸と繋げ、引っ張りーー天井から壁、床まで、部屋一面を赤い糸で埋め尽くしていく、その作業を想像するだけでアタマクラクラ。。。
赤い糸に対して、焼けたピアノのある部屋では、ピアノと、並べた椅子、白いドレスの檻が、”死”を象徴する黒い糸で覆われている(黒い糸は”広大に広がる深い宇宙”でもある)。
この他、バスタブに座って延々と泥水を被り続けるビデオや、土や枯れ葉に覆われて地面に横たわる裸身の女性のパフォーマンス、天上から床までの大きな長いドレスに水が伝わって滴り落ちていく作品など、徹底して皮膚感覚を通した作品が多数。
ベルリンを拠点に活動をしている塩田千春は、パフォーマンスやインスタレーション、それに舞台美術と、ダイナミックな作品を発表している。
どれも共通するのは、どこか不安で、不確かな存在感を自分自身に繋ぎ止めようとする、あるいは確実なるものを求め続ける、その言葉にならない感情を表現している。
”人間の命は寿命を終えたら、この宇宙に溶け込んで行くのかもしれない。もしかしたら死は無と化すことでなく、何かに溶け込んでいく現象に過ぎないのかもしれない・・・”という、漠然とした死への感情に共振するのかもしれない。。。どこまでも、”かも知れない”なのではありますが。
会場の一角の部屋では、子供たち(小学校低学年くらいかな)が「たましいってどこ?」という問いに対してそれぞれが考えたことを答えるビデオが流れている。小さな子供たちの言葉は、シンプルなだけに余計に、心身と一体になった真髄に触れているように思える。
チラシには「たましいってどこ?」という言葉が小さく書かれているが、塩田千春さんが求め続けているテーマは、まさにこのシンプルな言葉に象徴されるのだろう。
それにしても、こんな年齢で、ワタシだったらなんと答えていただろう。。。?と思えるほどの深い言葉。。子供のうちから自分で考え、言葉にするーそういう教育を受けているのだろうな〜と、別の意味でもショックを受ける。
会場の六本木ヒルズ森美術館では、同時に「進撃の巨人展」(!)を開催中で、夏休みのこの時期、六本木ヒルズはそちら目当ての子供連れや若者で大賑わい。
圧倒されました!!の1日であった。
「塩田千春展ー魂がふるえる」は、六本木ヒルズ53F「森美術館」にて、10月27日(日)まで。必見!オススメ!です。
↓オペラ「松風」舞台の写真
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