前々回のブログ「真空管の反乱~続編~」の中で述べていた「WE300B」(1967年製)の寿命について、さっそく我が家の真空管の主治医「北国の真空管博士」からご連絡があった。
「画像を拝見しましたが、あの程度のゲッターがあれば十分です。安心して使っていいですよ。ただし、フィラメントの状態については真空管試験機でテストしないとなんとも申し上げられませんね。ついでのときに送っていただいたら測定して差し上げます。」
「ハイ、ありがとうございます。」
ということだったけど、ふとオーディオ仲間のNさん(大分市)が真空管試験機を持っておられる事を思い出した。たしか「HICOCKモデル533型」だったと思う。
そこで、さっそく問い合わせて「WE300Bの寿命をはかってもらいたいんですけどご都合はいかがでしょうか?」
「ああ、いいよ~。Gmならすぐに測れるよ」
「Gmって何?」
情けないことに、こういう方面はサッパリである(笑)。
ググってみると、
「真空管のGm(相互コンダクタンス)とは、真空管に電圧を印可した時に陽極電流がどのように変化するかを表す値です。真空管の増幅や検波能力を把握するために使用されます。」
Nさんによると「Gm × 真空管の内部抵抗 =μ(増幅率)」だそうで、内部抵抗は一定値なので、Gmが高ければ高いほど元気のいい音が出るということらしい。
え~い、この際だから手持ちの300Bをすべて測っててもらうことにした。
「WE300B」では「1967年製 1本」「1988年製 2本」
「エレハモ300B 2本」 「中国製300B 2本」「スヴェトラーナ 1本」
全部で計8本。
このうち「スヴェトラーナ」(ロシア)については思い出がある。
数年前のこと「スヴェトラーナ」は「WE300B」に優るとも劣らないという評判を聞きつけて2本購入したんだけど、音はまあまあだったけど1年も経たないうちに1本が故障して使いものにならなくなった。
やっぱりねえ~(笑)。ちなみに「スヴェトラーナ」はあの恐怖の独裁者「スターリン」(ソ連邦)の娘の名前ですね。
「スターリン」の独裁ぶりは際立っていたという。自分の地位が乗っとられるのを恐れるあまり、「当日の朝、アイツの笑い方が不自然だった」という理由でその日の夜に逮捕して粛清したというのだから恐れおののく(笑)。
それはさておき、一昨日(17日)の午後のこと、いそいそと大分市に向けて車を走らせた。いつも通り45分ほどで到着。
これが「HICOCK モデル533型」である。
慣れた手つきで操作をしていただいて、後は真空管を順次差し込んでいくだけとなった。
で、「300B」真空管の場合Gmの適正値は「3000~4000」だとされているが、総じて結果はガッカリ~(笑)。
3000に辛うじて到達したのは「WE300B」の1988年製1本だけで、他の真空管は軒並み「2500前後」だった。まあ、廃棄処分するほどのことはないけど、十分な状態ではないようだ。
なにしろ「1967年製」なんか、50年以上も前の製造だから長期にわたって管内の真空度が自然と落ちてきても当然だよね~。
ということで、ま、いっか~(笑)。
そこで、ふと思い出したのが昔のオークションに出品されていた「WE300A」。
おそらく100年ほど前の製造だと思うが、落札価格はたしか160万円前後だったはず。ガラス管の内部の真空度の高さを表すブルーの輝きが何とも妖しい雰囲気を醸し出しているが、はたして無事に稼働しているんだろうか・・。
当時は真空管の部品に現在では使用禁止となっている「放射性物質」を使っていたという ”まことしやか” な噂があるが、丈夫で音さえ良ければなんでもよろし~(笑)。
とまあ、以上のような顛末記でした。
今回の反省点として「出力管」よりも「整流管」の寿命の方を測ってもらった方が正解だったかな~(笑)。
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