中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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「あり余る選択肢の中から選べますか?」

2015年06月24日 | コンサルティング

 「選択の余地があるわけじゃないし・・・」

大学受験や就職、果ては結婚?に至るまで、幾度となく人生の節目で使ってきたこのフレーズ。「選択の余地がある人はいいよね!」という願望の裏返しだったと思います。

でも、この「選択の余地」、あればあったで「沢山あり過ぎて選べない」ということもあるようです。

コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の「買い物客とジャムの研究」をご存知の方も多いと思いますが、店頭で6種類のジャムをそろえた時は買い物客の40%が、そして24種類の時は60%の人が試食に立ち寄りました。しかし、売り上げで比較すると4種類のジャムを売り場に並べた時と6種類のジャムを並べた場合とでは、後者の売り上げは前者の10分の1だったそうです。このことから、必ずしも選択肢が多ければいいわけではないことがわかります。では、いったいなぜそんなことが起こるのでしょうか?

豊富な品揃えはお客を引きつけることはできても、いざ購入するとなると多くの選択肢がある場合には、かえって選択することができなくなってしまう。つまり、選択肢が多ければよいというものではないということなのです。

我々は仕事を始め日々の生活の様々な場面で、常に選択を重ねているわけですが、この話を聞いてなかなか大切な決断ができないという、これまでの自分の人生を少しは肯定されたかなという気持ちになり、幾分安心しました。

選択の際に選べることが多すぎると、かえって選べなくなってしまうということはこれまでの経験でも十分にうなずけるものだと感じます。

ところで、先日この選択に関して思いがけないビジネスが最近ヒットしていることを、あるテレビ番組で知りました。

商品の選択を自分で行うのでなく、プロの目利きに委ねる新たな消費スタイルが今、人気ということです。

自分の代わりにプロのスタイリストが服を選ぶサービスや、書店の店主がおススメの本を1万円分選んで顧客に配送する「1万円選書」も何と400人待ちの人気の状態だそうです。

ある大手のショッピングサイトには何と1億8,000点もの商品が紹介されているそうです。あまりに選択肢が多すぎてその中から自分が本当に欲しいものを選ぶことができないため、選択指南をするサービス、つまりは目利きの需要が増えてきているのだと思います。

モノと同じように情報も氾濫する中で、自分が本当に欲しいモノや必要とする情報を自ら選ぶことができない人が相当数いるということなのでしょう。

「自ら何かを選ぶ」ことはその結果に自分が責任を持つという意味でも大事なことです。選ぶ過程で迷ったりすること自体が楽しみであったりもしますが、それを思い切って他人に委ねてしまう。それが結果的にベストな選択になっているのかもしれませんし、一方で楽しみを自ら放棄しているとも言えます。

そのどちらかを「選ぶ」にしても、それをするのは紛れもない自分だというところが面白いところですね。

それにしても目利きの代行、本当に思いがけないところにビジネスのチャンスがあるものです。

(人材育成社)