中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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「お宅ですか?クレームの人は?」

2015年06月10日 | コンサルティング

図書館の人 「お宅ですか?クレームの人は?」

私「えっ?クレーム?・・・」

これは、数年前に実際にあったやりとりです。

その図書館では度々本を借りているのですが、自分が借りたいと思う本をパソコンで検索すると、「該当がありません(その図書館では保有していない)」という表示が出ることが多かったのです。

一方、友人が住んでいる市の図書館には同じ本があるということが何度かありました。私が借りたいのは特別にマニアックな本でもないし、高価な本でもないのに・・・どういう基準で本を買っているのかなと気になっていました。

そこである日、本を返却する時に思い切って職員に質問してみました。

私「本を購入する時の基準は何かあるのですか?実は借りたいと思っている本がないことが続いています。友人が住んでいる○市ではそれらの本があったので、こちらの区の図書館で本を購入する時の基準を知りたいと思ったのです」

カウンターの中にいる女性職員は少し首を傾げた後に、「確認します。少々お待ち下さい」と言って、その場を離れ電話をかけ始めました。その後、「確認にしばらく時間がかかります」とのことだったので、「では、私はあちらで本を読んでいますので、わかったら声をかけていただけますか?」と言ってその場を離れました。

それから15分位経った頃に、近づいてきた中年の男性職員(カウンターにいた女性職員の上司と思しき人)が私にかけたのが冒頭の言葉なのです。

図書館の人 「お宅ですか?クレームの人は?」

私「えっ?クレーム?・・・」

その言葉を聞いた瞬間、自分の気持ちがとてもザワザワとしたのがはっきりとわかりました。クレームという言葉と男性の表情がとても迷惑そうだったからです。

そこで、

私 「クレームではありません。私はこちらの図書館が本を購入している時の基準をお聞きしました。クレームではありません」

図書館の人「・・・」「すぐにはわからないので、後日連絡をします」

何ともしっくりしない気持ちのまま、その場を離れましたが、このやりとりを経て改めて思うのは、クレームでも何でもない問い合わせや意見などまでも一緒くたにクレームにしてしまう人がいるということです。

 クレームとは「苦情を伝えたり、回復を要求する」ことで、サービスや情報などわからないところや知りたいことを確認する「問い合わせ」とは明らかに異なります。

日頃、本来の意味のクレームで苦労されていると顧客(市民も含む)からの声は、ついクレームのように聞こえてしまうのかもしれません。今回のケースのようなことがあると本来問い合わせであったはずのものが、それこそクレームに発展してしまいかねません。

仮に少々きつい言い方をされたとしても、実は内容をよく聞いてみれば決してクレームには当たらないと言ったケースも多いのではないでしょうか。

顧客対応の際には、先入観を持たずにじっくりと話を聞いてみる。また、その際にはいやいや対応しているのではなく、真摯に話を聞くという態度(非言語)も大事でしょう。

実際にはなかなか難しいことかもしれませんが、まずは意識して腰を据えて向かい合うことが大切なのだと思います。

「お宅?クレームの人?」、時間の経った今でも時々思い出しますが、お互いに不愉快になることはできるだけ避けたいものですね。

(人材育成社)