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「獺祭」(だっさい)最下位からトップへ

2015年06月03日 | コンサルティング

獺(かわうそ)+祭り=「獺祭」

「獺祭」(だっさい)という名前のお酒をご存知の方、多くいらっしゃると思います。

この獺祭、今や我が国を代表する日本酒の一つで、先日、安倍首相が訪米した際の夕食会で乾杯にミシェル夫人が用意した獺祭が使われたそうです。

蔵元の旭酒造のホームページでは、獺祭が飲むことができるお店や購入できるお店が紹介されていますが、知り合いの話によると、実際には取扱い店であってもなかなか手に入れることができない状況のようです。

既に世界20か国にも輸出され、パリの有名店にも置かれるくらい、いまや世界を股にかけるほど人気になっているお酒なのだそうです。

これほどの人気ですので、最近では蔵元の旭酒造株式会社が数々のテレビ番組でも取り上げられています。つい2週間ほど前にはNHKの「知恵泉」の中でも旭酒造社長の桜井博志氏が出演されていました。

今でこそ知らない人はいないのでは?と思うくらいの獺祭ですが、ここに至るまでの道のりは苦労の連続だったそうです。

桜井氏が社長になったのは、今から30数年前のことだそうですが、当時は過疎化が進み、マーケットが縮小。売り上げは年々悪化の一途をたどり、桜井氏はその頃のことを恐怖の数年間だったとおっしゃっていました。

そういう大変な時期の中で一念発起し、価格競争に走るのではなく純米大吟醸の製造に特化したそうです。

さらに、それまでの常識を覆し、杜氏をおかずに社員による製造を試みて、杜氏の経験に頼るのでなく、社員が正確なデータに基づいてお酒を作ることを目指したとのことです。そして、この結果、一定の品質を保つことができるようになり、まさに、苦境を逆手に、そしてばねにして進歩したと言えると思います。

また、桜井氏は「最下位だからこそできる。状況が悪いからできる。成功するチャンスがある。その秘訣は何でもやること。勝ち組は一定ではなく、いずれ変わる。」ともおっしゃっていました。

最下位だからこそいろいろなことができる。状況が悪いからこそできる。チャンスがある。案外そんなものかもしれません。状況が悪いと、つい「今は状況が悪いから」と決断を先送りしたくなることがありますが、思い切って動いてみる、やってみることが大事なのでしょう。

さらに、桜井氏は「広告宣伝費よりも社員にお金をかけること、自分が得るのではなく社員に与える方が先」と考えているとのことで、それも社員のモチベーションのアップに、ひいては会社の業績アップにつながっているのだと思いました。

ところで、皆さんは「獺祭」の意味をご存知でしたか?改めて辞書を引くと、川獺(カワウソ)が捕まえた沢山の魚を食べる前に並べておくことで、転じて詩文を作る時に多くの参考書を広げて散らかすとの意味です。

普段はなかなか口にできない獺祭ですが、今度飲める時にはこのうんちくを披露してみてはどうでしょうか。

(冒頭の写真は旭酒造株式会社のHPより)

(人材育成社)