「ブルーボトル日本開店おめでとう。西海岸で飲む、いつもの味。僕にとって新鮮みがないことが、成功の証だと思う。 」これは今年の2月にジャーナリストの松村太郎氏がツイートし、ちょっとした炎上を起こした文章です。このツイートに対するリプライは、「ネット原住民」による意識高い系の人間に対する揶揄に満ちていました。
意識高い系とは、「もともと学生主体の就職活動イベントなどの謳い文句が『意識の高い学生たちが集まるイベントです』であったことから、これを揶揄するようなかたちでネットで使われ始めた。つまり、学生の就活にまつわることばなのだが、それが現在では一般にも使われるようになっている」※とのことです。
意識高い系の人たちの特徴を以下に示します。
1. ビジネス用語や横文字をよく使う(スキーム、アジェンダ、クラウド等)。
2. 積極的に問題を提起しない人間を下に見て、啓蒙しようとする。
3. 努力を過度にアピールする(俺、もう3日も寝てないし)。
4. プロジェクトに少し関わっただけでも自分の実績としてアピールする。
5. 自己啓発を好み、スティーブ・ジョブズの伝記やビジネス書を愛読する。
6. 仕事してる感を出すため、スタバなどでMacbookを使って仕事をする。
7. 無駄にグローバル志向で、むやみに国際的な視野を持ちたがる。
8. 人脈づくりに熱心。SNSのフォロワー数を自慢する。
・・・たしかに、ちょっと(かなり)うざい感じがします。そのせいか、ネットではからかわれることが多く、その発言はよくこき下ろされています。
しかし私は、意識高い系は嫌いではありません。少なくとも、陰で悪口を言ったり嘲笑したりする連中よりも、はるかにマシです。いや、むしろ「がんばれ!」とエールを送りたい気持ちです。
さらに、常にポジティブに考え行動しようとしてる点については、学生よりも社会人の方が見習うべきだと思います。日本の社会は「空気を読め」という言葉があるように、「同調圧力」が強く、目立つことや他人と違うことに対して必要以上に厳しいからです。
毎年新人研修で多くの若い人たちに接していると、「もっと自分を出しても良いのでは」と感じます。中味がないのに自己演出をする者も多少はいますが、最近の新入社員は本当によく勉強しています。「中味が詰まっている」人が多いのですから、もっと自己主張してほしいと思います。
それに、ネットで文句ばかり言っている連中の圧力に負けていては、グローバルな競争には到底勝てません。なにせ、日本の貿易相手国のランキングトップ3は、アメリカ、中国、韓国という「生まれついての意識高い系の国々」なのですから。
さて、残念ながら意識高い系の人たちは徐々に減ってきているようです。ネットでさんざんバカにされてきたせいか、最近はあまり見かけません。
ここで意識高い系の、特に若い人たちに提案ですが、いっそネットでの発言をすべて英語にしてはどうでしょうか。日本語で揶揄する人たちに対しては「英語ができなくて可哀そうだね」と言ってあげればよいのです(もちろん英語で)。
もし意識高い系でいることに不安を感じたら、是非一度どこかの社会人大学院をのぞきに行ってみてください。中年になっても意識高い系の人たちがたくさんいます。そして、彼らが実際に社会の第一線でバリバリ活躍していることを確認してください。
がんばれ、意識高い系!
※「『意識高い系』という病」 (ベスト新書) 新書 、2012年、常見陽平 (著)
(人材育成社)