中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

店員の案内が速すぎて、ついていけない

2016年10月12日 | コンサルティング

私 「S字フックの売り場はどこでしょうか」

店員 「(店舗案内図を確認しながら)ご案内いたします」

これは先日、私が訪れたあるホームセンターでのやりとりです。このやりとりの後、男性店員は売り場に案内するために、私の前を歩き始めました。

ところが、その男性店員は歩くのが非常に速く、何度か通路を折れた段階で姿を見失いそうになってしまいました。

直線の通路になると、30メートルくらい先を歩いているのが見えます。彼は何度かこちらを振り返りましたので、私がはるか遠く遅れているのは確認できたはずです。しかし、歩調を緩めようとはしません。

私は学生時代は短距離走が比較的得意でしたが、この時は重い荷物を持っていたせいか、思うように走ることができませんでした。それでも、何とかフック売り場にたどり着き、男性店員は案内を終了し、私の元を離れました。

道中、私は店員の背中を必死に追うことになったわけですが、追いかけながら内心思いました。「急ぎの用でどこかに行こうとしているところに、私に売り場を尋ねられてしまったのかな?急いでいたのなら、売り場は何番の柱のところですと案内してくれれば、それでよかったのに」と。

このように大変な思いをして、ようやくS字フック売り場にたどり着いた私ですが、残念ながら希望の品物がないことが確認できたので、すぐにその場を離れたところ、先ほどの店員が同僚と前を歩いているのです。忙しいところに私に声を掛けられてしまったので、大急ぎで私を案内したのかなと想像していたのですが、何と同僚とのんびり歩きながら談笑しているのです。

つまり、彼は別に急いでいたわけでもなく、また私の歩くペースに気づきながらも、どういうわけか自分のペースで歩き続けたわけです。

営業のコンサルティングを行う中で、営業パーソンが顧客の希望を確認せずに、一方的に商品の説明をするような場面を目にすることがありますが、まさに私自身が同じような場面に遭遇したわけです。

営業の場合は、顧客の状況を無視して一方的に説明をしたり、案内したりすることは、顧客を無視した対応と言えるわけです。この店員の場合は別に急いでいたわけでもないのに、この対応は一体どういうことなのだろうと思ったのでした。

私は、このホームセンターには何度も訪れていますが、これまでの印象は店員教育が行き届いていて、満足度が高い店だと感じていました。今回、たまたま対応が悪い店員に遭遇したわけですが、ほんの1回のこの出来事によって、店舗全体の印象が一気に悪くなってしまったような気がします。

よく顧客の営業パーソン(店員)に対する印象は、良いことは個人評価、悪いことは全体評価をされるといいます。これは良い印象に対しては、「あの営業(店員)の対応はよいね」と個人を評価します。反対にたった一人の営業(店員)に対してのマイナスの印象であっても、「あの営業(店員)の対応はよくないね」とはならず、「あの会社(店)のサービスは悪い」と全体で評価されてしまうという例えです。

たった1人のちょっとした気遣いに欠けた行動が、お店全体の印象を悪くしてしまったという意味で、今回の私の体験は、まさにこの話に該当する事例そのものだと思います。

それにしても、彼は一体なぜ走るような速さで私を案内したのでしょうか?

もしや、競歩で東京オリンピックへの出場を目指しているのかな?などと冗談で思いましたが、何しろ理由を聞こうにもなかなか追いつくことができないでしょうから、当分は謎のままになりそうです。

(人材育成社)