社長 「ボーナス?出せるわけないでしょう」
インタビュアー 「えっ!出るではなく、出せるわけない?」
社長 「あっ!私、経営者だから。ボーナスを出す方なの」
これはリーマンショックの年の瀬の街頭インタビューで、ある中小企業の社長が発した言葉です。3分間ほどのインタビューだったそうですが、この言葉にインパクトがあったためか、ここだけが切り取られてテレビで放映されてしまったとのことです。
そして、それを運悪く?メインバンクの担当者が見ていて、後日お呼びがかかったそうです。「何であんなことを言ったんですか、まるで銀行がお金を貸さないみたいではないですか。そもそもボーナスが出せないほど、お宅は大変ではないでしょう」とお叱りを受けてしまったとのことです。
あとでこの社長は「インタビューされた内容をすべて放送してくれれば誤解されることはなかったけれど、そこだけを放送されてしまったので、少々面倒なことになってしまいましたよ(笑)」と話してくれました。
実はこの放送のときだけでなく、この社長は会社の取り組みや社長が仕事以外で取り組んでいること、趣味にしていることなどについて「ガイアの夜明け」をはじめ、テレビやラジオ・新聞などのマスコミで過去に何度も取り上げられています。
そこで、「そんなに何度も取材依頼があるのはなぜなのでしょうか」と質問したところ、次のように答えてくれました。
「それはね、私が「持っている」からでしょう(笑)。つまり、私がちょっと変わっているからでしょうね。だから、向こうから取材に来てもらえるのです。マスコミで取り上げてもらえれば会社の宣伝にはなりますから、有り難いことだと考えています。でも、何もしていなければ取材を受けることはないわけです。だからいつも種まきをして取材に来てもらえるように発信しています。それが大事なのです」とのことでした。
確かにこの社長の話を聞いていると、彼は常に先を見据えて、新しい市場をどのように開拓するかなどのマーケティングの視点を持っていらっしゃることがわかります。
さらに、仕事だけでなく趣味の範囲もとても広く、テニス、ダイビング、噺家、生け花、海外に出張する際はフルートを持参して飛行機の中でも「エア」で練習しているそうです。
そのほかにも、話題の映画を鑑賞したり大学祭にも毎年出かけたり、もちろん家族との時間もとても大切にされています。
つまりは、すべての時間をとても楽しまれています。こうした時間を仕事の肥やしにして社長としても忙しく仕事をし、活躍されていらっしゃいます。
中小企業の経営者には、できないことや足りないことばかり挙げる方もいます。そういう中、この社長はいつも前向きに、「何を、どうしたらできるか」を考えていて、お会いするたびに「中小企業だからこそ、できることがたくさんある」ということを強く感じさせていただいています。
現在、この会社は業績も好調で嬉しい悲鳴をあげています。今後もこの社長の活躍から目が離せません。