「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「新人をはじめ、若手社員の成長欲求が高い」
これは、最近の若手社員の特徴を表現する際に使われることが多い言葉です。
私自身も、弊社が若手を対象にした研修を担当させていただいた際に、同様の言葉が異口同音に発せられているのを何度も聞いています。また、まだ入社前にもかかわらず、内定者が「仕事に直結する知識やスキルを身に付けたい」と人事担当者に直接問い合わせをするケースも聞いています。
新年度がはじまり、多くの企業では新入社員研修が本格的にスタートしています。前述のような状況を踏まえプログラミングを学び各自でオリジナルのアプリを作ったり、メニューの一つとしてNPOに参加させたりするなど、成長実感を得られやすいように研修内容の工夫をしているところも多いようです。また、新入社員研修のみならず若手社員の研修に投資する額を従来よりも強化しているところも増えています。
企業が若手社員の教育に様々な施策を取り入れる背景には、少子高齢化により22歳人口だけでなく働き手全体の不足という問題が顕在化してきていることがあります。自社の魅力度を高め積極的にアピールすることで若手をできるだけ採用したい、また採用した人が途中で退職することを極力抑えたいという考えがあるようです。
そのように考えると、成長実感を得られやすくするために従来とは異なるメニューを新入社員研修に取り入れることは、こうした課題を解決する一つの手段として有効な方法だとは思います。
一方で、研修で得られる知識やスキルは、原則論であったり既に答えが用意されていたりというケースもあり、実際にそれらを実務上でしっかり使いこなせるようになるためには、裏付けとなる経験をしっかり積んだ上で、自らのものにしていくための努力が不可欠です。つまり、知識やスキルは短時間のうちに学んだり・練習したりするだけで、すぐに身につき役に立つというものではなく、それだけでは成長にはつながらないということです。
経験を積んでいく過程では、大なり小なりの問題・課題が発生しますから、その都度、それらを解決していく必要があります。その中ではコミュニケーションを駆使して交渉したり、折衝したり、ときには譲歩をしたりするなど、他者と協力し合って時間をかけて一つのことを成し遂げるステップを踏むことになります。その一つ一つこそが成長の糧となり、そこではじめて自身の成長ができるのではないでしょうか。
社員が自らの成長を実感できるということはとても大切なことです。そのために、過去にはない新入社員研修をメニューに取り入れた組織に入社した新入社員は、ぜひ研修に前向きに取り組んでもらいたいです。しかし、同時に研修で学んだことは実務で活用することによってこそ身につくものであること、そのためには様々な経験を時間をかけて積む必要があり、それによって成長が実感できるのだということを、ぜひ念頭に置いてほしいです。
また、研修を提供する人材育成部門の担当者には、新入社員研修で成長実感を得られる研修を提供したからといってそれがゴールではない。今後も組織としてじっくり時間をかけて継続的に育成していくことが大切であるということを肝に銘じていただきたいと考えています。