中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,235話 サービスを提供する側の神髄とは

2024年10月09日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「このイクラは逆さにしても粒が落ちない。日本ではここでしか食べられない。また、このネタは日本で5%しか食べられないから、食べないで死んでしまう人がほとんど。それだけ珍しくて美味しい」

これは、私が年に何回か行く寿司屋の大将が寿司を説明する際の言葉です。都心から1時間ほどかかる町にあるのにもかかわらず遠方からも足を運ぶ人が多いかなりの人気店であり、さらに10数席しかないということもあり、予約が取りにくい店です。

この店では、寿司ネタが大きいことにまず驚かされるのですが、それ以外にも仕入れから客に寿司を提供するまでの細部にわたる大将のこだわりが特色と言えます。私がいつも驚かされるのは、寿司を出す際に、このネタはどこの海で取れたものかだけでなく、最近は温暖化により魚が獲れる場所や漁獲量にも影響が出ていること、さらに調理や味付けなどについても大将の微に入り細に入った説明があることです。その説明は長い時には3~5分くらいになります。

テーブルに寿司が置かれると、女将から「これから大将が寿司の説明をしますので、しっかり聞いてください」と声がかかります。私たち客は大将の熱のこもった説明に驚いたり唸ったりしつつひたすら傾聴して、その後に寿司をいただくことになるのです。説明を聞いた分、それぞれの寿司ネタの貴重さや有難み、そして何よりその味に納得することができるわけです。

話は変わりますが、私たちはオンオフを問わず様々な企業などからの売り込みのダイレクトメールや電話を受けたりします。こうしたセールスを歓迎してはいませんが、たまたま関心があるサービスやモノのセールスの連絡が来た際には、試しにセールスポイントやその会社のことを質問してみることがあります。

しかし、ほとんどの場合相手のセールスパーソンは端的に説明することができないのです。きちんとした説明ができないだけでなく、中には「最近入社したばかりなのでよくわかりません」や「そういう質問は想定していなかったのでわかりません」、さらに「新人研修の一環として電話をしていますので、わかりません」など、正直すぎる返答をされることも少なくないのです。こうした対応ではサービス検討以前の問題と感じざるを得ないことから、購入にまで至ることはまずありません。

そうした観点で考えると、先述の寿司屋の大将はおいしい寿司を出すのはもちろん、そのためにネタにこだわり、そしてその良さを顧客に理解してもらいやすいように、できるだけ定量化して論理的に説明をしてくれるのです。これは、客に新鮮なネタを満足して美味しく食べてほしいという寿司職人としてのプライドのあらわれであり、サービスを提供する側の神髄を見ているような気にすらなります。

モノやサービスを売るということは、決して簡単なことではありません。しかし、何よりセールスパーソンが熱い気持ちを持って、顧客にわかり易く伝えることができなければなければ顧客の気持ちを動かすことはできないわけです。

そのためには、この大将のようにプライドと熱い気持ちを持って工夫し努力することが欠かせないのではないかと、大将の寿司を食べるたびに思うのです。

という本ブログを書いていたら、近々またこの寿司屋に訪れたい気持ちになりました。(残念ながら予約は簡単にはとれませんが)

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