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第971話 オンライン会議は「酸欠」になる

2020年11月08日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

ずいぶんと昔の話ですが、役員や管理職も参加する会議での出来事です。ある係長(30代後半)が新しい販売促進案について発表する番になりました。自信満々で話し始めて5分程経ったときに、隣に座っていた上司(課長)に耳打ちされました。「おい!空気を読めよ!」

当惑した係長はしどろもどろになり、後半は説明も曖昧になって「何が言いたいのかわからない」状態で話は終了しました。どうやら、核心となる具体案を「事前に関連部署の部長に説明していなかった」ことが原因だったようです。

「空気」とはその組織(または集団)が暗黙のうちに了解している事柄、習慣、考え方などです。この会議では、上位者(課長、部長、役員など)に対する発言や提案は、暗黙のうちに「了解が得られている」ことが前提なのです。つまり、事前に了解を得ておく必要があったのです。したがって、「そんな話、聞いていないぞ!」と上位者が思ったらそれはルール違反、つまり「空気を乱している」わけです。

ところが昨今のオンライン会議ではこうした空気が醸成できません。もちろん、管理職や役員クラスだけの会議ならば、なんとか空気を作ることが出来ます。しかし、中堅、若手社員が加わるともうダメです。

「オンライン会議って、酸欠になりそうだよ」先日、ある中小企業の経営者がそう言っていました。「酸欠」とは、モニター越しの部下の表情を見ていると、自分の言葉が伝わったのかどうか自信が持てないのでつい多くしゃべり過ぎて疲れる、という意味です。空気を使えないので仕方がありません。

同じ空間を共有するリアルな会議では、あまり多くの言葉を使わなくても「空気」が雄弁に語ってくれます。その意味でも、オンライン会議は空気=酸素がほとんどないのです。

これは仕方のないことです。経営者は、オンライン会議については「無酸素」であることを認識するべきです。そのかわり、明確に言葉で伝えようとしない参加者は次回から参加させないでください。そして、参加しなかったとしても会議での決定事項には従ってもらうことをルール化してください。

この無酸素会議(ネーミングは息苦しいですが)、思い切ってやってみると意外と大きな成果を得ることができます。空気がないのですから発言もシンプルかつダイレクトになります。意思決定も早く、より具体的になります。

しかも、リアルな会議が再開されたときに、参加者が皆イキイキとして以前より多く発言するようになります。「空気を読む」のではなく「空気を吸う」ようになるからです。

人と人が同じ空間を共有する場の「空気」はとても大切です。だからこそ、「空気」を忖度や同調圧力の道具にしてはいけないのです

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