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IMジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

駅前ファストフード店

2012-11-19 08:38:13 | 日記
 土曜の夕方、山奥のゴルフコースで雨に濡れながら小さな白球を追いかけて1日を過ごした私は、くたくたになりながらも、湘南あたりの、ある駅前に降り立った。その夜、高校時代の同窓会があると知らせを受けていた。
 ゴルフ場からその駅前まで、クラブバスと電車を乗り継いで来たのだが、同窓会までは、まだ一時間半もある。雨の中をぶらぶらとしたあげく、結局駅前のファストフード店に入り込んだ。私が高校に入学した頃に開店した、このあたりでは既に老舗の店舗である。
 割とゆったりとした作りの店内に落ち着くと、急に睡魔が襲ってきた。眠い頭で周囲を観察してみると、私が若かった頃とは異なる客層であることにじわりと驚きがやってきた。
 この年になると、そもそもお客様を訪問する際の待ち時間調整以外でファストフード店に入るのは珍しい。そんな時でも近くにオールドスタイルのいわゆる喫茶店があればそちらを選ぶ。そんなわけで土曜のしかも夕方という時間帯に利用することなど、ほとんど皆無に等しい。

 女子が多い。女子と呼べないほどご高齢のご婦人方もいる。彼女たちは、一人、または数人で利用している。一人で来ている中学生のように見える女の子は何か勉強しているようだ。明らかに母娘というペアもいる。男子は見回して確認してみたところ私を入れてわずか4人。まあ私も男子というには程遠い年齢ではあるが。土曜の夕方だと言うのに男女カップルは一組もいない。
 私の記憶の中では、土曜の夜は男女ペアが街を闊歩し、どこに行ってもアベックばかりだったような気がしていた。このアベックという言い方自体最近ではあまり聞かない。avecと書く。英語のwithに相当するフランス語だ。何語でもかまわないが今時のアベックやカップルは、土曜の夜、どこで語らっているのだろうか。自分のことを棚に上げてしまうと、母と娘の二人でここにいる彼女たちの夫や父である存在の男性はどこで何をしているのだろう。ここで一人で勉強している中学生の家族は娘抜きで土曜の夜の食事を始めようとしているのだろうか。
 
 年令に関係なく、ここ日本では女性はもう好きな時に好きな場所にいることができる世の中になって来た、と誇らしげに言えるのかもしれないし、単に家族が人を引きつける引力が弱くなってきているのかもしれないと不安げに語ることも出来る。男女のペアが店内にいない状況を見ても、そのペアがやがて作り始めるかもしれない「家族」が力を失って来ているように思えてならない。
 ただ、婚姻と血縁だけが家族では無いと強く誰かに言われれば、確かにそうだと思わなくもない。特に何かあるわけでは無いけれどただ一緒にいるだけ、いつもそばにいるだけ。家族がそんな集まりだとすれば、土曜の夜にファストフード店に集まって静かに話していた女子の皆さんはこれからの新しい家族のあり方を着実に実現していたと言えなくもない。
 少子高齢化が進み、未婚の男女が増える中で、古い考え方に立てば身寄りのない孤独な一人暮らしの人々が急激に増えて行くという構図は避けがたい。しかし、血は繋がっていないものの、所属する組織団体や住んでいる地域が実は家族と同然であると考えて、その中で献身的に貢献しながら自分を磨いて行くことを生きがいにする人たちも増えて行くのだろう。女性客の目立つファストフード店を見渡してそんなことを考えていた。
 
 同窓会が始まる時間までに雨は止まず、1本の傘を二人で分け合う男女が駆け込んでくる姿を見ることもなく、私は店を後にした。(三)
 
 
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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
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