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アリとキリギリス?

 日曜の夜にTVのチャンネルをあちこち変えていたら、BS朝日で『いま世界は』という番組がやっていた。「木佐彩子だ、久しぶりだな・・」と思って見ていたら『ドイツ取材記者生電話!夢のユーロが危機に ギリシャ再建の最新状況は?』という特集が始まった。
 Q1.ギリシャ債務不履行の可能性は?
 Q2.最大の支援国、主役ドイツはどう出る?
 Q3.統一通貨ユーロ EU欧州連合のジレンマとは?
といった質問に記者が答えていたが、その中で幾つか面白い指摘がされていた。

 このところ報道されない日がないほどギリシャ問題は深刻さを増しているが、かい摘んで言えば『低貯蓄率(GDP比7.2%、ユーロ圏平均は約20%、アイルランド17%、スペイン19%)、高い財政赤字比率(GDP比12.7%)、2009年10月の総選挙による政権交代後明らかになった財政赤字水準の過少申告による国家的な粉飾の露呈』など、もう無茶苦茶な状況に陥っているギリシャが、デフォルト(債務不履行)すれば、ギリシャ国債を大量に保有する欧州金融機関のバランスシートが大幅に悪化し、金融不安や株価下落に繋がり、さらに、アメリカの銀行も海外に持つ債権の半分がヨーロッパ向けなので、ヨーロッパで信用不安が高まると、リーマンショックのような状況が再び起きる可能性があるとの懸念が広がっている、ということらしい。超円高もその煽りをくらったものだし、このところの株価の下落にも暗い影を落としているようだ。
 しかし、驚くべきことに、独ハンブルクの未来研究財団とブリティッシュ・アメリカン・タバコ社が実施した「幸福度」に関する欧州13カ国計1万5000人を対象とした世論調査で、「私の人生は幸せだ」と答えた人の割合は、ギリシャは第2位の80%であったというのだ。(ちなみに1位は福祉国家デンマークで96%)。3位は同様に財政危機の渦中にあるイタリア(79%)だったが、逆に欧州一の経済大国ドイツは61%と下から3番目だというからさらに驚きだ・・。PIIGSと呼ばれる、金融・財政部門の改善が自国の力のみでは達成出来ない可能性のあるヨーロッパの国々(ポルトガル (Portugal)、イタリア (Italy)、 アイルランド(Ireland)、ギリシャ (Greece)、 および スペイン (Spain))の国民の幸福感が高く、それらの国々に財政支援を行っているドイツ国民の幸福感が低いというのは、アイロニーでしかないだろう。ドイツ国民の中には、ギリシャ支援に反対する人も多いと聞くが、どれだけ国が危ない状況になっていても、呑気な気持ちで「自分は幸せ・・」などと思っていられる人たちのことを経済的に支え続ける必要があるのか、と疑問に思うドイツ人の気持ちも分からないでもない。まるでアリとキリギリスの寓話のようだ・・。
 だが、ドイツ自体が「ユーロ安」によって輸出産業が潤っているというのだから、「禍福はあざなえる縄」というか、とにかく表面的な事象を追っているだけでは、理解できないことも多い。 そう言えば、ドイツ人がギリシャを支えようとしているのに、ギリシャ人は素知らぬ顔をしている風刺マンガも番組では紹介されていた・・。

 経済に疎い私であるから、上の記事もあちらこちから引っ張ってきたものをまとめただけだが、この先どうなるのか不透明さが増しているのは、ひしひしと伝わってきた。袋小路に迷い込んだような現状を抜け出すための妙薬はいまだ見つかっていないようだが、このまま手を拱いている訳にもいかない。
 しかし、キリギリスのように朽ち果てるよりも、泥んこになりながらもアリのように生き続けたいと思う私は、エコノミックアニマルと揶揄された者たちの末裔だからだろうか・・。
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