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「秋刀魚の味」

 日曜日、自分の部屋のTVを点けたら、NHK・BSプレミアムで「秋刀魚の味」が放送されていた。毎週日曜の夜10時から始まる「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本 ·家族編」の中の1本であったが、TVを点けたのが遅かったため、終わりの30分ほどしか見ることができなかった。それでも何となくあらすじは分かったが、一応確認のために「goo映画」から引用してみる。

 『長男の幸一夫婦は共稼ぎながら団地に住んで無事に暮しているし、家には娘の路子と次男の和夫がいて、今のところ平山にはこれという不平も不満もない。細君と死別して以来、今が一番幸せな時だといえるかもしれない。わけても中学時代から仲のよかった河合や堀江と時折呑む酒の味は文字どおりに天の美禄だった。その席でも二十四になる路子を嫁にやれと急がされるが、平山としてはまだ手放す気になれなかった。中学時代のヒョータンこと佐久間老先生を迎えてのクラス会の席上、話は老先生の娘伴子のことに移っていったが、昔は可愛かったその人が早く母親を亡くしたために今以って独身で、先生の面倒を見ながら場末の中華ソバ屋をやっているという。平山はその店に行ってみたがまさか路子が伴子のようになろうとは思えなかったし、それよりも偶然連れていかれた酒場“かおる”のマダムが亡妻に似ていたことの方が心をひかれるのだった。馴染の小料理屋へ老先生を誘って呑んだ夜、先生の述懐を聞かされて帰った平山は路子に結婚の話を切り出した。路子は父が真剣だとわかると、妙に腹が立ってきた。今日まで放っといて急に言いだすなんて勝手すぎる--。しかし和夫の話だと路子は幸一の後輩の三浦を好きらしい。平山の相談を受けた幸一がそれとなく探ってみると、三浦はつい先頃婚約したばかりだという。口では強がりを言っていても、路子の心がどんなにみじめなものかは平山にも幸一にもよくわかった。秋も深まった日、路子は河合の細君がすすめる相手のところへ静かに嫁いでいった。やっとの思いで重荷をおろしはしたものの平山の心は何か寂しかった。酒も口に苦く路子のいない家はどこかにポッカリ穴があいたように虚しかった』

 ふ~~ん、そうだったのか・・。それはストーリーよりも、出演者の名前を確認して出たため息だった。
「驚くほど綺麗な花嫁姿は岩下志麻なのか。長男は佐田啓二、中井貴一の父親だ。その妻には岡田茉莉子、う~~ん妖艶だ・・。父親の笠智衆が心惹かれているバーのマダムが誰だったか、その場では思い出せなかったが、岸田今日子だったとは、意外だ・・・」


 

 小津安二郎作品はあまり見たことがないが、この映画は淡々とした中にも深い情趣が感じられる味わい深い映画だと思った。と同時に娘を嫁にやった父親の心境とはこんなものなのかな、と少しばかり思いを巡らせてしまった。私にも年頃の娘がいるから、いつ何時この笠智衆のような立場に立たねばならなくなるともしれぬ。その際、果たして笠智衆のように『どこかにポッカリ穴があいたように虚しかった』などという心境になるだろうか。18で家を出て以来、もう8年近くも一緒に暮らしていないのだから、いざ結婚するとなっても、私としては何も変わらないような気がする。大学に入った当初から、「京都に嫁にやった」つもりだったから、いざ結婚することなっても、「何を今更・・」と思ってしまうような・・。それが幸なのか不幸なのかは自分では判じられないが、少なくとも湿っぽさを周りに見せないだけでも格好がいいかもしれない。

 まあ、当分はそんなことにはならないようだが・・。
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