じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

笹沢佐保「老人の予言」

2022-11-15 18:02:30 | Weblog

★ 11月15日、今日は坂本龍馬の命日だね。大学生の時、司馬遼太郎さんの「竜馬がいく」を読んで、すっかり龍馬信者になり、この日に寺田屋、円山公園、霊山歴史館前の龍馬さんの墓を訪れたなぁ。

★ さて、今日は日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 特別編4 57人の見知らぬ乗客」(講談社文庫)から笹沢佐保さんの「老人の予言」を読んだ。

★ ちょっとホラーの入った作品。短い作品だが、プロはうまい。

★ 主人公の小説家はある旅館に閉じこもって創作に励んでいた。たまたま宿が混んで、相部屋を頼まれた。相部屋といってもふすまで仕切られ、しかも寝るだけだというので了解した。

★ 相部屋の主は好々爺とした老人。すぐに床に入ったと見えて、物音ひとつしない。しかし、深夜になって老人の苦しむうめき声が。どうやら悪夢にうなされているようだ。主人公が老人を起こしてやると、彼は身の上を話し始めた。

★ そして翌朝、慌ただしい雰囲気で目を覚ますと・・・。

 

★ 本の整理がてら、単行本も読み始めた。黒名ひろみ「温泉妖精」(第39回すばる文学賞受賞作 集英社 2015年)、天埜裕文「灰色猫のフィルム」(第32回すばる文学賞受賞作 集英社 2008年)、生田紗代「オアシス」(第40回文藝賞受賞作 河出書房新社 2003年)。

★ 直木賞作家のような手慣れた文章にはうっとりするが、新人賞受賞作はその時点の作家の渾身の息吹が感じられ、それはそれで新鮮だ。 

 

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小松左京「コップ一杯の戦争」

2022-11-14 19:37:28 | Weblog

★ 期末テスト対策期間に突入。良い成績を残して楽しいクリスマス、お正月を迎えたいものだ。といっても、今年も年内は31日まで、年始は2日から授業が入ります。

★ さて、今日は日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 特別編4 57人の見知らぬ乗客」(講談社文庫)から小松左京さんの「コップ一杯の戦争」を読んだ。わずか5ページのショートショートだけれど、短い作品の中にドラマと皮肉が込められていた。

★ とある居酒屋で、うだつが上がらない男がお店のママを相手に安酒を飲んでいた。有線放送などと言った気の利いたものはなく、BGMは故障しかけのラジオ。それも電波の具合が悪いのか、ブツギレ状態。男はお気に入りの演歌を聴きたいのだが、うまくいかない。

★ あれこれチューニングをしているところに臨時ニュースが飛び込んできた。ソ連とアメリカ、東側陣営と西側陣営で核戦争が勃発したらしい。アナウンサーは刻々と速報を伝える。それを聞いても、男はママと呑気にしゃべっている。

★ そして、1杯のハイボールを飲む間に戦争は終結したらしい。ソ連とアメリカの主要都市は壊滅したという。

★ 深刻な事態と間の抜けたような関西弁のやり取りの対比が良い。「コップ一杯の戦争」というフレーズを聞くと、「スプーン1杯の幸せ」を思い起こした。どんな作品だったかな。

☆ ネットで某政党の書記局長が、自分がある人の名前を言い間違えたのに、それを訂正した司会者に詰め寄る動画を見た。パワハラで党から警告を受けたというが、老舗政党で長年要職にある人に何が起こったのかなと感じた。(どうでも良いようなニュースだけれど)

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燃え殻「ボクたちはみんな大人になれなかった」

2022-11-13 22:45:11 | Weblog

★ この前中間テストが終わったと思たのに、もう期末テストまであと10日。今日も朝の10時からテスト対策。

★ 先週の土曜日に中学校の授業参観があったものだから、学校は明日月曜日が代休。学校が休みになると塾は忙しい。明日も朝から生徒がやって来る。ありがたいことだが。

★ 今日は燃え殻さんの「ボクたちはみんな大人になれなかった」(新潮社)を読んだ。軽薄な恋愛小説かと思って読み始めたが、なかなか面白かった。他の本を残して一気に読んでしまった。

★ 主人公の男性は将来への夢もなく、これといった才能もない。つぶれかけの専門学校を出た後は、エクレア工場でのアルバイトで食つなぐ日々。まだ携帯電話は普及せず、インターネットやSNSがなかった1990年頃。アルバイト誌の文通コーナーがコミュニケーションの舞台だった。

★ 男性はそのコーナーで知り合った女性と会うことにした。そして付き合うことにした。自分が存在していようといまいと社会にとってはどうでも良い。どんよりとした不安をもつ彼を彼女だけは認めてくれた。「だいじょうぶだよ。君はおもしろいから」と。

★ それから20年。今では彼も40代。エクレア工場を辞めた後、勤め出したおんぼろ会社も浮沈に耐えながら時流に乗って大きくなった。多くの人と出会い、多くの体験をした。彼女とは別れてしまったけれど、20年前の彼女と過ごした日々が、彼にとっては原点になっているようだ。

★ 「されどわれらが日々」の時代、「僕って何」の時代、そして本作の時代。時代は移り変わっても人は生き、恋をする。

★ 「どんなにコミュニケーションが変わってもボクたちは『孤独』が怖いままなんだ」(150頁)という言葉がジーンと響く。

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天童荒太「孤独の歌声」

2022-11-12 19:27:17 | Weblog

★ 朝から町内会の避難訓練。近くの小学校で消火器やAEDの使い方、簡易担架の作り方等の講習。地震車も来ていた。

★ 「孤独のグルメ10」を観ながら昼食。昨夜はNHKドラマで山本周五郎の「晩秋」を観た。ほぼ原作通りだった。

★ 今日は天童荒太さんの「孤独の歌声」(新潮社)を読み終えた。コンビニ強盗と連続女性殺人事件がリンク。女性刑事の活躍で解決するというもの。

★ コンビニの風景が新鮮だった。連続女性殺人事件の暴行シーンは18禁レベルだ。

★ 本作は「日本推理サスペンス大賞」(今はもうないが)の優秀賞の選ばれている。巻末に選評が載せられているが、どれも手厳しい(文章のうまさは評価されている)。プロの眼から見ると猟奇的な犯人の異常さの表現が物足りないようだ。天童さんはこの作品の後、「悼む人」で直木賞を受賞されている。

★ 素人目には十分面白かったが、そこは視点の違いか。コンビニのアルバイト店員、女性刑事、それに連続殺人の犯人と話者がコロコロ変わるのが少々読みづらかった。女性刑事の同僚刑事の描写は物足りないかな。女性刑事の内面ももっと深められるかもしれない。ただそこは全体のバランスかも。

★ 長編小説を書くのは大変だね。

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山本周五郎「晩秋」

2022-11-11 21:34:48 | Weblog

★ 法相更迭。陳謝しても心が伝ってこないから火に油を注いだ。辞任ドミノの始まり。この内閣は長くは続くまい。政治がごたついている間に、急速に円高が進んでいる。とはいえ、いったん上がった物価は簡単には下がるまい。果たして誰が得をするか。

★ 政治家といえば、山本周五郎さんの「晩秋」に出てくる進藤主計(かずえ)のような人物はもはやおるまい。

★ 山本周五郎さんの「晩秋」(青空文庫)を読んだ。都留は居候先の主から、ある人物の世話をするよう申し付けられる。その人物とは、藩政の実権を握り、民に負担を強いた人物、進藤主計であった。そしてこの人物こそ、重税政策を批判し切腹に至らしめたられた都留の父の仇であった。

★ 今は主君の代が変わり、主計は政治を私物化したのではないかと詮議されている。

★ 都留は母から譲り受けた懐剣を胸に、本懐を遂げる時を狙っていた。ところが、秘密裏に行われる詮議を小耳にはさみ、また主計という男の生きざまを知る中で、心が揺れ始める。

★ どうやら主計は藩の基礎を築くためにわざと悪役を買って出ていたのようだ。そして藩政の基礎が固まった今、自らの指図で自らを断罪しようとしているのである。

★ 時は晩秋。主計も人生の晩秋を迎え、心残りを一つ一つ消しているようであった。多くの誤解を甘んじて受け入れる私心なき姿に心を打たれる。

☆ 地味な仕事を愚痴っていた大臣。ニュースで大々的に取り上げられるとは皮肉なことだ。

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石沢英太郎「視線」

2022-11-10 18:02:47 | Weblog

★ 増税批判の高まりや閣僚の舌禍。政権は末期症状に入りつつあるようだ。

★ さて、日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 特別編4 57人の見知らぬ乗客」(講談社文庫)から石沢英太郎さんの「目撃者」を読んだ。

★ 極秘裏に進められる地方銀行と信金との合併事案。経営陣の秘密会合を段取りした総務部長がある殺人事件を目撃してしまう。そのことを警察に話すべきか。そうすれば合併話が表に出てしまうのではとの葛藤の末、彼はある決心をするのだが。

★ 短い作品ながらよくまとまっていて面白かった。石沢英太郎さんの作品は初めてだ。1960年代から80年代にかけて活躍された方で、小林桂樹さんが演じられた牟田刑事官シリーズの原作者だそうだ。

★ 石沢さんの作品をもう一つ。日本推理作家協会賞短編賞(1977年)を受賞された「視線」を読んだ。

★ 刑事が主人公。通りかかった神社の前である新郎新婦を目撃する。かつて彼が関わった銀行強盗事件の関係者だ。刑事は犯人逮捕に貢献し、表彰状をもらったのでよく記憶していた。それに、当時から何か引っかかるものを感じていた。

★ この銀行強盗事件、犯人の拳銃で撃たれて銀行員が亡くなっている。彼は非常ベルを押そうとして撃たれたらしい。その場に居合わせた他の銀行員や利用客の証言にも食い違いはない。ただ腑に落ちなかったのは、ある銀行員の「視線」だった。

★ よくできた作品だと思う。これからは銀行員の視線が気になりそうだ。

 

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阿刀田高「菊の香り」

2022-11-09 18:40:08 | Weblog

★ 日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 特別編4 57人の見知らぬ乗客」(講談社文庫)から、阿刀田高さんの「菊の香り」、生島治郎さんの「遺伝」、石川喬司さんの「逢いびき」を読んだ。

★ 生島治郎さんの「遺伝」は幻覚をみる母親を抱える娘の話。どういうメカニズムで幻覚や幻聴が起こるのかわからないが、当の本人にとっては現実に見えたり聞こえたりするようだ。

★ うちの父親も生前たびたび「せん妄」に襲われた。夢と現実を行き来するようなものだが、当人にとってみれば本当に見えるから、介護する者にとっては厄介だ。体調が悪くなりかけの時、あるいは酸素飽和度が下がってきたときに起こりやすいようだった。

★ 映画「マトリックス」やフッサールの現象学の考えからもあるから、私たちが現実と感じているものは相当に主観的なもの。正常と異常の垣根は難しそうだ。

★ 石川喬司さんの「逢いびき」は、なぞなぞのような作品。最後に謎解きがあって腑に落ちた。

★ 例えば、同じ日に生まれた姉妹がいて、しかし彼女たちは双子ではない。なぜだ、といった感じ。

★ 阿刀田高さんの「菊の香り」は、ずっと昔、昭和30年代だったか、祖母に枚方公園(枚方パーク)に連れて行ってもらったことを思い出した。当時、枚方公園では菊人形が人気の企画だった。

★ 「菊の香り」はちょっとホラーな作品。この世とあの世は案外身近で、表と裏のような世界なのかも知れないと思った。

☆ 「孤独のグルメ」のシーズン10が始まった。10年経つと、さすがに井之頭さんの喉元のしわが気になるが、食欲は相変わらずの様子だ。おいしいそうにお召し上がりになるなぁ。

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赤川次郎「アパートの貴婦人」

2022-11-08 17:12:22 | Weblog

★ 朝、救急車の音で目覚める。ご近所で誰かが搬送されたようだ。この住宅地も高齢化が進む。町内会の役員は半数以上が70歳を超えている。

★ 先日の健康診断の結果はまあまあだったが、これを機会に減食、減塩にチャレンジしている。1日食塩6g以下、1800キロカロリーが目標だ。食塩6gというのがきつい。あと仕事柄どうしても夕食が夜の10時以降になるので、夜はできるだけ軽めに、朝食まで12時間あけること。それにベジファーストを心がけている。さて、次の検査結果はどうなりますやら。

★ 今日は、日本推理作家協会編「ミステリー傑作選特別編4 57人の見知らぬ乗客」(講談社文庫)から、赤川次郎さんの「アパートの貴婦人」と飛鳥高さんの「埋める」を読んだ。

★ この特別編はショートショート集。ミステリーの限界にチャレンジと言うところか。限られた字数に作家が腕を振るう。

★ 飛鳥高さんの「埋める」は、港に近い建築現場の小屋で寝ている臨時工が主人公。小屋の外で何者かたちが土を掘っている様子。もしや死体を埋めるのか、と思わせておいてのどんでん返し。

★ 赤川次郎さんの「アパートの貴婦人」は古いぼろアパートに引っ越してきた場違いな貴婦人。彼女はなぜこんなところに引っ越してきたのか。ショートショートならではの面白さがある。

☆ 近くのスーパーマーケット「イズミヤショッピングセンター大久保店」が来春閉店するとのはがきが届いた。1971年の開店から51年間。京都市の衛星都市として人口が爆発的に増えた宇治市。しかし、近年は高齢化と人口減少が進み、観光地として有名な宇治川や平等院周辺はともかく、住宅地として開かれた近鉄沿線は寂れる一方だ。

☆ イオン大久保店(開業時はニチイ、それをサティが受け継ぎ、更にイオンが買収した)は数年前に閉店し、今は空き地に病院等が建設中だ。イズミヤの跡地はマンションになるとの噂だが、どれほどニーズがあるのやら。

☆ 私達の世代は街の盛衰を(大きく見れば国の盛衰を)見ることになりそうだ。 

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皆川博子「おもいで・ララバイ」

2022-11-07 19:46:35 | Weblog

★ 土曜日は町内の公園清掃、日曜日は模試と連日朝早く起きたので、今日はゆっくりとしたスタートになった。

★ さて、今日は日本推理作家協会編「ミステリー傑作選22 二転・三転・大逆転」(講談社文庫)から皆川博子さんの「おもいで・ララバイ」を読んだ。

★ 歌謡曲のようなタイトル。皆川博子さんは直木賞をはじめ数々の文学賞を受賞されているが、私は初めて読む。

★ 小さいながらも経営者だった父親。家族もそこそこ裕福だった。ところがある出来事のために没落の道を辿る。その家族の長女が主人公。今は成長して28歳。場面はどうやら新婚旅行のようだ。

★ 新郎は10歳も年上。愛情があれば楽しいはずの旅行だが、彼女はある思惑があって結婚したようだ。

★ 2つの事件が同時に進行するような構成が面白い。そして最後は大どんでん返し。悪いことはできませんね。

★ 読書の秋も終盤。仕事も忙しくなってきたが、なんとか1日100頁は読みたい。今、同時並行で読んでいるのは、天童荒太「孤独の歌声」(新潮社)、野沢尚「魔笛」(講談社文庫)、角田光代「ツリーハウス」(文春文庫)、朝井まかて「恋歌」(講談社文庫)、佐伯一麦「還れぬ家」(新潮文庫)、湊かなえ「母性」(新潮文庫)、中村文則「教団X」(集英社文庫)。どの作品は最初に読み終われますやら。

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泡坂妻夫「鳴神」

2022-11-06 18:35:39 | Weblog

★ YouTubeでドラマ「新選組」(1973年)第1話を懐かしく観た。鶴田浩二さんが近藤勇を、栗塚旭さんが土方歳三を演じている。新選組といっても元々は浪士の寄せ集まり。結成当時は3人の組長がいたという。芹沢鴨、新見錦、そして近藤勇である。

★ 第1話は士道に背き、局中法度を破った芹沢、新見派を近藤派が粛清するというもの。放映当時を考えれば内ゲバのようなものか。

★ さて、今日は日本推理作家協会編「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎006 今野敏選」(講談社文庫)から泡坂妻夫さんの「鳴神」を読んだ。

★ 主人公の男性は電車で懐かしい人に会った。今から40年前、戦時中。当時小学5年生の主人公は田舎に疎開していた。彼の疎開先に東京から若い女性(30歳ぐらい)がやってきて同居する。

★ 東京の商家の娘だというが、少年の目を引いたのは、彼女の全身に彫られた刺青だ。「雲の絶間姫」をモチーフにしたもので当世名人の彫師の手によるものだ。

★ 見事な作品だが、しかしなぜ商家の娘が身体に墨を入れたのか。娘は理由をはぐらかすが、それは作品の終盤に明らかとなる。

★ 主人公は勉強はできたがひ弱で、その上、疎開者であることもあって、地元のガキ大将にいじめられていた。それを女性が一肌脱いで解決したという。そのことが、わずか1年に満たない同居にもかかわらず、主人公に忘れられない思い出になっている。

★ 「鳴神」というのは歌舞伎の演目の1つだという。

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