曜日のない暮らし

日々の暮らしにあるささやかで素晴らしい瞬間
暮らしと心を癒してくれる生き物たち
山本弘三の写真を中心にした日記帳

椿の挿し木

2013年06月15日 | 日記

挿し木椿の花

 


 今年の冬には家のまわりにある椿の花を写真に撮りました。中でも上の写真にあるように挿し木の椿に咲いた花を度々載せたように思います。そのせいか私のブログに「椿の挿し木」という検索が頻繁に引っかかってくるようになりました。私は椿マニアでもないし専門家でもありませんが、柑橘栽培が仕事なので植物の繁殖などのことはある程度通じています。そのうちに挿し木の紹介などしようかなと思い写真の準備をしてきました。挿し木をしてみようという人に役にたつかどうかわかりませんが私の挿し木の方法です。

植物を増やすのは基本的には種をまきます。発芽して成長するのを人が少しばかり手助けしてやればたくさんの植物を手に入れることができます。その植物が樹木であっても草花であっても野菜・穀物であってもほとんどのものは種をまくことによって増やすことができます。

しかし、遺伝子の関係で元の植物と全く同じものがほしい時には種をまいて増やすのはまずいことがあります。種子にまで戻すと子の遺伝子は親の遺伝子と変わってゆくからです。そこで優秀な遺伝子を持つ個体を増やすためにはクローンの技術が必要になります。今はクローンというといろいろな新しい技術が開発されていますが、我々素人が簡単に行える植物のクローン増殖は「挿し木」です。植物は環境の急激な変化に対して動物のように環境の良いところに移動したりすることはできません。そのために生命を維持してゆくためのいろいろなテクニックを持っています。大風で枝が吹きちぎられたり倒れたりするとその枝や倒木から新しい根が出て生きてゆくことがあります。この性質を利用したのが挿し木ですが枝から根が出るまでには適度な良い環境が必要です。今日は椿の枝を使って根を出させて新しい個体を作る簡単な方法をご紹介します。写真で何度か紹介したように挿し木した一年目に花を咲かせて楽しむことができます。

 

ちょっと忙しくてチョウの写真はこの一週間お休みでした。 今日は天気予報が外れて朝から雨です。ブログの更新でもしようかなと・・・・・・


今日の音楽

●バロック音楽特集24.

アルビノーニ:オーボエ協奏曲op9-2
    ホリガー(ob)/イ・ムジチ オーボエ協奏曲 第2楽章

http://www.youtube.com/watch?v=YomJhM6X_Pk&NR=1&feature=fvwp


オーボエ協奏曲 第2楽章 作曲:アルビノーニ  Full HD高画質

http://www.youtube.com/watch?v=OjcxJI5H5GE

 

らんらんさんいつもありがとうございます。増えすぎたアジアンタムは今も元気ですか。私も増やしすぎて捨てるわけにもいかず、養子先を探すのに苦労します。紫陽花の挿し木はとても簡単ですから今咲いている花を見て気に入った紫陽花を密閉ざしで増やしてみてください。

 

アジアンタムもよいですが、先日新聞で吊り忍のことが書いてありました。省エネ・節電に涼しさを呼ぶ植物として今人気だそうです。下のホームページも見てください。吊り忍の下に風鈴をつけて販売しているそうです。皆さんもひとついかがですか今からこんなに暑いようでは夏が思いやられます。

http://www5e.biglobe.ne.jp/~sinobuen/

 

ついでに、オオタニワタリも涼しげでいいですよ。若い葉は食べられるし !


椿の密閉挿し

まず準備するものです。   川砂・ポリポット・針金・ポリ袋・セロテープ・挿し木用の枝(新しい緑枝)

1.土は細菌の少ない清浄なものであれば何でもよいのですが、わたしは近所にある川へ行って川砂を取ってきます。12cmのポリポット

 

2.増やしたい椿の新枝   15cmくらいの長さで葉が4から5枚付いたもの  切り口はよく切れる刃物できれいに切る(カルスが形成される)

 

 

3.砂に5cm程度埋める。   さす前に30分から1時間くらい水揚げをしておく。

 

 

 

12cmのポリポットで3本から4本くらい挿せる。 

 

今回は5本なので2鉢にしました。

 

4.ポリ袋の枠を作る

 

5.水をたっぷり入れて鉢をよくゆすり枝と砂がよくなじむようにする。

 

 

6.ポリ袋をかぶせる。

 

7.ポリ袋の下側をポリポットに隙間ができないようにセロテープで張り付ける。

 

これで挿し木は完全に密閉状態になりました。このまま2から3か月くらい放っておきます。

 

9.最初は日の当たらない木陰などにおいてください。椿は太陰性が強く日の光をあまり好みません。

 

 

10.8月の末か9月になって緑色が濃くなっていれば根が出ていますので、ポリ袋の隅を少しづつ破ってゆきます。秋が深くなるまでに少しづつ穴を大きくして外気に慣らして行きましょう。袋を破っても異常のない状態になったら11月頃川砂から出して肥料分のある培養土に移し替えてもよいです。冬には花を楽しむことができます。

 

11.秋に移植ができなかったものは春に植え替えましょう。

とても良い根が伸びています。

このように根の伸びの悪い株はもう一度砂に戻して密閉しておくと健全な苗になります。

みんな良い根が出ていますね。

一部は畑に下しました。

 

12.鉢植えのまま2年目を迎えた株です。

Aは昨年の挿し木のまま植え替えをしていない鉢で川砂に肥料だけ与えているものです。Bは培養土に植え替えたもの。

 


冬間の開花株の写真をもう一度御覧に入れましょう。

 

 

たった四枚の葉で二つも花を咲かせるなんてすごいですね。

 

上の蕾がこんな風に開きます。

 

 

密閉ざしのポリ袋がまだそのままになっています。

 


以上、椿を簡単に挿し木で増やす方法について紹介しましたが、このような密閉挿しの方法は多くの植物に利用できます。品種に寄って挿し木の容易さには差がありますが接ぎ木や取り木などに比べると簡単で大量に増やすことができます。いろいろな植物で試してみてください。私は珍しい木とか花があるとすぐにひと枝もらってきて挿し木します。数年前にAさん所から一枝もらってきたアコウの木は一度冬の寒さで枯死しそうになりましたが回復して1m以上になりました。八幡宮でもらってきたオガタマノキは挿し木が難しかったのですが一本だけ活着して花が咲くようになりました。専門の柑橘類で見ますとみかんの木は簡単な挿し木ができません。でもレモンは挿し木が簡単で接ぎ木でなくともいくらでも増やせます。

密閉挿しの良いところは水やりをしなくて済むところです。最初にたっぷり水をかけて密閉すれば三か月くらいは何もしなくてもよいのです。

梅雨入りの今は挿し木の最も良い時期ですのでこんな記事を書いてみました。