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ブルース・スプリングスティーン「レッキング・ボール」感想その4 JACK OF ALL TRADES

ブルース・スプリングスティーンのアルバム「レッキング・ボール」の感想4回目。
4曲目「JACK OF ALL TRADES」です。

写真の植木は7,8年前に駅前の花屋で買って育ててきた「ジャックの豆の木」です。
初めはキウウイのような豆からひょろひょろと薬味にきざむネギのような直径3ミリ位の
芽というか茎が20センチ位伸びていただけでしたが、
今では茎の直径3センチ、高さ150センチ位になりました。
上へ上へと気持ちだけは持っているこの植物に僕を重ね合わせて育てています。
同じジャックということで写真を載せました。

「JACK OF ALL TRADES」というのは何でもこなせる人という意味だと
先日聞きに行った五十嵐正さんのレッキング・ボールの解説と音楽を聞くイベントで教わりました。
そして僕はこの曲がすごく等身大に、自分に身近に感じている。
僕の大切なかわいい曲になっている。
アルバムの中で一番好きな曲だ。

この曲は切々と積極的なことを言い続ける。
ポジティブになろうとしている。
でもおかしいじゃないか。怒りが最後に爆発する。

今までのスプリングスティーンの曲はつらいことを歌う曲は、
つらい状況を歌ってきて、
最後の最後に、でも俺はまだ信じていると、ほんの少しの希望の光が射して終わる曲が多い。
ところがこの「JACK OF ALL TRADES」は逆のパターンになっている。
俺は何でもやるよ。だから大丈夫だ。と言い続けて、
でも最後にそれはおかしいじゃないかと投げ捨てようとする感情で曲は終わる。
それだけきつい状況を感じる。
僕はそう思った。

僕も世間から見れば甘いと思われるかもしれないが、
自分なりに努力してきたと思う。
いろいろな職に就いて働いた。
辞めてばかりだったけれど。
でもやっと今になって今働いている清掃の仕事が自分に向いていると感じている。
ここにく来るまでいろいろな人の手助けを借りてきた。
その人たちのおかげで今の僕があると思っている。
僕は[JACK OF ALL TRADES]とは逆だけれど。

先日の五十嵐正さんの解説を聞くイベントで話を伺い、
僕はいろいろな職に就いたと話した。
採用の面接では、はい出来ます。それも出来ます。何でもやります。と採用してもらいたくて言った。
いざ採用になると実際には出来ないじゃないかとなり辞めていた。
その事が僕の中に浮かんだ。

アメリカのスプリングスティーン関連の音楽ばかり流す衛星ラジオ局でこの曲を流したら
反響がものすごくあって、曲の感想、自分の思いを伝えようとする電話、メールが殺到したという。
放送後にDJへスプリングスティーン本人からメールが来ていたのが分かった。
「こんなにいろいろな想いを感じてくれたのを知って感動した」
というメールだったという。
この話を五十嵐さんから聞いて、
何かスプリングスティーンらしいなと感じてうれしかった。
僕も歌詞を読んでどんな内容なのか早くしりたいなと思った。

歌詞、訳詞を読んでこの曲を聴いた。
僕も自分自身の今までを思い出した。
この曲には何か、何かを信じたくなるような、
うまく言えないが純粋なものを僕は感じる。

今僕は世間の人から見ればくだらない仕事かもしれないけれど、
清掃の仕事に、それなりにプライド、楽しみも見つけて働いている。
アルバムの3曲目「SHACKLED AND DRAWN」にあるような、
汗をかいて作業着を汚して働いている。
そのありがたさを感じている。
スプリングスティーンは今回のアルバムで、
そんな当たり前とも言える働いて、その報酬を得ることを
もう一度見直そう、取り戻そうと言っているように僕は感じる。
それが否定されている現状に怒っているのだと思う。

「JACK OF ALL TRADES」では古い物を受け取り、そこから新しい物を作ろう。
今までの経験、知恵をこれからに生かすのだと歌っている。
これがアルバム全体の主題だと僕は思う。
過去の今までの先人の苦労に感謝して知恵を受け継ぎ、次の世代へ渡す。
これが今、忘れられているのでは?
自分の利権だけを求めて、人の道からはずれていないかと。
一番大切なことを思い出そうと。

この曲を聴くといろいろな気持ちが湧いてきます。
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