2014/07/13 「万物を保っておられます」マタイ十章28~31節
ウェストミンスター小教理問答11
神様のご計画(聖定)は、創造と摂理とのみわざによって果たされると学びました。創造について2回お話ししましたので、今日からは「摂理」のことを教えられていきます。
問 神の摂理のみわざとは、何ですか。
答 神の摂理のみわざとは、彼の全被造物とそれらの全活動に対する、神の最も聖であり、賢く、力強い保持と統治です。
以前にもお話ししましたように、神様は世界をお造りになりましたが、造った後は放っておかれたのではなく、これを支えておられます。もしも神様が、世界を少しでも放っておかれたりいい加減にされたりなさったら、たちまち世界は崩壊して、無となるでしょう。神様の「保持」の御業がなかったら、世界は存在し続けることなど出来ません。
御子は神の栄光の輝き、また神の本質の完全な現れであり、その力あるみことばによって万物を保っておられます。(ヘブル一章3節)
万物を保っておらます。一羽の雀も、世界中に何百万種とある生物の一つ一つも、太陽も月も、夜空の星々も、みな残らず、神様が保っておられます。
けれども、ただ下から支えて、存在させている、というだけではありません。ここでは、
全被造物とそれらの全活動に対する、神の最も聖であり、賢く、力強い保持と統治
と表現されています。全被造物の全活動を、神様は、これ以上ないほどの聖と、賢さと力強さをもって、保持し、統治しておられます。言い換えれば、世界に起こる全てのことは、神様の統治を免れては起こらなかったものであり、神様の、永遠の昔からのご計画の実行に他ならないのです。
自然界のものだけではありません。人間の活動、行動、国家の興亡。偶然や何であれ、神様を「出し抜く」ものはありません。「予定外」の行動もありません。かといって、神様が「悪」をご計画された、ということではありません。悪を選ぶのは、自由意思です。人間やサタンや悪霊が、神に反抗して、正義を嫌悪して、悪を行うのです。けれども、それもまた、神様の手の中でのことです。そもそも、神様が私たちに「自由意思」を与えられた、ということが私たちの理解を超えています。自由意思によって右でも左でも選ぶことが出来るのに、どっちを選んだとしても、神様はそれをご計画のうちに知っておられる、だなんて、私たちの理解を超えています。ですから、神様は万物を治めておられる。私たちの周りに起きるすべてが御心なしに起きたことではない。そう信じて十分としましょう。
多くの人が、神様がいることを信じていると言います。何か不思議な巡り合わせとか、願いが叶ったとか、見えない力、霊的な世界、という漠然としたものがいると信じたい、と思っています。世界を保っておられる方、幸せを用意しておられるパワー、というものなら大賛成なのです。けれども、そういう人は、この方に服従しようとはしません。私たちが、礼拝に集まり、他の神を礼拝せず、自分の罪を認め、悔い改め、教会の一員として歩むことを求められる神だ、と聞くと、途端に向きを変えてしまいます。まして、神様が私たちに、従うことを遠くから要求されるだけでなく、私たちの人生に踏み込んでこられる方-積極的に介入し、すべてのことに働いて、「統治」しておられる神だとは思いたがりません。でも、私たちはここにある通りに信じます。神様の摂理は、
全被造物とそれらの全活動に対する、神の最も聖であり、賢く、力強い保持と統治
です。有名な、ローマ書八章28節の御言葉を引きましょう。
神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。
神が万事を益として下さる。でもそれは、私たちにとって悪くならないとか、願いが叶う、万事上手くいく、最後はハッピーエンドになる、という話ではありません。神のご計画-私たちを神の子どもとし、神のかたちに造られた者として、力強く育て上げ、教え、導いてくださる、そのご計画-にかなうよう、益としてくださる、ということです。「聖定」に沿って、すべての事が治められていて、御心を実現しています。
聖書にヨブという人がいます。この人は神様を信じる立派な人でしたが、サタンは神様に言いました。「ヨブの信仰は、幸せに暮らしているからですよ。幸せを取り上げたら、神様を呪いますよ」。サタンはヨブの幸せを全部取り上げてしまいました。ヨブは大変苦しみました。どうしてこんなことが自分に起きたのか分からず、本当に辛い時期を通りました。けれども、その苦しみを通してヨブは、自分には分からないことがあるけれども、神様がすべてを治めておられる事実を受け入れることを深く味わい知りました。
あなたには、すべてができること、
あなたは、どんな計画も成し遂げられることを、私は知りました。(ヨブ四二2)
と言って、深く謙りました。ヨブは以前にも増して、祝福されました。
これは、人間中心に見ればとんでもない「摂理」としか思えないでしょう。「すべてを益として働く」とは到底言いがたい摂理です。けれども、神が私たちをお造りになった、という世界の原点から見れば、神を貶めて、自分の幸せを目的にし、幸せや御利益があるから神様を恐れ(るフリをす)るだけで、本当に「神様が神様である」という理由で恐れない姿こそが、異常なのです。世界には、人間が思い描く「摂理」には当てはまらない事件が数限りなく起きています。戦争や暴力、不幸や理不尽な出来事。そういうことがあるから神様を信じない、などと言い始めるほど、人間は甘ったれなのでしょうか。
しかし、私たちは知っています。神の子イエス様ご自身が、本当に理不尽な暴力を引き受けて、十字架に殺されました。でも、それも神様のご計画にありました。それは、私たちには全くもって理解しがたいことです。けれども、そう信じるのです。私たちも今、神様の完全な摂理の中に生かされています。訳が分からないようなどんな出来事が起きても、神様がすべてを治めておられると信じてよいのです。そして、聖書に聞き従いながら、希望をもって歩み続ければよいのです。私たちは、闇の中にあっても、すべてを保ち治めておられる摂理の神を信じ、その神が下さった御言葉の光を手がかりに歩むのです。
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