風になれ

大自然のふところで山歩きを楽しむ生活。
いつの日にか、森にそよぐ風になれたら・・

下山の思想

2021-03-25 | 健康

 書棚を見ていたら五木寛之さんの「下山の思想」という文庫本が目に止まった。めくってみると、2012年1月23日に読了したと記してある。ちょうど9年前だ。

 頂上を目指す熱い戦いの登山を終えた後に始まる下山。

 今、新型コロナで沈んだ社会は、まさに一歩一歩ゆっくりと下山が始まったように思えてくる。経済発展も文明も成長期は終えて、すでに下山の過程に入っているのではないか。下山を文明の成熟期と捉えれば素晴らしい時代の始まりだ。

 足元に広がる海や野原の美しさや可憐に咲く草花に心が和む至福の時間。登頂を終えた後の下山での気付き。頂上を目指す時には気付かなかった景色に感動する。登る時には心に余裕もなかったからかもしれないけど、下山には下山の醍醐味や楽しみがあるものだ。

 コロナ禍が分岐点になって、人類は静かに下山が始まった。大きく働き方も変わる。人々の行動様式や生活様式が様変わりする。古い価値観は崩れ落ちる。

 豊かなる下山は成長から成熟のゴールデンエイジの始まりだ。そう考えるとコロナさんに感謝だ。コロナちゃんとこれから仲良くやっていけそうな気がしてきた。