鹿の子百合;ユリ科花言葉は、富と誇り;威厳ユリ。鬼百合;鉄砲百合;笹百合;姫百合;車百合;山百合:鹿の子百合;透百合;白百合;紅百合。ゆり科の多年性球根の総称。北半球に約70種自生している。鱗茎から芽を出し、ササの葉に似たはを互生する。花は三枚の蕚と三枚の花弁がらなり、芳香を放つ。名の「百合」は「揺り」の意、「百合」は鱗片が重なり合うことによる。六、七月頃開花するが、白いラツパ状の鉄砲百合、黄金色の筋がある山百合、上向きに咲く透明百合、花の奥に突起のある鹿百合など、種類によって趣も多彩。日本古来に詠まれ、西洋では純潔の象徴とされる。「見事やと誰も五体を百合の花 貞徳」「鬼百合や蛍火とぼす燈台鬼 季昏」「花をやれとかく浮世は車百合 宗因」「鬼百合にそふいばら木のかくれかな 信徳」「ひだるさをうなっき日あひぬ百合の花 支考」「木の下や夜明けかかる百合の花 浪化」「朱硯に露かたぶけよ百合の花 蕪村「星の夜も月夜も百合の姿かな 蘭更」「ゆりあまた束ねて涼し伏見舟 召波」「山百合を捧げて泳ぎ来る子あり 富安風生」「すぐひらく百合のつぼみをうとみけり 安住 敦」「百合の香を深く吸ふさへいのちかな 村越化石」「ひらききる百合はまつしろ海炎ゐむ 鷲谷七菜子」「仏壇の中暗きに百合開く 菖蒲あや」「野の百合は柩の花となりにけり 石田克彦」「百合伐つて崖を荒らせり多佳子の忌 橋本美代子」「たくさんの百合添へて死を頂戴す 正木ゆう子」「寒桑の子百合の苔なやうに立つ 森賀まり」「百合咲いて裏が表になるわが家 蓬田紀枝子」「青空へ百合の念力のぼりけり 保坂敏子」「ロ上の幾久しくと百合匂ふ 平間裕子」「カサブランカリリーの白で嫁ぎゆく 長谷川智弥子」「君に合ふ年に一度の百合手向け 皆谷露子」「烙印のごとくに胸の百合花粉 毛利 令」「生きて世はいつも断崖百合咲けり 飯塚まさよし」。(うつろなる老幹にして花盛り 小野瑞枝;冷房を出て身の膨れゆく思ひ 謙治。)