『テキサス・レンジャーズ』(2001年アメリカ)
観るのは数度目だが、面白かった。
この映画は役所のキャラが立っているのがいい。
ストーリーは平凡なのだが、キャストが演じる
キャラクタが立っている。なかなかいい。
特に、主人公の新入隊員ジェームス・ヴァン・
ダー・ビークよりも、助演の隊長ディラン・
マクダーモットよりも、何よりも副官参謀の
ランディ・トラビスがめちゃくちゃカッコいい。
ワイアット・アープ物でのドク・ホリディのよう
な役所なのだ。
いや、ドクというよりも、もっと渋い。
テキサスの荒野を行くレンジャーズなのに、
ダークなスーツと黒いハットに身を包んだガン
マンなのだ。
新入隊員の射撃試験官をしている。凄腕だ。
とにかく、この人がこの映画の中ではめちゃく
ちゃに光っている。
銃はコルト・シングル・アクション4.75インチ
銃身モデルを2挺持つ。
この時、役者ランディは41才。おっちゃんだ
から云々とか言ってる現代に過多の若年寄りの
バカどもには、到底年齢を凌駕する人間的不朽
性の大切さについては理解し得まい。
クライマックスでも彼が重要な働きをする。
活劇物では、こういうキャラって必要だよね。
それにしても、「登場させるのは必要だったの
か?」とも思えるちょい役でマニアックなファ
ンが多いレイチェル・リー・クックが出ている
のだが、これがまためちゃくちゃ可愛い。
この人、アメリカ人のにしてはかなり小柄。
慎重に157センチだって。
子役の時から光っていたが、この人は表情で
演技をする人だ。
まるでコロッケのように表情が変化する(笑)。
しかも、それがすべて可愛いときてる。
ハタチそこそこの彼女を見るためだけでも、こ
の作品は観る価値あり!
ただし、ストーリーはごくごく一般的な西部劇
である。
娯楽物だ。
アカデミー賞『許されざる者』のような深みは
ない。
しかし、あの『許さされざる者』は、キリスト
教圏にいるキリスト者でないと、あの作品の真
意は理解し難いと思う。
日本版でのリメイクには、決定的に根幹が欠落
していた。駄目作品。
他宗教の国や日本のようなノンポリ無宗教、
おもらい何かしてくれ見返りちょうだいなー
主義の御利益エセ宗教にどっぷりの国民性だと、
あの米国版アカデミー賞作品の『許されざる
者』は、ただのちょっと深刻なドラマにしか
捉えられないのではないかと思う。なにせ、
日本人には「原罪」の意識が無いのだから。
特に鎌倉以降のインスタント葬式宗教の仏教を
葬儀宗教としている日本人には、解り得ない
映画作品だったろうと思う。
それは、映画『グリーンマイル』についても、
同様の点から、日本人の多くは理解し難いと
思われる。
また、西部劇『クイック・アンド・デッド』に
おいて、牧師である元ガンマンが無理矢理決闘
ゲームに引き立てられる時に町の人たちに汚物
を浴びせられ罵声を投げつけられるシーンに
しても、日本人にはサッパリなんのことなのか
理解できないだろう。
それは、我々の身代わりとなったキリストの
痛みを知らないから。
「日本人は潔く心清らかである」と自ら思い込
んでいる日本人は多いと見受けられるが、内実
はそうでもない。
日本人は実に嫉妬深く、かつ、おもらい根性と
利己主義が骨の髄まで染み付いている。
常に人任せ、他人任せ、上任せである。
自立無き没主体的な国民性。
日本人は自らの血を流して国を作った歴史を持
たない。
同じ地球人として、欧米人とのこの違いはかなり
大きい。
従順な尻尾フリフリの犬に成り下がろうとも、
自らの安泰だけを望んで来た奴隷根性が日本人
の背骨となっている。もう一千数百年も。
日本人の多くが、戦争映画を観ても、カウンタ
ーテロ物を観ても、あるいは西部劇を観ても、
絵空事の「物語」としてしか観れないのは、そ
れは、自ら血を流して国を自分らで作った歴史
を持たないからだ。
そりゃゾンビ物やバーチャル物が流行る筈だ。
ゆえに、サムライごっこのような似非物が今の
時代、尚更流行っているのだろう。
しかし、当事者たちにとっては、それは「現実」
であったのだ。最早これまでの切腹にしても、
追腹の切腹にしても、詰腹の切腹にしても。
あるいは、武器を手にしての争闘にしても。
少なくとも、欧米人は、人の生と死について、
日本人ほど無頓着ではない。
お花畑はあかんねん。
だから、日本人はいつまで経っても麻生のよう
に人の痛みを知らない破廉恥を自覚しないのだ。
解決法はある。
武器を手にして自ら起ち、自分たちの国を一
から作ることだ。
その武器は別に銃でなくともよい。理論武装で
もいい。
その蜂起は、土佐の坂本が言ったとか言わない
とかの「日本の洗濯」というやつかも。
「ごっこ」ではなくね。
さしあたっては、今の世の中、強大な権力と命
がけで闘ったことがない奴が多すぎ。
やはり、そうしたガッツは40年前、50年前で
日本ではついえたのか。
今じゃ、世の中、権力にひれ伏すことが美徳
だとか思い込んでる負け犬ばかりだ。
ま、この映画は映画としても面白い。