左コーナーと右コーナーで
苦手なほうってありますか?
私の場合はどちらも得手不
得手というのはありません。
ただ、物理的には右側にス
ロットルがあるので左コー
ナーのほうが一般的には曲
がり易く感じるかも。これ
は物理的な装置の配置関係
から。右回りのほうがスロッ
トル操作が窮屈に感じる事
もあるだろうから。
ただ、私個人の場合はどち
らかのコーナーが苦手とい
うのは存在しません。どち
らも同じ。
好みがあるかといえば、左
コーナーよりも右コーナー
のほうが個人的には好きです。
しかし、左右で得手不得手は
無い。日本刀の斬撃で左から
の右袈裟、右からの左袈裟で
得手不得手が無いのと同じ。
ただ、サーキットではなく公
道ではクローズドサーキット
のコースとは状況が全て違っ
てきます。
それは日本では左側通行であ
り、路面はセンターラインを
頂上としてカマボコ型になっ
ている事が多いからです。
サーキットと同じ組み立てで
は絶対に公道のワインディン
グはまともに安全に円滑には
走れない。
右旋回で早期に右に寄ると
対向車やコーナーの出口が
見えるのが遅くなる。
左でも同じ。
しかも、対面通行の道路では
対向車が来るので右はセンタ
ーに寄り過ぎにできないし、
左コーナーで転倒したら対向
車がいたら致命的となる。
ホントに死ぬから。対向車と
正面衝突したり轢かれたりし
て。
公道では右コーナーと左コー
ナーでは走る際の注意点が共
通のものと個別別々なものが
あるので、その見極めと識別
が重要です。
そうした事をず~っと考えて
いろいろな角度からメスを入
れて解析していくと、やがて
公道では転ばなくなる。一切
転倒とは無縁になって行く。
あと、公道はコースではない
ので、自分の限界値(各個人
で差がある)の5割以下の領
域で走る事が安全に繋がりま
す。サーキットでは選手が
9割9分9厘のところで走って
います。残り1厘を超えたら
クラッシュする。その99.9%
の力をサーキットを走るライ
ダーは高次元の実力の集団の
中で発揮しています。
一方、公道はサーキットとい
う競技場ではないので、安全
マージンをかなり大きく取る
必要が生じる。コースには無
い突発状況が発生しやすいの
で。また、アクシデントの時
はコースのようにすぐに救急
車が公道は来ない。単独走の
時などは消防に連絡さえでき
なければ致命的になる。連絡
できて救急車を要請しても、
到着までに数時間とかざらで
あるのが峠のワンディングな
ので。
私自身は通常4割程度(私の
力の中で)を超えないように
心掛けて走っていますが、
時に6割7割に踏み込みそうに
なる。それはどんどん危険度
が増します。よくない事です。
国内の公道では、特に左コー
ナーが要注意です。転んだら
即、死、という位に考えてい
たほうがいい。
そして、コーナリングは視界
確保のためにも、減速区間を
多く取るためにも、コーナー
の奥まで行ってからクルンと
向きを変える走路をおすすめ
します。
コーナーのRに沿ってレールの
上を走るような走路が一番危
険。しかも真左をずっと走行
などは危険を自分で呼び込む
ようなものです。道路の左側
には二輪走行に不適合な状況
や物体が散乱しているからで
す。
さらに付言すると、安定走行
のためには、道路のカマボコ
断面の山を登るようなライン
を取るのです。
特に右コーナーは相対的に逆
バンク気味になるので、なお
さらコーナー奥まで行ってか
らクルンと向きを変えて、そ
してカマボコの山を登るよう
なライン=センターライン側
に向かうようなラインを取る。
路面のミューの変化に対応さ
せる為です。
こうやって走っていると、か
なりのハイペースでワインデ
ィングを走ろうとも、一切転
びません。(面圧操作の件は
ここでは割愛)
サーキットと公道では、走り
方が全く異なるし、変えない
とならないのです。
このことに気づかず、サーキ
ットと同じ考え方・組み立て
で公道を走ると、大抵は飛ぶ。
命が助かれば幸いですが、ひ
どければ死亡、しかも即死事
案になりかねない。
公道での安全確保とは、単に
速度を低速度に落とす事から
のみでは得られません。
公道には公道の走り方がある。
たとえ40km/h速度規制道路だ
ろうと、制限速度内で走って
いても、考え方が間違ってい
たり、走り方、運転の仕方が
間違っていたら転倒します。
そして、公道レベルの速度域
の転倒原因は車ではなく乗り
手に起因するものがほぼ全て
です。
曲がらない二輪、チャターが
起きやすい二輪、シミーやウ
ォブルが起きやすい二輪、ス
テム設計とシャシ設計の不整
合から来る後輪からのドン突
きが発生し易い二輪、という
のはありますが、公道レベル
の速度域(0~120km/h)で
あるなら、ほとんど対処でき
る筈です。250km/hでフル
バンクなどというシーンはな
いのですから。
レースでは世界チャンピオン
でさえ転倒しまくるのは明ら
かに車のせいですが、公道の
領域では「車のせいで転倒」
というのは殆どありません。
腕を磨きましょう。
そうすれば安全に快適に走れ
る。
私はこの齢になっても、日々
二輪の走り方や操作操縦につ
いて考察を続けています。
腕を磨くのは肉体的な技術の
前に「見抜く眼」を養わない
と高次元には到達しません。
まず、技術系の万物は「見る
眼」から。
見る眼が無い人は全く進化し
ません。
そうそう、一つ。
コーナリングではイン側の手
は日本刀の「切り手」でグリ
ップを保持します。上掲画像
の本間選手の右手の手の内の
使い方のように。
保持です。決して握り締めな
い。締める部分を締め、緩め
る部位は緩め、手の内を利か
すのです。
やり方は、自得しないと意味
ないので、ご自身でいろいろ
試して研究なさってください。
「こうやるんだ」とのみ教え
られたものは身につきません。
概論は他人から教えてもらっ
ても、「これだ」と自得する
のは自分です。
私も先生などではなく、多く
の方々と同じ同列の一ライダ
ーですので、私が経験上解明
できている事はお伝えできて
も、「指導」などはできませ
ん。「こうするとこうだから
こうなるみたいですよ、物理
的に」という情報しかお伝え
できません。ブレインウォッ
シュは良くない。
そして、その私が発信する情
報の一部は、ほぼ真実真理の
ど真ん中を的中させているか
と思います。対抗的解析所見
についても全てこれまで40数
年程考察し続けての結果とし
て。積極消極の判例検証のよ
うにして考察してきた。
私は二輪に乗り始めて、2024
年のことし1月で満51年になり
ますが、「考えながら乗れ」
と私に教えたのは故三井晃氏
と故柳沢雄造氏でした。
日本のオートバイのうちレー
シングマシンの開発は、開発
ライダーを排除して、帰納法
を捨てて演繹法主軸にマシン
作りがシフトした時に、人間
不在により性能の根幹が崩れ
始めました。
つまり、人間が乗る事によっ
て得られた開発ライディング
による具体的な観察やデータ
から結論や理論、方向性を導
き出す帰納法ではなく、一般
的な原則や法則から事例や結
論を導き出そうとするコンピ
ュータを軸とした机上論に転
化する事の開始による日本製
二輪の欠陥車両がそれです。
ライディングもマシン開発と
実は全く同じで、具体的な観
察や挙動事実から理論的帰結
を求める乗り方をしないと、
問題の根本的打開は引き寄せ
られないのです。
そして、そのような帰納法を
中心とした二輪の乗り方、取
り組み方こそ安全と円滑を人
間が身近に引き寄せるものな
のです。
「こう乗るべき」「こう走れ」
ではなく、「こういう事象が
発生する。だからこうした方
向のほうが良性方向である」
という考え方で二輪に接しな
いと、いつまで経っても先入
観や誤認を起因とする転倒を
回避する事はできません。
そして石頭はヘルメット代わ
りにはなりません。
誤認、識別不足および適正認
識未達による車両走行の先に
待っているのは、自分若しく
は他人を巻き込む人間の死で
す。
それは絶対に避けなければな
らない。
なぜならば、走行車両を運転
する者は、全員が自分だけで
なく人様の命をも預る者だか
らです。