大和が中3になった頃だったか、当時、コロナ禍で全中がなくなるだ何だとピリピリしていた時にOBを介して出稽古に来てくれた子がいた。
私も大和もその子の学年や名前も知らなかったが、聞けば大和と同級生で、正直、練習について来れるレベルではなく、中学に入ったばかりの橋間、北口にもボコボコにされていた。
前年、全中の決勝で敗れ、今年こそは日本一と意気込んではいたが、それが開催されるか分からないという苛立ちの中で練習をし、その彼はそんな練習に連日通いつめた。
当初、彼がやって来ると、基本メンバーがOBOG主体だったので、
え?あの子また来てるの?
という雰囲気になり、イケズな大和や蓮は親御さんの前で、それはそれはギッタギタのボッコボコ(想像以上。)にしていた。
こちらが気を遣うぐらいだったが、せっかく来てくれたなら厳しさも知って欲しかったので、怪我だけしないよう見ていた。
いつになったら折れるだろう・・。
常にそんな話をしていたが、皆勤で通いつめ、時に自道場の練習とかぶる事もあったが、練習を終えてからも来て驚いたこともあった。
彼が初めて来た翌回の練習でBBQをしたが、そこにもいた。
みんな、まだ名前も知らない子がお父ちゃんとBBQに来てたので、
オメー誰だ?オメー誰なんだよ!?
と微妙な雰囲気になった。
今になると笑い話だが、お父ちゃんは練習でボコボコにされるのもキツかったが、あのBBQが一番キツかったと言われていた。
正直、我が子の練習の姿を見るのがキツい時もあったが、何だか試されている気になって意地でついて行った。と言われていた。
そんな日々が続き、いつしか彼はそこにいることが当たり前の人間になり、皆から『おい!タケシ!』と呼ばれる人気者になった。
高校も柔道の推薦で行けるまでになった。
当初は、
何しに来てんだ。
直ぐに来なくなるだろう。
と言っていた大和も、今では何かにつけて、
ちょっとタケシ呼んでくれ。
と帰省の度にタケシに遊んで貰っている。


柔道が強い弱いとか、結果の有無等とか全く関係ない。
親、本人の努力、頑張る姿って、子供、大人にかかわらず認められ、それと同時に敬意に変わる。
私自身も、子供の為に辛抱し、全力でバックアップすることの重要さをあらためて学んだ、そんな出会いでした。
なぜこんな話をするかと言いますと、私のストーリーに上がって来る彼を見て、あれは誰ですか?二見の子じゃないですよね?と言われる方が多かったので紹介してみました。
ちなみに最後に何ですが、
彼の本当の名前はタケシではない・・。
タケシ!と呼ばれたのは人生初めてだったらしい。
君の本当の名は・・何だっけ。


|