457)医療大麻の真実:マリファナは難病を治す特効薬だった

図:最高裁の裁判官も厚労省の役人も、「大麻の医療効果にはエビデンスが無い」「大麻の有害性は公知の事実」などという全く根拠のない(医学的には間違った)理由を持ち出して、医療大麻の使用に向けての議論や判断を避け続けている。この「無知」はもはや「罪」の段階を通り越して「犯罪」のレベルに達している。医療大麻の正しい情報を知るだけでは十分ではなく、その真実と真理を理解できる知性(英知)を持つことが大切である。「大麻の医療効果にはエビデンスが無い」「大麻の有害性は公知の事実」と断言する裁判官や役人は、真実を追求することを怠り、自ら英知(知性)が欠如していることを暴露している。その結果、不幸になる人がいるとすれば、それは犯罪である。大麻の医療使用に関して前向きの議論をすべき時期に来ている。

457)医療大麻の真実:マリファナは難病を治す特効薬だった

【大麻に対する間違った情報がなぜ流されるのか】
公益財団法人「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」のホームページの大麻の部分には以下のような解説が記述されています。

『大麻を乱用すると気管支や喉を痛めるほか、免疫力の低下や白血球の減少などの深刻な症状も報告されています。
また「大麻精神病」と呼ばれる独特の妄想や異常行動、思考力低下などを引き起こし普通の社会生活を送れなくなるだけではなく犯罪の原因となる場合もあります。
また、乱用を止めてもフラッシュバックという後遺症が長期にわたって残るため軽い気持ちで始めたつもりが一生の問題となってしまうのです。
社会問題の元凶ともなる大麻について、正確な知識を身に付けてゆきましょう。』

大麻には、鎮痛作用、免疫抑制作用、がん細胞の増殖抑制、抗うつ、抗不安作用など多様な薬理効果があることが報告されています。
大麻は免疫系や炎症応答に対しては抑制性に作用するため、「免疫力の低下」は間違いではありません。しかし、その作用があるため、自己免疫疾患や炎症性疾患に有効な効果を発揮します。
大麻には、易感染症(免疫抑制)や精神変容作用などの副作用があるのは確かですが、頻度や程度はかなり低いのも事実です。
大麻が種々の疼痛性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、腫瘍性疾患(がん、肉腫など)、抑うつ、不安症状、PTSDなどに有効であることを言わずに、そのネガティブな部分を何百倍も誇張して記述するのは何らかの意図があるとしか思えません。
大麻がアルコールやニコチンやカフェインよりも安全性が高いのは多くの研究で明らかになっています。大麻の有害性を根拠に規制するのであれば、酒やタバコやコーヒーも同様に規制しなければ整合性は得られません。
このサイトの内容は、「包丁は凶器になるから使わないようにしましょう」と言っているのと論理的に同じです。 

【米国では嗜好用大麻が解禁され始めた】
アメリカ合衆国のコロラド州では2013年1月5日に大麻の所持と栽培が合法化されました。大麻の販売についてはライセンスや流通の規制や準備のため1年遅れて解禁され、2014年1月に大麻使用は娯楽用でも完全に合法化になっています。
大麻が合法化されたことで、ブラックマーケットが無くなり健全なマーケットが生まれ、大麻産業での雇用も増えています。大麻の販売により大麻目的の観光客や州の税収も増えています。
大麻合法化に伴って未成年者の使用が増えるのではないかという懸念がありましたが、コロラド公衆衛生・環境局が行った調査では大麻を使ったことのある高校生は減っているという結果が得られています。闇の売人(ブラックマーケット)が駆逐されることで販売が正規ルートに収束し、それによって未成年者などへの不適切な販売が減ったためと考えられています。
大麻の嗜好用使用はコロラド州と同時期にワシントン州でも合法化され、さらに新たにオレゴン州、アラスカ州、ワシントンDCで合法化されています。
2014年1月27日号のザ・ニューヨーカー(the New Yorker)という米国の週刊誌に記載されたアメリカ合衆国のオバマ大統領へのインタビューの中で、「大麻が酒より有害だとは思わない」という趣旨の発言をしています。
ワシントン州やコロラド州を始めとするアメリカ合衆国内の大麻合法化への動きについて質問され、オバマ大統領は「中産階級の若者たちが大麻を吸っても処罰されないのに、黒人やヒスパニック系などのマイノリティの若者たちが大麻を理由に不当な逮捕や監禁に合っていることが問題だ」と述べます。
また、「多くの人々が大麻に関する法律を1、2度は破っているのに、一部の人だけが罰せられているという社会状況は望ましくないので、大麻の合法化の進展は重要だ」とも述べています。
実際、オバマ政権はコロラド州とワシントン州でのレクリエーション用大麻合法化を止めるつもりがないことを表明しています。

【米国では住民の半数以上が医療大麻を賛成している】
アメリカ合衆国では現時点で23州と首都ワシントンDCで医療大麻の使用が認可されています。大麻は規制物質法のスケジュールI(濫用の危険があり、医学的用途がない)に分類されているため、連邦法では医療大麻は違法です。しかし、住民投票で医療大麻の使用を許可した州の法律を連邦政府が規制できないという最高裁の判決が出ています。
米国では多くの州で住民の半数以上が医療大麻が必要だと意思表示しています。娯楽用大麻も半数以上の住民が賛成する州が増えています。
日本で同様の住民投票を行っても、賛成はせいぜい数%、場合によっては1%に届かないかもしれません。
米国と日本のこの歴然とした差はどこにあるのでしょうか。その理由は、日本では大麻も医療大麻も正しい情報が提供されていないからです。
日本では大麻に関する議論は、覚せい剤やヘロインなどの麻薬と同一視されて「ダメ・ゼッタイ」のスローガンのもとで完全な悪者扱いとなっています。
日本国民の多くは「大麻は安全で医療効果がある」という事実を知らされていないと言えます。
精神変容作用の負の部分だけが強調され、麻薬のレッテルを貼られ、日本人は「大麻は危険な植物」と洗脳されています。

大麻がいかに安全で医学的に有用であるかは、今や医学の常識となっています。
アメリカ合衆国を始め世界中の国々で起こっている現実の動きから目を背けることはできなくなってきています。少なくとも、大麻の医療使用を禁じる合理的な理由はもはや無いと断言できます。
しかし、それをあまり目立って主張するといろいろと圧力がかかってきます。
その真実を知っていても、大麻の研究者の多くは医療大麻の有用性を言いません。大麻は国が禁止している植物であるため、大麻を擁護する意見を述べることは、学者としてマイナスに働くからです。
学者が誰一人何も言わないので、開業医の私が「大麻は医学的に有用な薬草である」という真実をまとめ、出版しました。
これを書くために、数百の医学論文や書籍を読みました。そして、その文献的考察と、最新のアメリカからの情報から、「大麻は医療において利用すべき価値がある」「大麻が危ない植物であるという意見は明らかに間違いである」という確信を得ました
私が行っているがんの代替医療においても、もし医療大麻が使用できるようになれば、最も利用価値の高い医薬品となると確信しています。
がんで苦しんでいる患者さんは多くいます。食欲低下や体重減少や抑うつ症状など、多くの問題をがん患者さんは訴えています。大麻はこれらの諸症状に最も効果がある可能性があります。
大麻の主要成分であるΔ9-テトライドロカンナビノールとカンナビジオールには直接的な抗がん作用があることが報告されています。
西洋医学で匙を投げられたがん患者さんに、希望を与える治療法になります。
米国のコロラド州やワシントン州では娯楽用(嗜好用)のマリファナも許可されています。その理由を日本人も理解する必要があります。
日本でも、そろそろ、医療大麻の使用に向けて前向きな議論をすべき時期にきていると思います。

本の内容(目次)については以下のサイトをご参照下さい。
http://www.1ginzaclinic.com/book-marijuana.html

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