黄泉の醜女(志許売)においかけられたイザナギは右の美豆良<ミズラ>に括りつけていた
“黒髪鬘<クロミカヅラ>”
を投げ捨てます。
ここへきて、ちょっとまたまた、横道へ反れますのでご勘弁を!!!!!!
と云いますのは、昨日も書いたように、上代には、絵のように、男女ともその頭に飾りとして『蔓草』を使っていたのです。
あの「天津日子根命」を生んだ天照大神の髪に纏った「玉鬘<タマカヅラ>」も蔓草です。
元来、蔓(かづら)・葛(かずら)は長く地をはい、どこまでも伸び拡がることから、命が長らえるようにと人々の頭飾りとして使われたのですが、それが後になって(万葉の頃から)「絶えぬ」「長し」「はふ」「たゆ」「操る」等の枕詞として使われ始めたのだそうです。
さて、「黒髪鬘」を、宣長は
「<クロミカヅラ>と読むのがよく、黒色の髪飾りではなく、鬘の一種である」
と説明しております。そして、その鬘から蒲子<エビカヅラノミ>が生えたのです。それを追い来る「予母都志許売」に捕まらないで逃げきる手段にしたのです。さて、それは明日に。