吉備王国消滅後は・・屯倉の設置

　星川皇子一派の敗北により吉備王国は完全に消滅し、大和朝廷の支配下に置かれますが、それでもなおその王国としての力があったのでしょうか直ぐには完全なる支配は出来てはいませんでした。少しずつその力を弱めている政策を大和王国は取ったのです。その一つが吉備国へ

　　　　　　　　　　　　　　”屯倉＜ミヤケ＞”

　の設置です。
　この「屯倉」とは、吉備や筑紫など各地方にある大和朝廷が横奪した直轄の地に建てた倉庫群のことです。ということは朝廷が地方の国々の持ってる土地へ侵入して、直接の支配地を拡大させて言うという方法だったのです。しかし、日本書紀によると、吉備へのこの屯倉の設置は大変な配慮の下で置かれています。いきなり吉備の中央部へではなく、まず最初は周辺地域から始まります。六世紀初めの安閑の時代からです。
　日本書紀によると、まず、吉備に最初に設置されたのは

　"備後国＜キビノミチノシリノクニ＞の後城＜シツキ＞屯倉・多禰＜タネ＞屯倉・来履＜ククツ＞屯倉・葉稚＜ハワカ＞屯倉・河音＜カハト＞屯倉を置く”

　とあり、現在の井原市や矢掛町辺りに設置された屯倉だということが分かります。いきなりその中央部ではなく、当時の吉備国でも中央から相当離れている辺鄙な場所から設置された出します。ここらあたりからも大和の吉備に対する配慮が十分に窺がわれます。