恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

19.my story

2006年09月15日 | 自分の恋
 非常勤講師を辞めたくてしょうがなかった。
 高校生からふられて、他の先生からも変な目で見られ、生徒の信頼も失っていた。好きな生徒との電話代が月に5万円もかかっていて、お金が底をついた。姉からも借金をしていて、大学の友達にも40万円ほど借りていた。
 私は最悪な男だ。
 大学の頃は、毎日の様にギャンブルにハマっていて、授業をサボり、むさぼるようにパチンコ、スロットをしていた。目の色も輝きを失い、不規則な生活をして、ブクブクと体も太っていた。パチンコという物は、恐ろしくて、今ではトラウマにさえなっている。
 パチンコのチカチカと光っている店のネオンが呼んでいて、無意識のうちにパチンコ台の椅子に座っているのだ。もう病気としか言いようがない。
 いつの間にかお金をつぎ込み、気づいたら三万円くらい負けている。こんな調子で、あっという間に40万円友達から借金をしていた。これが金融会社から借りていたら、首をつっていたかも知れない。だから、友達には本当に感謝している。
 パチンコはしていたものの、教員免許の授業だけは必ず出ていた。私は先生という職業に憧れていたからだ。「今を生きる」という映画を見て、こんな先生になれたらいいなと思っていた。生徒から信頼される先生だ。
 大学卒業後、ギリギリで非常勤講師になったのはいいが、私が生徒の事を好きになってしまって、死ぬほど生徒の幸せを考え、頭が可笑しくなってしまった。
 人生でこれほど考える事はないだろうというくらいに考えた。
 お金もなくなり、借金をどうする事も出来なくて、新聞の「ファミレスアルバイト募集」の広告が目にとまり、夜だけアルバイトに行くことにした。
 少し雪がちらつくとても寒い12月の頃だった。ファミレスの中に入ると、暖房がきいていて、温かかった。
 背丈が小人の様に小さく、笑顔が可愛いい店員が迎えてくれて、店長を呼んだ。
 サバサバした女の店長がフロアーに出て来て、「いつから来れますか。」としゃがれた声で聞いた。私はお金に困っていたので、「明日からでも来れます。」と答えた。店長はうれしそうに「すぐにでも電話します。」と言った。よほど人がたりない感じがした。私は一週間ほど電話を待って、ファミレスのアルバイトとしての採用が決まった。
 キッチンでも良かったのだが、フロアーの人がいないという事で、フロアーになり、慣れる為に一番忙しい時間帯に入る事になった。
 山ちゃんと呼ばれる人から指導を受けた。山ちゃんという人は、素早くて、ついていくのがやっとだった。
 速さで言うならマッハ5くらいだろうか。料理を持っていくのも早いし、お客さんとの対応も早い、片付けなんか、瞬きをする間にあっという間だ。
 私はそれを見てやっていけるか不安だった。
 その頃は、お客さんからキレられたりもした。
 髪は茶髪で、耳にはピアスをして、いかにもヤンキーですみたいな若い男から、「しゃべるな。」と怒られた事もあるし、料理を持って行く時に、ヤクザの頭に手が当たり、「俺たちはヤクザやぞ。」みたいな事を言われたりもした。
 私は短気だったのだが、お金の為に色々な事を我慢していた。
 長く勤めると気も穏やかになっていった。
 3日くらいで辞めようかとも思っていたが、同じバイトの人達がいい人ばかりで、もう少し、あと少しいようと常に思っていた。
 三ヶ月もすると、店の雰囲気も分かり、みんなと話せるようになった。9時から朝の1時までの時間帯に入るようになり、閉める作業を憶えた。
 無口な背が高い伊藤英明に似た人から閉め作業を教えてもらい、憶えたら一人で閉めれるようになった。
 臨床検査技師の免許を取る為に勉強をしている背が小さいおかっぱ頭の女の子がいて、真夜中にお酒を飲んでフラフラとファミレスに遊びに来ていたのだが、何でも家の鍵がなくてどうしようと悩んでいた。
 仲良くなって、恋の話しなどをする様になったのだが、英明似の人は、どうやらその子が好きらしくて、二人とも控え室で向かい合う度に無口になるみたいだった。
 私の家の喫茶店に二人で遊びに来てくれた事もあって、初々しく手を握っていた。私が笑うと、二人ともニッコリと満足そうに笑っていた。
 店の定食を食べて帰ったのだが、今思うといろんな事が繋がっている様に思う。 そのカップルは、赤ちゃんが出来て、結婚をして、幸せそうだ。
 お似合いのカップルで、見ているこっちまで幸せになる。是非元気な赤ちゃんを産んで欲しいなと思った。父親に似て、カッコイイ男の子になるだろう。
 もう一人、背が小さい女の子がいるのだけど、彼氏の事で悩んでいた。笑顔が可愛いくて、お客さんからも人気がある。クリクリとしていて、クリボーとあだ名をつけた。
 表ではニコニコしているのだが、控え室では何かあるたびに泣いていた。洪水で世の中が沈んで見えた。見ているとこっちまで悲しい気持ちになってしまう。私にはどうする事も出来ない。彼氏がちゃんと彼女の事をしっかりと支えてあげるべきだと思った。
 一年もすると、働いている店員もガラっと変わった。相変わらず彼氏の事で悩んでいるクリボーもいるが、最近はいい男と付き合っているから間違いはないだろう。
 ある時、クリボーがお客さんと話している男二人がいた。
 K君とM君だ。ハンバーグのソースの質問をしているらしく、クリボーが笑って私の所に面白い奴がいると言った。私もついて行くと、本当に無邪気で面白い奴がいた。それから、携帯番号を教えあう仲になり、私の方が友達になった。
 K君は女の子を連れてよくファミレスに来ていた。ダパンプのイッサに似ていて、女の子にもててるみたいだった。それを見るたびに愛って何なのだろうかと頭でよぎっていたが、私には答えなど分かるはずもなかった。
 女にモテル理由というのも分かる気がする。憎めないかっこよさがあり、ノリがいいから私の方まで心地よくなるからだ。それに比べてM君は、おとなしくて知的な感じがした。こうやって、男の友達が増えていった。
 クリボーのおかげで10人くらい友達になっただろうか。私も人が好きなので感謝している。
 出会いというものは不思議なものだ。昨日まですれ違っていたのに、ほんの些細な事で挨拶をする様になり、友達になり、笑ったり、泣いたり、お互いするのだ。
 人生って本当に可笑しくて楽しいなと心から思う。 
 
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2 コメント

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Unknown (m.k)
2006-09-17 00:15:53
お互い大学を卒業して、たまの電話とメールばかりで会えないな…。新潟と熊本だからしかたないけどね。あのときは、ホントにパチンコばかり行ってたけど、全員一緒に卒業できたし、今はいい思い出だよ!

卒業後、kiboooも良い友達に恵まれたみたいで良かったね。こっちも男女問わず良い仲間に恵まれ、楽しく過ごしてるよ。

また、遊べる日を願って…
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ビックリ。 (キーボー)
2006-09-17 05:35:49
 新潟のMKだね。コメント来てビックリしたよ。そういえば、世界中が見れるブログだったね。

 いい思い出にしてもらって、ありがたい限り、今では輝いていますよ。なんちゃって(笑)



 借金はコリゴリしていますよ。

 もう二度とする事はないでしょう。車にせよ、家にせよ。現金で買うようにします。



 まだ先になりそうですが(笑)

 新潟に本当遊びに行きたいです。



 彼女連れてでも…そういえばまだいなかった(T_T)
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