恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

4.白夜

2007年05月30日 | 語る恋
 今夜は白夜。真夜中なのに昼の様に明るい。月を見るとダイヤモンドのように輝いていた。かぐや姫が天に帰る時がこの日だったと言われている。
 100年に一度あるかどうか分からないこの現象。世界では拝む人がいたり、散歩に出たりしている。
 古びたマンションの一室。
 老人が座り心地が良い椅子に毛布を膝にかけて座っている。
 私は随分と歳を取った。もうそろそろ約束の期間は過ぎただろうか。
 あれはいつだっただろう。
 20歳の頃、白血病で死んだ彼女との約束。彼女の分まで生きるという事を誓い今まで生きて来た。
 今宵は月が綺麗だ。
 月を眺めていると、ベランダの所に彼女が現れた。
 「私は、君の為に頑張った。もうそろそろいいかい。」私は彼女に問いかける。
 「もういいわ。さぞや疲れたでしょう。私の分までよく頑張ったわ。一緒に行きましょうか。」彼女の姿が月の光で見えなくなると、老人はゆっくりと静かに目を閉じた。
 
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