出版ニュース』2008年2月下旬号に「2007年の出版物発行概況」について解説が載っている。
それによると、出版界全体の売り上げはまたまた前年比割れで、書籍がマイナス3.2%(9026億円)、雑誌がマイナス3.1%(1兆1827億円)。書籍は「ハリ・ポタ」のような商品がなかったこと、さらに新書、文庫、ケータイ小説のような低価格本が売れていることなどが原因と思われており、雑誌は10年連続の低落傾向が止まっていない。『ダカーポ』、『SAY』、『イミダス』、『知恵蔵』などが休廃刊になった。
新刊の発行点数は77417点。書籍の返品率は39.4%(金額換算)と、ほぼ4割である。完璧に危険ラインである。もちろん全送品数に対する率であるが、単純に考えてみるとこうなる。
1冊1000円の本を10冊取次に出すとする。1000円×10冊×68%(卸率)=6800円。4割が返品されるから1000円×4冊×68%=2720円。その差額6800円-2720円=4080円が出版社に入ってくる。がこれがまるまる利益になるわけではない。まず、印刷製本代が新刊の場合、一部大手出版社は例外として、大体定価の30%~35%前後になると考えられるので1000円×35%=3500円かかる。これは本が売れても売れなくても関係ない。出版したからには必ず発生する費用だ。ということは4080円-3500円=580円となり、ここから印税や人件費や広告代やなんやかんやかかるわけだから、どう考えてもこれでは成り立たなくなるのは当然のことなのだ。まあ実際には10冊ということはないのだが、だいたいこんな感じで中小零細出版社はやっているのである。
話が逸れてしまったが、2007年の新刊の平均価格は1152円(前年比マイナス1.9%)。3年連続下がっている。書店の人に聞くと、映画になったり、芸能人が書いたり、とにかく話題になって気軽に手にとられて買われベストセラーになる本はその多くが1000円前後の本だという。1000円の本ねえ、ウチの場合はどうなるのだろうかと考えてしまった。