ラースフォントリアー監督の問題作やっこさ鑑賞
この監督の作品を見るのは「メランコリア」以来やな
これは体力のいる映画です
もちろん見る人によりますが…
サイコパス連続殺人者による殺人マイベスト5
といいますか、60件以上も犯してきた殺人の記録を思いつくまま5つのエピソードに分けて殺人者ジャックがナレーション的に語る構成で、聞き取るのが謎の老人…それは取り調べ官かまたはカウンセラーなのかはたまた…?
このへんもこの作品のキモではあるのですが、ここではそれに触れずに、語られる殺人エピソードの場面について言えば、映画のモラルを関係なく破壊していく場面の連続でマットディロンもこの映画に良く出たなーと思いました
しかしこのジャックと言う役を見事に怪演してくれました
冒頭、車の故障トラブルで立ち往生することユマサーマンと関わった事から主人公のジャックの人生が変わります
このユマサーマンの挑発的かつ横柄かつ小バカにした態度にブチ切れて工具で撲殺してしまってから殺人を覚え、やがてアートとしての殺人に傾倒していく
ま、発端のユマサーマンの態度はちょっとおかしいね
車の故障により通りがかったジャックに強引に乗せて貰ったにかかわらず「私を誘拐して殺すでしょう?」とか「この車は誘拐にうってつけ」など何故かジャックをバカにして挑発するような態度を取る
色んな人が世界にはいるもんだ…
結局その態度がアダで殺されるんですがね
2つ目のエピソードはジャックが警察と名乗り一人暮らしの未亡人の家に押し入ろうとするんたが不器用な最初の殺人ど比べ、口八丁で未亡人の警戒を解き家に入れさせる程慣れた手口で犯行を決行
しかし殺害後綺麗に血を拭き取り片付けて逃げようとするんだが、車に乗ってからカーペットの下や机の脚の下に血が飛んでないかどうか気になり出し、犯行現場を行ったり来たりするのはなんか笑える
私も家を出た後にクーラー切ったか?とか窓鍵をかけた?とか気になり何度も家に戻ってしまうアレを思い出した(笑)
で、そんなんしてるウチにここで警察に職質されてしまう
だがずさんながら死体を隠してこれまた上手く誤魔化して逃げ切る
死体を車で引きずったまま家に帰り、血の跡は奇跡的に豪雨が降り流されると言う恐ろしいまでの強運を神の祝福と取るジャック!
この2つの犯行はは割と丁寧に描かれてるのはジャックと言う男の性質を見せる意味で重要な部分ですね
後の3つのエピソードは犯行から入るからね
後は動物虐待、死体損壊、女子供も容赦せず惨殺!行きたまま乳房えぐり取りなど異常なほどの猟奇性をいかにも真っ当な講釈を語りながらジャックの殺人の記録を見せられる
冷凍室に殺した全ての死体を集めていて、死体で遊んだりして果てはついに死体で◯を建てる!
トリアー監督の作品群の一場面出てきたり、ヒトラーのフィルムが出たりちょっとコレはトリアー監督のダークな部分を見せらてる映画かなと思ったりました
そして陰湿な殺人の記録ながら不似合いながらぐらい音楽がとてもいい!
このアンバランスさがこの映画の異常性を引き立てる
稀代の殺人鬼の誕生を前半2つのエピソードで見せ、3つの異常なエピソードを経てエピローグでその行く末を見せてくれる
ここでこの作品のカラクリがわかる訳だが、こいつは死んでもただでは死なず復活するのでは?と思わす程のキャラはマットディロンの芝居の為せる技ですね
しかしカンヌで途中退室されるのわかるわ!
★★★★ 2019.7.5(金) なんばパークスシネマ シアター2 20:15 D-3