◆ 突撃インタビュー ◆
市民レポーターの浅野です。
前2回にわたって、「杖道」をお伝えしてきました。
1回目は、「甲府市で行われている古武道」を求めて、
たまたま杖道の稽古風景に出合った時の報告でした。
2回目は、杖道を教えておられる先生(江角先生)から、
「杖道とはどういう武道か」についてインタビューしましたので、その報告でした。
※舞鶴城公園の中にある武徳殿でも杖道の稽古が行われています。
今回は3回目になるのですが、実際に杖道を稽古しておられるお二人の方から
お声をいただきましたので、ご報告します
場所は、小瀬スポーツ公園の武道館です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆ インタビュー ◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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Aさん(44歳)、山梨県の警察関係の方です。
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杖道を始めたのはいつごろですか?
A:本格的に始めたのは12~3年前からです。
20年ほど前に杖道に触れたことはあるのですが。
杖道を始めたいというきっかけは?
A:杖道は最強の武道だという理解はあったので、いつかやってみたいと思っていました。
でも、剣道や居合をやっていましたので、時間的に余裕がありませんでした
しかし杖道は杖があれば稽古できるので
一番手軽に稽古できる武道だと思ってはじめました
杖道は同じ左右の動きを稽古するので、
バランス感覚を養うには一番いいのではないかなとも思いました。
(追記:Aさんは剣道と居合道の先生とのことでした。)
杖道の魅力はどう感じていますか?
A:仕事が警察関係なので、護身と言う意味でとても良いと思いますし、
左右均等に身体を鍛えられるので、杖道は良いと思います
他の武道と違ってここが大変だというところはありますか?
A:指導が厳しいというところでしょうか!(笑)
杖道の稽古は真剣そのものなので、他の武道より大変です
稽古形式は「形稽古」なのですが、一歩間違えば大けがになる稽古なので、
真剣みが他の武道と違っています。
その分、大変ですね。
ご家族の方にも杖道を習わせたいな、と思われますか?
A:思いますね
中3と中2の男の子で、今剣道をやらせていますので、
いつか杖道もやってもらいたいと思っています。
カミさんがやってくれれば一番いいのですが
当面の目標は?
江角先生:我々は修行として稽古をしているので、目先の目標というものはありません。
A:全く同感です。
同じことの繰り返しを誰にもまねできないぐらい真剣にやっていく、
というのが心の成長につながっていくように思いますね。
よく他の武道にあるように、優勝したいとか段位をとりたい、
という目標より自己の成長を目標においていますね
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次のインタビューはBさん・県庁の職員の方です。
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杖道を始めたのはいつごろですか?
B:4年前です。
甲府での稽古が始まったのは5年前ですから、
1年後に入門したことになります。
杖道を始めたきっかけは?
B:職場(県庁)にポスターが貼ってあって、それを見て来ました。
ポスターを見て、「ぜひやりたい」と思われましたか?
B:はじめはどういうものか試してみました。
ちょうど、お腹が出始めていたので、ちょうどいいかな、と思いました。
武道の経験はあまりないのですが、杖道の稽古の真剣さと、
相手を抑えるための力学的な説明に魅力を感じて続けることにしました
他の武道の経験は?
B:中学の時に柔道、弓道をやりましたが、
本格的な武道と言う意味では、杖道が初めてです
稽古を初めて、杖道への不安はありませんでした?
B:不安と言うより、すごいことをやっているな、という実感がありました
杖道の魅力はどんなところに感じますか?
B:技がいろいろある、というところに魅力を感じます
理論的な裏づけがありますから。
出来なかった技が、だんだんに出来るようになる、ということに魅力を感じます。
稽古で特に大変だ、と感じるところは?
B:似たような形がいろいろあって、やっているうちに頭が混乱しますよ
毎日自分で稽古していても、改めて稽古の日に確認することが多いです。
他の武道もやってみようという気にはなりませんか?
B:いろいろ武道はありますけど、年齢的にもいっぺんに覚えられないし、
杖道に身体がなじんできたので、出来る限り杖道を続けていきたいと思っています。
補助として「トレーニングルーム」のような運動をやってみようと思いませんか?
B:時間的に無理ですね。他にやっていることもあるので。
江角先生:筋トレは勧められません
武道の筋力は稽古で養わなければいけません。
不要な筋肉がついてしまうと動きが鈍くなってしまいます。
無駄な筋力が武道に役立つ訳ではありません
稽古を続ける上で、特に気をつけている点は?
B:体調管理ですね
毎週土曜日に稽古をしていますが、相手がある稽古なので、
自分の不調は相手に影響を与える可能性もあるので、その点は気をつけています。
あとは、稽古中気力が続くように、ちゃんと睡眠をとって来るように気をつけています。
ご家族の方にも杖道を習わせたいな、と思われますか?
B:大学生の息子がいますが、いろいろスポーツをやっていますので、
武道系にも関心をもってくれれば良いなと思います。
学校の先生になろうという息子もいますので、関心を持ってもらいたいと思っています。
当面の目標は?
B:制定型12本の技のうち、今11本まできたので、
あと1本をしっかりと稽古したいのが目標です
12本の次はどうなるのですか?
江角先生:本人の技に対する理解、修得状況、修行に対する姿勢を観て考えます。
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今回は、お二人の杖道門人の方にお話を伺いました。
はじめのAさんは武道に深い経験と実力をお持ちの方で、
あとのBさんは武道が初めてに近い方です。
いずれの方も、杖道に出会えて良かったという気持ちが伝わってきましたし、
終生の求める道として立ち会っていこうという静かな熱意も感じることができました
※今回の取材で大変お世話になった甲府杖道会の小林さんです。
※武道は、礼に始まり、礼に終わります。
以上で、甲府市で稽古が行われている杖道を3回にわたって紹介しました。
「甲府市に根付く古武道」というテーマでお送りしましたが、
甲府市に「根付く」ためにはもう少し時間が必要なようです
伝統文化を次世代に継承するには、
頭ではなく体に刷り込まなければなりませんのでとても大変なことです
伝統文化に取り組み、今の生活に活かし、且つ将来に繋げようと、
地道な活動をしている人たちがここにいる、という一例として杖道をご紹介しました
江角先生、小林様、稽古中の皆様にいろいろご協力をいただきました。
御礼申し上げます。