AWA@TELL まいにち

南山大学で、日本語教育に携わる人材の養成を行っています。ホームページも是非ご覧ください。

衆議院通過 「日本語教育の推進に関する法律案」 第198通常国会

2019年05月29日 | 日本語教育
日本語教育の歴史の中で、画期的な法律が衆議院を通過しました。

条文は以下に取り上げて、一つ一つ考えていきたいと思いますが、衆議院のHPはこちら

上田個人のコメントは「■」です。そんなに熟考していませんから、浅いコメントです、ごめんなさい。

終わりのほうは疲れました。書き改めていくことも出てくると思いますが、今日はこんな感想程度のもので。


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衆法 第198回国会 10 日本語教育の推進に関する法律案





   日本語教育の推進に関する法律案
目次
 第一章 総則(第一条―第九条)
 第二章 基本方針等(第十条・第十一条)
 第三章 基本的施策
  第一節 国内における日本語教育の機会の拡充(第十二条―第十七条)
  第二節 海外における日本語教育の機会の拡充(第十八条・第十九条)
  第三節 日本語教育の水準の維持向上等(第二十条―第二十三条)
  第四節 日本語教育に関する調査研究等(第二十四条・第二十五条)
  第五節 地方公共団体の施策(第二十六条)
 第四章 日本語教育推進会議等(第二十七条・第二十八条)
 附則



   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、日本語教育の推進が、我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に資するとともに、我が国に対する諸外国の理解と関心を深める上で重要であることに鑑み、日本語教育の推進に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針の策定その他日本語教育の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現に資するとともに、諸外国との交流の促進並びに友好関係の維持及び発展に寄与することを目的とする。

■ 「目的」に、日本に居住する外国人が「日常生活および社会生活を国民とともに円滑に営む」と書かれています。日本で働くために必要な、ではないところを個人的に高く評価します。外国人本人の生活を円滑にするための日本語教育というのは、私が学生さん相手にずーっと話していたこと。日本で「働くために必要な」とか「就労に不便のない」とかが最初から書かれていたらつらいところです。


 (定義)
第二条 この法律において「外国人等」とは、日本語に通じない外国人及び日本の国籍を有する者をいう。
2 この法律において「日本語教育」とは、外国人等が日本語を習得するために行われる教育その他の活動(外国人等に対して行われる日本語の普及を図るための活動を含む。)をいう。

■「日本語に通じない外国人」という言葉、去年法案のたたき台が出された時にも気になった人が多かった部分ですね。そのままだ。第二項で、授業そのものだけを指すのではない、とされたこともよかったのではないでしょうか。交流イベント的なことでも、対象としていただけるようです。




 (基本理念)
第三条 日本語教育の推進は、日本語教育を受けることを希望する外国人等に対し、その希望、置かれている状況及び能力に応じた日本語教育を受ける機会が最大限に確保されるよう行われなければならない。
2 日本語教育の推進は、日本語教育の水準の維持向上が図られるよう行われなければならない。
3 日本語教育の推進は、外国人等に係る教育及び労働、出入国管理その他の関連施策並びに外交政策との有機的な連携が図られ、総合的に行われなければならない。
4 日本語教育の推進は、国内における日本語教育が地域の活力の向上に寄与するものであるとの認識の下に行われなければならない。
5 日本語教育の推進は、海外における日本語教育を通じて我が国に対する諸外国の理解と関心を深め、諸外国との交流を促進するとともに、諸外国との友好関係の維持及び発展に寄与することとなるよう行われなければならない。
6 日本語教育の推進は、日本語を学習する意義についての外国人等の理解と関心が深められるように配慮して行われなければならない。
7 日本語教育の推進は、我が国に居住する幼児期及び学齢期(満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから満十五歳に達した日の属する学年の終わりまでの期間をいう。)にある外国人等の家庭における教育等において使用される言語の重要性に配慮して行われなければならない。

■第一項にかかれている「その希望、置かれている状況及び能力に応じた日本語教育を受ける機会」、そのためには、地域の日本語学習機関、日本語学校のみならず、ボランティアベースの教室もそうですが、指導できる対象、レベル、到達できる日本語能力の明示が必要となってきます。少なくとも、学習者の機会を「最大限に確保」するためには、情報の提供と、それに基づく「選択」が必要です。選択できず、尋ねた教室や学校に縛り付けるのは大きな間違いですから、初級対応しかできないのであれば、上級の学習者さんを上手につなげていけるように、教室間の情報連携が重要になってきますよね。

■第二項、日本語教育の水準の維持向上、ですから、資格化を視野に入れた研修でのスキルアップを求めることになりますね。現行の教員免許状のような、免許更新講習とか、初任研、10年研といった仕組みが参考になるかもしれません。文化庁が出した教員の質の維持向上の研修案なんて、そのためには活用できる重要なものですよね。

■第三項は入管制度、オリンピックまでの拡大と、オリンピック後の引き締めというのが想像できるだけに、若干引っかかるところがあるんですが、まあ、これは実際にどう運用されるかだ。これだけ、まともに運用されるようなことになったら、言いたいことがいっぱい出てくる。

■第四項は、地域の国際化。これが、多分、一番厄介。保育園の設置や、児童保護施設、葬祭場に対する反対が不通に生じるこの国だけに、外国人が多数居住するアパートなんかは、地域から立ち退け、という苦情が出てきたりするんじゃないかな。どうすれば、外国人との交流を日常レベルまで引き寄せることができるのか、イベントで終わらない交流活動はどうあるべきか、働き始めてずーっと考えているけど、いい考えが浮かびません。

■第六項は、日本語教育だけじゃない、学ぶことの意義について理解と関心が深められるように、というのは、小中学校、高校、大学だって同じ。

■第七項で、子どもたちに言及されたのはいいんだよな、母語への配慮と取れる文言も盛り込まれたし。でも、母語をどう守っていくのかは、この法律では触れられておらず、自治体も国も、母語保持に関しては、家庭任せ、というスタンスなのかな。加えて、母語獲得、発達という視点で見たのか、学齢期を特に取り上げているよね。実際には、学齢期を外れて来日してきて、義務教育課程に入る子どもたちもいるから、学齢期、に必ずしもこだわらなくてもよかったんじゃないだろうか。





 (国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、日本語教育の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
 (地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、日本語教育の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
 (事業主の責務)
第六条 外国人等を雇用する事業主は、基本理念にのっとり、国又は地方公共団体が実施する日本語教育の推進に関する施策に協力するとともに、その雇用する外国人等及びその家族に対する日本語学習(日本語を習得するための学習をいう。以下同じ。)の機会の提供その他の日本語学習に関する支援に努めるものとする。


■国や自治体が、どの程度予算を割くつもりがあるのか。いや、スタート後の数年は、地域の人材養成と並行しているから、十分な成果が出ないうえに金ばかりかかる、というのは覚悟していただきたいと思うし、一年で何とかなるなんて、担当者が思っていないことを祈ります。

■事業主の責務について、「努める」が精一杯だったか、冒頭の「目的」に即して、「希望に応じた機会の最大限の提供」ができていない場合、外国人の雇用を一程度認めないくらいの運用になればいいんだけど、いや、会社を計画倒産させて、別会社にしたりするという逃げ道があるだろうからね、事業主本人は、収監するくらいの強い姿勢で出てほしいと思うんだけど、まあ、あくまでも個人の希望。




 (連携の強化)
第七条 国及び地方公共団体は、国内における日本語教育が適切に行われるよう、関係省庁相互間その他関係機関、日本語教育を行う機関(日本語教育を行う学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校及び同法第百三十四条第一項に規定する各種学校をいう。)を含む。以下同じ。)、外国人等を雇用する事業主、外国人等の生活支援を行う団体等の関係者相互間の連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする。
2 国は、海外における日本語教育が持続的かつ適切に行われるよう、独立行政法人国際交流基金、日本語教育を行う機関、諸外国の行政機関及び教育機関等との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする。

■まさに、言うは易し、行うは難し、だな。お手伝いできることがあれば積極的にお手伝いしたいけども。




 (法制上の措置等)
第八条 政府は、日本語教育の推進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

■財政上の措置。この一文が入ったことは、すばらしい。関係の皆さんに敬意を表します。無駄遣いがないように、必要なところに必要なだけ経費が回りますように。





 (資料の作成及び公表)
第九条 政府は、日本語教育の状況及び政府が日本語教育の推進に関して講じた施策に関する資料を作成し、適切な方法により随時公表しなければならない。

■ 外国人児童生徒支援に関する様々な施策、資料、これまでも文科省がエネルギーを注いで進めてきてくださっていますが、不思議なほど、周知されていない。「適切な方法」ではなかったのかもしれません。かかわる人すべてが把握できるような方法を考えていく必要があります。




   第二章 基本方針等
 (基本方針)
第十条 政府は、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 日本語教育の推進の基本的な方向に関する事項
 二 日本語教育の推進の内容に関する事項
 三 その他日本語教育の推進に関する重要事項
3 文部科学大臣及び外務大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 文部科学大臣及び外務大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 文部科学大臣及び外務大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
6 政府は、日本語教育を取り巻く環境の変化を勘案し、並びに日本語教育に関する施策の実施の状況についての調査、分析及び評価を踏まえ、おおむね五年ごとに基本方針に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
7 第三項から第五項までの規定は、基本方針の変更について準用する。


■持続可能な、これは人的にも、財政的にも、ですが、日本の頭脳が集まって検討するのですから、きっといい方向に。船頭多くして、ということにならないことを希望します。とりあえず、5年ですね。






 (地方公共団体の基本的な方針)
第十一条 地方公共団体は、基本方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を定めるよう努めるものとする。

■仕方ないと思いつつも、「その地域の実情に応じ」は、往々にして「何もしない」ことの言い訳になっています。外国人数が少ないから、とか、ニーズがないから、とか。じゃあ、準備くらい始めろよ、と思うんですけどね。外国人が居住を始めてからの準備では手遅れです。隣の自治体へ行ってくれ、というのも無責任極まりない。隣の自治体の教室に通うタクシー代を出す気ならまだいいけど。



   第三章 基本的施策
    第一節 国内における日本語教育の機会の拡充
 (外国人等である幼児、児童、生徒等に対する日本語教育)
第十二条 国は、外国人等である幼児、児童、生徒等に対する生活に必要な日本語及び教科の指導等の充実その他の日本語教育の充実を図るため、これらの指導等の充実を可能とする教員等(教員及び学校において必要な支援を行う者をいう。以下この項において同じ。)の配置に係る制度の整備、教員等の養成及び研修の充実、就学の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、外国人等である幼児、児童、生徒等が生活に必要な日本語を習得することの重要性についてのその保護者の理解と関心を深めるため、必要な啓発活動を行うよう努めるものとする。

■少なくとも、教員の人事異動、人事配置に関して、免許状の科目だけを見ることなく、大学で何を学んできたのかも、きちんと押さえてください。愛教大は、1987年に日本語教育コースが設置され、1991年から、毎年20~30人の卒業生を送り出し、多い年はほぼ全員が、少ない年でも一割程度が、中学高校の英語または国語の教員免許状を取って出て行っています。教員になっている卒業生も多いのです。すでに、一期生は校長になるような年になっています。ですが、外国人児童生徒の指導を担当している卒業生にあったことがない。それが、異常なんですよ。ずぶの素人に日本語指導をさせるのではなくて、少なくとも、日本語教育の実習を経験している人たちに任せませんかね。これは、日本各地の教育委員会に声を大にしてお願いしたいことです。


 (外国人留学生等に対する日本語教育)
第十三条 国は、大学及び大学院に在学する外国人留学生等(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)別表第一の四の表の留学の在留資格をもって在留する者及び日本の国籍を有する者であって我が国に留学しているものをいう。次項において同じ。)であって日本語を理解し、使用する能力(以下「日本語能力」という。)を必要とする職業に就くこと、我が国において教育研究を行うこと等を希望するものに対して就業、教育研究等に必要な日本語を習得させるための日本語教育の充実を図るために必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、外国人留学生等(大学及び大学院に在学する者を除く。)であって日本語能力を必要とする職業に就くこと又は我が国において進学することを希望するものに対して就業又は進学に必要な日本語を習得させるための日本語教育の充実を図るために必要な施策を講ずるものとする。

■留学生を集めるために、英語で授業をする、という大学院の設置は、日本で就労するという可能性を極めて低くしています。わたしは、大反対です。日本に留学して、修士なら2年、博士なら3年、それ以上暮らしているのに、まともに日本語が話せない、なんてありえないでしょう。英語ができる留学生は、日本には来ないとずーっと言っているんだけども、英語で授業をすれば留学生がくるって、なんで簡単に考えるんだろう? 教室出たとたんに、何もかも困るのに。大学の掲示物だって、全部英訳がついているわけじゃない、シラバスや学生生活のガイドブックがすべて英訳されているわけでもない、まして、大学を離れた地域社会でどれだけ英語が使えると思っているのか。以前勤めた大学で散々な目にあったし、英語だけで大丈夫、と言われたのを信じてきた留学生は、なおさらひどい目に合ってるのを見てるから。友達はできないし、娯楽はないし、大学と家の往復だけ。地域社会とのかかわりも全くない。



 (外国人等である被用者等に対する日本語教育)
第十四条 国は、事業主がその雇用する外国人等(次項に規定する技能実習生を除く。)に対して、日本語学習の機会を提供するとともに、研修等により専門分野に関する日本語教育の充実を図ることができるよう、必要な支援を行うものとする。
2 国は、事業主等が技能実習生(出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の技能実習の在留資格をもって在留する者をいう。)に対して日本語能力の更なる向上の機会を提供することができるよう、教材の開発その他の日本語学習に関する必要な支援を行うものとする。
3 国は、定住者等(出入国管理及び難民認定法別表第二の上欄に掲げる在留資格をもって在留する者をいう。)が就労に必要な水準の日本語を習得することができるよう、必要な施策を講ずるものとする。

■外国人労働者が安い労働力だと思っていたら、まず、ここで躓くよね。日本語教育の費用を給料天引きにしてたら、誰も来なくなるぜ。と、このくらいにしておこう。





 (難民に対する日本語教育)
第十五条 国は、出入国管理及び難民認定法第六十一条の二第一項に規定する難民の認定を受けている外国人及びその家族並びに外国において一時的に庇(ひ)護されていた外国人であって政府の方針により国際的動向を踏まえ我が国に受け入れたものが国内における定住のために必要とされる基礎的な日本語を習得することができるよう、学習の機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

■難民認定から何とかしないと。




 (地域における日本語教育)
第十六条 国は、地域における日本語教育の機会の拡充を図るため、日本語教室(専ら住民である外国人等に対して日本語教育を実施する事業をいう。以下この条において同じ。)の開始及び運営の支援、日本語教室における日本語教育に従事する者の養成及び使用される教材の開発等の支援、日本語教室を利用することが困難な者の日本語学習に係る環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。

■オンラインでの日本語教室の提供は、ゼロよりはいいと思います。積極的に活用しましょう。でも、日本語教室の利用は、地域社会とのつながりを作る場所です。できるだけ、日本語教室が利用できるような環境作りが重要だと思います。



 (国民の理解と関心の増進)
第十七条 国は、国内における日本語教育が外国人等の日本語能力を向上させるとともに、共生社会の実現に資することを踏まえ、外国人等に対する日本語教育についての国民の理解と関心を深めるよう、日本語教育に関する広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

■頑張りましょう。


    第二節 海外における日本語教育の機会の拡充
 (海外における外国人等に対する日本語教育)
第十八条 国は、海外における日本語教育が外国人等の我が国に対する理解と関心の増進、我が国の企業への就職の円滑化等に寄与するものであることに鑑み、各国における日本語教育の状況に応じて、持続的かつ適切に日本語教育が行われるよう、現地における日本語教育に関する体制及び基盤の整備の支援、海外における日本語教育に従事する者の養成並びに使用される教材(インターネットを通じて提供することができるものを含む。)の開発及び提供並びにその支援、海外において日本語教育を行う教育機関の活動及び日本語を学習する者の支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 国は、外国人等であって我が国への留学を希望するものが我が国の大学等で教育を受けるために必要な水準の日本語を習得することができるよう、必要な施策を講ずるものとする。

■各国の大使館、国際交流基金、JICAの皆さん、頑張ってますよー。お金を掛けましょう。言い方が悪いですが、お金です。「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」などという戦時中のスローガンは間違っても口にしない。必要だと言われたものは与えていくのです。砂漠に水を撒くように思っても、あふれかえるほど与えれば水が流れ出します。



 (海外に在留する邦人の子等に対する日本語教育)
第十九条 国は、海外に在留する邦人の子、海外に移住した邦人の子孫等に対する日本語教育の充実を図るため、これらの者に対する日本語教育を支援する体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。

■「日本語が話せないと日本人じゃない」という人がまだまだいるこの国ですから、この配慮も必要でしょう。大手の通信教育の会社なんかが手が広げられるんじゃないかな。確か、スペインは、南米向けの通信教育でスペイン語学習の機会を提供していると聞いたことがありますよ。


    第三節 日本語教育の水準の維持向上等
 (日本語教育を行う機関における日本語教育の水準の維持向上)
第二十条 国は、日本語教育を行う機関における日本語教育の水準の維持向上を図るため、日本語教育を行う機関によるその日本語教育に従事する者に対する研修の機会の確保の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (日本語教育に従事する者の能力及び資質の向上等)
第二十一条 国は、日本語教育に従事する者の能力及び資質の向上並びに処遇の改善が図られるよう、日本語教育に従事する者の養成及び研修体制の整備、国内における日本語教師(日本語教育に関する専門的な知識及び技能を必要とする業務に従事する者をいう。以下この条において同じ。)の資格に関する仕組みの整備、日本語教師の養成に必要な高度かつ専門的な知識及び技能を有する者の養成その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、海外における日本語教育の水準の維持向上を図るため、外国人である日本語教師の海外における養成を支援するために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

■資格化が進むんですね。さて、何の準備をしておくべきか。私も、年を重ねてきて、古い世代に入り始めたのかもしれませんが、既得権のようなものを振りかざすことだけはやめようと思っています。



 (教育課程の編成に係る指針の策定等)
第二十二条 国は、日本語教育を受ける者の日本語能力に応じた効果的かつ適切な教育が行われるよう、教育課程の編成に係る指針の策定、指導方法及び教材の開発及び普及並びにその支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (日本語能力の評価)
第二十三条 国は、日本語教育を受ける者の日本語能力を適切に評価することができるよう、日本語能力の評価方法の開発その他の必要な施策を講ずるものとする。
    第四節 日本語教育に関する調査研究等
 (日本語教育に関する調査研究等)
第二十四条 国は、日本語教育の推進に関する施策を適正に策定し、及び実施するため、日本語教育の実態(海外におけるものを含む。)、効果的な日本語教育の方法、試験その他の日本語能力の適切な評価方法等について、調査研究、情報の収集及び提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (日本語教育に関する情報の提供等)
第二十五条 国は、外国人等が日本語教育に関して必要な情報を得られるよう、外国人等のために日本語教育に関する情報を集約し、当該集約した情報についてインターネットを通じて閲覧することを可能とするための措置、相談体制の整備に関する助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

■どんなものが出てくるか、息をひそめているかんじかな。風通しが良くなるといいな。いろんな意味で。


    第五節 地方公共団体の施策
第二十六条 地方公共団体は、この章(第二節を除く。)に定める国の施策を勘案し、その地方公共団体の地域の状況に応じた日本語教育の推進のために必要な施策を実施するよう努めるものとする。



   第四章 日本語教育推進会議等
 (日本語教育推進会議)
第二十七条 政府は、文部科学省、外務省その他の関係行政機関(次項において「関係行政機関」という。)相互の調整を行うことにより、日本語教育の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るため、日本語教育推進会議を設けるものとする。
2 関係行政機関は、日本語教育に関し専門的知識を有する者、日本語教育に従事する者及び日本語教育を受ける立場にある者によって構成する日本語教育推進関係者会議を設け、前項の調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。

■ 私がかかわることはないと思うので言いたい放題ですが、「受ける立場にあるもの」が入ったのはいいですよね。日本語がうまい外国人、とか言わずに、技能実習生を入れるだけでも、ずいぶん変わると思いますよ。






 (地方公共団体に置く日本語教育の推進に関する審議会等)
第二十八条 地方公共団体に、第十一条に規定する基本的な方針その他の日本語教育の推進に関する重要事項を調査審議させるため、条例で定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くことができる。
   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
 (検討)
第二条 国は、次に掲げる事項その他日本語教育を行う機関であって日本語教育の水準の維持向上を図るために必要な適格性を有するもの(以下この条において「日本語教育機関」という。)に関する制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 一 日本語教育を行う機関のうち当該制度の対象となる機関の類型及びその範囲
 二 外国人留学生の在留資格に基づく活動状況の把握に対する協力に係る日本語教育機関の責務の在り方
 三 日本語教育機関における日本語教育の水準の維持向上のための評価制度等の在り方
 四 日本語教育機関における日本語教育に対する支援の適否及びその在り方
     理 由
 日本語教育の推進が、我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に資するとともに、我が国に対する諸外国の理解と関心を深める上で重要であることに鑑み、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現に資するとともに、諸外国との交流の促進並びに友好関係の維持及び発展に寄与するため、日本語教育の推進に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針の策定その他日本語教育の推進に関する施策の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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