月に1度楽しみにしていたパンが食べられなくなった。
茨城にちかい福島県の南に位置する塙町の「天然工房」さんから美味しいパンを届けていただいていたのであるが・・・。
福島と言っても放射能汚染が少ないところで、阿武隈山系の豊かな緑がいっぱいの里山。
鮫川村、塙町は里山らしい美しい自然がひろがる地で、鮫川村には天文台もあって天体観測のマニアにも有名らしい。
地元の道の駅でも「天然工房」のパンは評判で、国産小麦のライ麦パン、果物・野菜をつかった手づくりパンはどれも美味。
縁あって「天然工房」のパンを食べたらすっかりやみつきになってしまった。
そこで1年ほど前から毎月届けていただくようになった。
ところが1か月ほどまえ送ってもらうため電話をしたら、1,5キロほど離れた放牧場の予定地に突然、環境省が所管する高レベル放射性廃棄物処理場の実験施設の建設が始められたらしい。
地元住民になんらの通知や報告・相談もなく、鮫川村の自治体に問い合わせをしても埒が明かない。
建設予定地など非公開なまま建設がすすめられ、地元の人々にとってはまさに青天の霹靂とのこと。
そんなことでしばらくパンづくりはお休みしたいとのことだ。
その時点では詳しいことは分からなかったが、今日11月25日の東京新聞を読んで驚愕。
ユニークな記事で名をはせる「こちら特報部」でこの鮫川村が特集された。
「焼却によって生まれる焼却灰は凝縮されて高濃度になる。放射性セシウムが10万ベクレルを超えると中間貯蔵施設で厳重に保管しなくてはならない。
そこで8000ベクレル以下の汚染物を混ぜて汚染濃度を低く抑える方法などを実証実験する」と環境省は説明しているらしい。
とはいえ、非公開というか秘密裏にことを進め、地元の人々の問いかけや訴えをはぐらかすというか無視する環境省の姿勢を新聞はえぐる。
東京新聞によって多少陽の目をみたとはいえ、500人ほどの過疎の村の人々の訴えそのものは、日本では広く知られることはないだろう。
気鋭の社会学者、開沼博がフクシマの原子力ムラは、産業が衰退し自治能力も微弱な地方をねらった「自動的かつ自発的な服従の歴史的形成過程そのもの」と分析したように、
鮫川村でも高レベル放射能処理場建設にむけて、無言の「服従」を地元の人々に強いることになるだろう。
以前、小出裕章さんは高レベル放射能廃棄物は福島第1の東電施設内に集約させることが良いといっていた。
その周辺の地元の人々は半永久的に帰還できなくなるが、それがいまの知の限界だし最善策とのこと。わたしも異論はない
このブログを見る人はほとんどいないが、もし読まれたら心に留め、何らかのエールをおくってほしい。
「ふくしまの里山を次世代に」というブログを天然工房の和田さんが書かれていて、以上のことの詳細がわかりますのでアクセスしてください。