小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

近況のこと、そして海へ

2023年04月08日 | 日記

やっと4週間の内服薬療法が終わった。今後2週間、抗がん剤を飲むことはお休みになる。\(^_^)/

但し、入院中から続く食欲減退はそのまま。何かを食べたいという欲求がない。これは自分でも不思議だとしか思えない。毎日食べても飽きなかった納豆、大好物の鰻さえも、食欲がかき立てられない。これは実に悲しい。

肺結核の正岡子規は最期まで健啖家であったが、その喰いっぷりを『仰臥漫録』で確認すると驚くしかない。ある日のレシピはこうだ。

朝からご飯4杯、佃煮、奈良漬け、葡萄3房。午は粥2椀、刺身、味噌汁、佃煮、奈良漬け、梨1個、葡萄4房。間食には、牛乳5合、菓子パン小10個ほど、塩煎餅1,2枚。夕飯は、粥2椀、焼き鰯4尾、ふじ豆、佃煮、奈良漬け。これとほぼ同じような献立が毎日続く。子規は肺結核であったが、食べることの愉しみを失わなかった。人間として羨ましい限りだ。

日柄寝て過ごし、ちょっと本を読んでは知らぬまに眠りに落ちる。桜の季節だというのに、部屋でごろごろしているのは健康に悪いことは百も承知であるが・・。外に出て少し歩くと、息苦しさを感じて歩みがままならない。いや、エスワンという薬を服用して、予想された副作用(下痢、吐き気、口内炎、皮膚炎、発熱、涙が出るなど)の症状がない。ただ、咳は以前ほど出ないもの、咳止めをのんでも間欠的にでてくる。しかし、この薬に関しては、「とても頑丈な身体である」という評価を医師からもらっている。

病巣が薬に負けて、弱まっているのか、小さくなっているのか。その診断は、今後2週間の服用停止期間をおいて、CT撮影を待たなければならない。薬を飲まない分、体力とりわけ食欲を取り戻したい。そして歩くことだ。散歩して、外気を思いきり吸おう。そうだ、詩人長田弘の詩集に『深呼吸の必要』があった。そのなかに「散歩」という散文詩があり、そのさわりを載せておこう。

散歩
ただ歩く。手に何ももたない。急がない。気に入った曲り角がきたら、すっと曲がる。曲り角を曲がると、道のさきの風景がくるりと変わる。くねくねとつづいてゆく細い道もあれば、思いがけない下り坂で膝がわらいだすこともある。

 

▲近所にある公園。夜桜が妖しいまでに美しい。ちょっと足を伸ばせば、花見が堪能できる。

▲神社の脇にある崖。日当たりがよく、真冬の頃にも何かしらが咲いている。昔ながらの縄文台地である。

さてさて、前回退院した時に予定していた山形・福島の温泉宿の旅はキャンセルしたことは書いたかと思う。今回は体調は万全とまではいかないが、明日からは沖縄に旅立つ。

沖縄の石垣、西表など訪れたことのない離島。海と空がひと続きになったかのような景色を「水天一碧」というらしいが、本島の北部へ行ったときはまさにその記憶がある。ウチナンチュによれば、離島に行けばさらに青い海、空を見ることができると太鼓判を押された。わが生涯の最後のチャンスとなるかもしれない、楽しみだ。

最後に、たまたま巡り合ったミュージック動画にいたく元気をいただいている。バンド「緑黄色社会」は去年、紅白歌合戦に出演したとのこと。自分としては初めて見たが、女性ボーカルの声質はとてもリリックで透明感がある。中南米に絶大なファン層がいるスカパラとコラボした事情は分からないが、とにかく励まされた。どこまでも透き通るような青い海と空を想いえがき、齢のことを忘れてしまった。

 

          青い春のエチュード feat.長屋晴子 (緑黄色社会) / TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA


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