初夏の暑さを肌で感じる4月の終り。わが街で開かれている一箱古本市を楽しみながら散歩した。
今年で12年目を迎え、なかなかの盛況ぶりで嬉しくもあるが、かつてのように2日間にわたる開催ではなかった。出店する人数も以前に較べて少なくなった気がする。出版不況、本を読まなくなった若者たち、そんなしょぼい話も聞こえてくるが、一箱古本市のような市民参加型ブックフェスは地方でも盛んに行われるようになった。わざわざ静岡から来て、東京の古本市を参考にしたいという妙齢の御夫人と話もできた。
この古本市の2年目に私も一回だけ参加したことがある。その時の楽しかった思い出を懐かしみながら歩いた。私が店をもった時、たまたま隣の店になったご主人に今年も逢うことができた。「Wの悲劇」という店名で、この古本市に毎年参加されているはずである。何ごとも継続することは素晴らしい、そして敬服に価する。いつもながらの本好きが愉ぶ品ぞろえで、今回は東京古書組合・中央線支部編纂による「古書手帳」を求めた。古書店向けにつくられた文庫本サイズの小冊子ながら、和本の雑学、洋古書の扱い、古本屋の流儀や用語など、本好きにはたまらないトリビアが詰まった掘り出し本。一般にはまず手に入らないだろう。
▲ほぼ新刊の本も500円で・・。200円の文庫本も半額にしてもらった。楽しかったぜ!
「この本もワイフが何処かで同じものを買った」とご主人がいうように、同じ本をうっかりダブって買ってしまうことから、「Wの悲劇」なる店名がつけられた。二人だから、さもありえる間違いだが、私なぞは単独で同じ間違いをおかす。寄る年波に勝てずボケて、大手の古書店で均一セールで掘り出した本が、家に帰れば棚にあってがっかりすること5,6回(ということにしておく)。10回ぐらいの間違いを限度として、「Xの悲劇」なる店名でふたたび出店でもしてみようかと夢想する。
さてさて、今回は全店をまわるスタンプラリーにも参加した。それなりに経費のかかると思われる、キャラクターが印刷されたメモ帖をいただいた。
「不忍ブックストリート」が末永く続くようお祈りいたします。
▲根津教会は毎年、中庭が古本市の会場になる。礼拝堂には初めて入る。1910年代の木造西洋館
▲旧安田楠雄邸を出て千駄木の高台を散策。住宅街のなかにとつぜん「満足東山稲荷」なる神社に遭遇。秀吉の時代からの縁起にも驚くが、高村光雲作の神輿があるというので二度びっくり。文京区の正式プレートもあったので間違いないと思うが・・。