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なるほど納得 『驚きの介護民俗学』 @六車由美


 この本の著者は 阪大大学院を出て、東北芸術工科大学の准教授だったのだが、突然退職し、故郷静岡県の特別養護老人ホームに介護職として転職したという、ユニークな人です。

 もともと民俗学研究者なのですが、実は、老人ホームもまた「民族学の素材の宝庫」ということのようで、介護職として働きながら、「聞き書き」活動を続けておられる方です。

 たしかに、「昔話は村の古老に聞け」と、昔はよくいったけど、今は「古老」なんて どこにもいないよね。むしろ、老人ホームにそ、古老の集まる「村」だったりする訳です。

 でも、この古老たちが、滔々と語り始めるまでには、著者をはじめ、介護職員の並々ならぬケア実践があればこそなんでしょうね。

 僕も昔、金沢生まれの金沢育ちのお年寄りが、急に腹痛に見舞われた時、お腹を両手で押えて「便所の神様 便所の神様あ」とおまじない?を唱え続けるおばあさんを見たことがあります。

 金沢には「便所の神様」という民間信仰があることは、その後で知りました。「トイレの神様」という曲がヒットする10年以上前の話です。家を建てるとき、便壺の底に土人形を置いたりしたそうです。

 いずれにしても お年寄りは、単に 昔のことを知っているということだけでなく、自分自身の80数年に及ぶ 波瀾万丈のドラマの唯一の語り部なんですね。

 
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