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自分なりの最期を迎える @『死を生きた人々』小堀鴎一郎

 

 

 もう30年以上前に、山崎章郎(やまざきふみお)医師が『病院で死ぬということ』という本を著し、ベストセラーになりました。一般の人々に「病院で死ぬということ」の意味を問いかけた最初の本のように思います。

 

 それは、病院と言うところは、「治療する」「救命する」ということが至上命題なので、患者がいよいよのときに、家族を病室から追い出し、患者に馬乗りになって心臓マッサージをして救命する、ろっ骨を骨折した状態で、再び家族を病室に向かい入れ「ご臨終です」と言う。それは本当にその人にとっていいことなのか。自分ならどうしてほしいだろうか。などを考えさせる本でした。

 

 以後、出版界では同類の本が山のように出ましたが、いずれの本も多くの読者を得ているということは、そのような問題意識を持つ医師が増えたのみならず、一般の人のなかにそのような受け止めが支持されてきたということの証と思います。

 

 この小堀鴎一郎医師の本も、そのような内容で、映画化もされたのですが、内容的には、それらの同類本の延長線上にあります。ただ、この小堀医師の本は、ところどころに、森鴎外や幸田露伴など明治の文豪の作品やエピソードを挿入して、かなり「文学的な表現」にまとめられています。なので、読み物としても、大変面白く読むことができました。

 

 なお、著者の小堀医師は、本では一切触れていませんが、かの森鴎外の孫ですね。

 

 

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