年も押し詰まった十二月の声を聞くと、急に気ぜわしくなって落ち着かないものである
日が短くなるにしたがい、暮らしもそれに追いかけられるようになる
一日中薄暗い感じの日が続いたり、雪に閉ざされたりと太陽の日差しをを拝めないと
憂鬱になっていたりして急に冬の太陽が顔を覗かせて弱弱しく頼りなさそうな日差しも
親しみ深く懐かしい感じがするものである
冬の海は波が高くて暗くて荒々しい、晴天の日でも寒々としたものを感じてしまうが
冬の川はしずかに流れて温かみを湛えているようである
水は透明に近づいて水量もすくなくなり、流れも細くなって、所々に洲ができたり
また、底石が露わになったりする
弱弱しい日差しに当たってきらきらと光るのも、何となく、親しみを覚えるのである
疎まなりし山里路地や十二月
短日や訪ふ友の庵灯らず
冬川や漁することも無かりけり
旅に出る友に逢わずや冬の朝
山鳥や木々に渡りて冬日さし
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