つぶらなり赤きマユミは漂ひて意志頑なに切なを生きし
わが庵の庭にはいろいろな木々が植えられ、数多くの花々が季節ごとに咲いて
こころを和ませてくれる
なかでも、マユミの木、棗の木や紫式部の木はぼくのお気に入りである
あかくなったマユミの実が下から見上げると宙に漂っているようで、何時までも
眺めていたりするのである
わが庵は屋号を「わとうち」云う、祖谷地方には、むかしから家を苗字で呼ばず
屋号で呼び合う慣習があるのだそうだ
また、山名なんかも、いまとは違っていたようである、例えばいまは三嶺と呼ばれる山は
聖嶺(ヒジリミネ)と云われて、山伏たちの修験の山であった、三嶺の山名は元々横に並ぶ
この聖嶺と西熊とイザリ禿(イザリの塔と呼ばれる天狗塚は除く)の三つの山の総称である
らしい、で、あるからいまの三嶺は聖嶺とするのが本来の姿であろうか
この三山が大枝方面から眺めると何れも家の棟形をしていることから三山を総称して三嶺と
称していたようである
白銀に揺れる薄の祖谷原野ただ起ちつくす時空の果てに