朝はかなりの冷え込みであった、陽射しで暖かくなるであろうと思うが朝の寒さで
ちょっと厚手のシャツを着たのがいけなかった
登山口から歩き出して間がないというのに何としたことか、汗ばんできてフリースを脱ぐ羽目になった
ジグザグの道をどんどん登って高度を上げると立て込んだ雑木林の隙間からまわりの山々を眺めて深呼吸して
この晴れやかな旨い山の空気、みかん色の甘酸っぱい風を腹いっぱいに吸うのである
途端に頭からっぽのいい気分がこころに染み込んで元気に歩き出すのである
刻々と流れる陽射しの時間を身体に入れてうれしくなった
豊かな木々が春を待ちわびて、太陽の陽射しを喜んでいる風情を好ましく感じながら、その中にいる
ぼくはなんだか懐かしいような時を楽しんでいる
誰にも会わないしずかな空間と時間を気兼ねなくたっぷりと楽しんで山頂を目指す心地よさに勝るものはない
晴れ渡った山頂からは降り注ぐ陽射しを受けて遥かなる山々が、遠くに霞む石鎚山から
二の森、堂ガ森らしき影がうっすらと遠望できて、右近くに皿が嶺連山が大きく壁のように連なっている峰々を
眺めて取り付きようもない寂しさを青空の彼方に押しやって、やわやかく包んで救うこの時を
どこまでも歩いていきたいと思ったものである
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