秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ( 雪のない日の独り言)

2019年02月21日 | Weblog


バンダナのけんちゃんに、一週間遅れでお別れをしてきた。
渦巻き線香が立ち込める和室には、祭壇が祀られていた。赤いバンダナを巻いて
正面を向いて撮していた遺影は、自分で準備していたものらしい。

手を合わせて、再び遺影を見て、現実味が沸かなくて何かのドッキリカメラみたいで
何かお葬式ごっこをしてるみたいで、滑稽にさえ思えた。
頑張らなくてもいい。
頑張っても頑張っても
サヨナラの人生だから

もっと もっと
気楽に生きた方がいい。
自分に言い聞かせるみたいに、同じ言葉がリフレインしていた。
呆気なく誰かと別離れる度に、現実逃避したくなる。

生きて行く為に働く。職場に同化し、普通を頑張ってやっている。
壊れた日本語が、耳に埃みたいに届いてくる。
「ほぼ・ほぼ」って言葉に、耳が過敏になっている。

頭の中に原稿用紙をくっ付けていると、意味不明の日本語に、耳が悲鳴をあげて、聴覚が吐きそうになる。
耳をリフレッシュしたい時は、お土産を持参して山の上のヴヴヴ星人のお友達のオバアチャンを訪ねる。

オバチャンは、至ってマイペースに畑仕事をしている。
オバチャンの耳には多分、雑音なんて言葉は不用みたいだ。
最近のオバチャンは、大昔のお話をされる。

嫁の時代の苦労話が、大半を占める。
「姑さんを一年看たわ~あずったんぞ~今みたいにオムツやこし、無かったきんの~菜菜美さんのお母さんは何年、寝付いた?」
「…10年じゃなあ~」
「まあ、10年か~」
…一瞬の沈黙。

「ほんなら、10日ぶりに出たんじゃの~!!」
「…10日ぶり!?に何が?」
「10日ぶりに便よ!!」

オバチャンは新たな発見をしたみたいに、高揚したお顔で、声を挙げた。
「オバチャン、10年と10日と、何の意味があるん?便って何!?」
オバチャンは、得意気に話し始めた。
「ふしぎな話じゃけどの、ワタシの姑さん倒れた時にのぉ、その日の晩にヨウケ便がでてのぉ、それから一年寝付いて、死んだんじゃわ~」
「へぇ…」
「ほんでの、どこやらのしわの、3日目に便出ての、三年寝付いて、死んだんじゃとう~!」
「…へぇ」
「ほんなきん、菜菜美さんのお母さんは、10日目に出た筈じゃわ~」
「へぇ~?」

母の排便が10日目とか、そんなことは、考えたこともないし、覚えてもいない。
高齢者及び疾病患者の寝たきりの期間とその排便と、寿命の関係を発表した医学的論文も
聞いたこともない(関係者も周りにいないが)

これから 家族を看られる現実に直面した方々は、もしかしたら、何かの関連性があるかも?しれないので
倒れて何日目に排便があったのか、記録してみて下さい。
それを目安に、疲れない介護、頑張り過ぎない介護をして差し上げて下さいね。

バンダナのけんちゃんが、病棟の看護師さんに、自慢していたそうです。

「わしの、祖谷の山で暮らしとったんでよ~」

愉しかった想い出を、ありがとう。
祖谷を愛してくれて、ありがとう。
愉しい人生だったね

さようなら
駐在所のけんちゃんさん。
合 掌








































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