豊田本の薬師堂にも倶利迦羅不動があった。 この薬師堂は、尚美学園大学の正門から見てやや左手にある。 倶利迦羅不動は、薬師堂の正面左手に、石灯籠と並んで建っている。 吉田の白髭神社のものとほぼ同じか、やや小さい感じである。 像の右側に「宝暦十辰九月」の文字が読み取れた。 宝暦十年(1760年)は、徳川家治の十代将軍職就任に伴い、秋元涼朝が本丸老中となった年である。 白髭神社、愛宕神社とも水に関係する場所に倶利迦羅不動があったが、この薬師堂の場合もどこかに湧水でもあったのだろうか。