川越雑記帳2(川越見て歩き)

セミ2題

 旭橋近くにある河岸場跡の碑を見に行ったとき、寺尾の農家の屋敷林で、アブラゼミ、ミンミンゼミの鳴き声に混じって、「シャー、シャー」と大きな声で鳴くセミの声を聞いた。
 はじめて聞く鳴き声だが、クマゼミだろうと思った。
 神奈川あたりまで北上しているというニュースを、かなり前に聞いた記憶があるが、川越でしかも、生で聞くのははじめてである。
 ネットで調べたところ、今月に入って、蕨市の市民公園で写真に撮られているそうなので、川越にいてもおかしくはない。
 寺尾の辺りもすっかり住宅地化して、大きな木も少なくなっている。クマゼミの北上も、離れ小島のような林や森をたどって、なかなか苦労が多いに違いない。


 家の網戸にアブラゼミがとまっていた。メスなのか全く鳴かずにじっとしている。
写真をとるために、カーテンを動かしても、逃げる気配もない。
 時間がたち、網戸に陽が当たる頃、いつのまにかいなくなっていた。
 セミが、コンクリートの電柱や、家の壁にとまって鳴くようになったのは、いつごろからであろうか。
 私の住んでいるところは、道の両側に農家が多く、昭和40年代頃までは、どの家も屋敷林をもっていた。カシ、ケヤキ、スギなど鬱蒼としており、子供にとっては楽しいあそび場であった。
 夏休みになると、毎朝蜘蛛の巣を採りに行く。竹の先に針金で輪をつくり、近所の家を回る。蜘蛛が作ったばかりの、ネバリの強いものを選んで、輪に絡めとる。朝露の玉がキラキラとひかる見事な巣もあった。セミがついても破れなくなるほど、丈夫なものを作る。
 網よりも、狭いところに差し込め、セミにそっと近づけ、上から押さえるだけで採れるので、おもしろかった。ミンミンゼミの鳴き声が聞えると、かなり遠くても飛び出して行った。
 その屋敷林も、家の建て替え等に伴い、徐々に減っていき、いまでは全くなくなってしまった。それとともに、セミの鳴き声も聞かなくなり、たまに電柱や家の壁でアブラゼミが鳴くと、夏の暑さが更に増すような気がした。
 最近、また少しセミの数は増えたような気がするが、セミの鳴き声が似合う場所は相変らず少ない。

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