ホウジョウキ  ++ 小さな引籠り部屋から ~ ゆく川の流れは絶えないね

考えつつ振り返り、走りながらうずくまる日々。刻々と変わる自分と今の時代と大好きなこの国

亡き者の記憶 灯籠流し

2008-08-18 21:13:20 | 日本文化
隅田川で灯籠流しがありました。
真夏を過ぎた残暑の八月十二日 お盆の迎え火なのですね。
奇しくも八月十五日は終戦の日。
東京大空襲で隅田川に幾重にも焼けた人が折り重なったのだという。

私は、病気柄、年中死に付いて考えている。
ほとんどが自分の死に付いてだが、肉親や家族や恋人や友人や、大切な人の死に付いても考える。
自分が死んだら、私の意識はどこへ行くのか、消えて無くなるのか。
無とは何か。

愛する人が亡くなったときの虚無感はどんな風に襲ってくるのか。
誰かの死によって、私の目に映る日常の景色は変わるのか。
それともほとんど何も変わらない、毎日が続くだけなのか。

そんなことを、いつも考えている。

灯籠流しの灯籠には、自分の名前を書いて川に流してしまった。
自分自身の存在が消えて無くなるのを望んでいるかのように。

いままで生きてきても、自分の生を生き生きと鮮やかに感じた記憶は無いような気がする。
これから、私の命が生き生きと彩りを帯びることはあるのか、無いのか。
そんなことは一生無いという予感が、私の灯籠を流させたのかも知れない。

下町のお屋敷で琵琶

2008-05-30 16:05:01 | 日本文化
谷中琵琶style
という活動をされている、女性琵琶奏者のデュオがいます。

谷中界隈の、古い建築物や物語のある場所で
琵琶のリサイタルを開いてます。

琵琶といえば、平曲です。
はい、なつかし大学時代の専攻は中世文学平家物語に魅せられて~
平家物語の先生がまた素敵な授業をされていて
朗々としたお声で、朗読なさっていたのを思い出します。

授業は放ったらかしの私も、この先生の授業だけは、ちゃんと出て
ノートを取っていました

何回目かの谷中琵琶style
今回は千駄木の「安田邸」という大正8年に建てられた
近代和風建築のお屋敷です。東京都の名勝に指定されている。

この日は午前中降っていた雨が上がり、蒸し暑いけれどしっとりした
いい感じの風情。なんだか着物が派手だったような・・・


曲は、平曲をアレンジしたもの
那須与一と静御前が義経と別れる場面 二曲

現代曲で
竹久夢二作の曲が三曲

やはり平曲がいいなあ。
琵琶を速いテンポで打ち鳴らすのが、平曲に合っているなあ。
竹久夢二原作の
順礼歌
人形浄瑠璃の「傾城阿波の鳴門」を原作として書いた短編小説。
琵琶の物悲しい響きと共鳴するような歌声の掛け合いが、いいなあ。と思いました。
なぜか寺山修司のお芝居を思い出しました。
なんだっけ・・・草迷宮。

琵琶をかき鳴らしながら歌う声に夢幻の世界を感じました。
古いお屋敷の雰囲気も相まって世界が作られました。

こういうことに触れることで
心も静まったり、高揚したり、澱が流れたりするのですね。
少し元気が出ました・・・ここのところなが~い鬱期で。

浴衣!

2008-05-18 18:42:52 | 日本文化
今年初浴衣。
もう何年も同じ浴衣を大事に着ているので
そろそろ新しいものが欲しい私。

もう少し白か、茄子紺とか、黒で、シックな伝統柄がいいなあ。

でもお仕立てしようと思うと、素敵なものは結構高いのです。

安物の浴衣はあちこちの売っているのに。
ミシンで縫ったペラペラの生地の浴衣はなんだか悲しい。

浴衣といえども着物。
古典の柄で、粋に決めたい。なんて。。。

もう、浴衣解禁の夏なんですね。
浅草では三社祭が終われば夏です。

朝顔市や、ほおづき市、花火大会・・・夏の納涼風物詩が次々と。

気分も開放的に、持ち直せばいいなあ。

寒い初詣

2008-01-15 21:54:44 | 日本文化
急激に動きが鈍くなります。
冬眠したいくらいです。

動けば、少しは暖かくなるのでしょうが、
ダメです。

そんな寒い寒い土曜日
念願の亀戸天神にお参りしました。

亀戸は家からそんなに遠くないのに
行ったことがありませんでした。

天神様ですから学問の神様です。
今とっても学問のお願いをしたいのです。
大学の進級がピンチなので、神様にも縋りたい。

亀戸天神は、下町では大きな神社です。
大きな藤棚があり、富士の季節は祖ゾキレだろうと思いましたが
この日は冷たい氷雨のしと降る中、膨らみかけた梅のつぼみの前の固まりが
凍えていました。

無心の境地でお参りしたのに
何もお願いせず、心を空っぽにして手を合わせたのですが

大学の進級は・・・
万事休したようです。

博物館に初詣 近衛家の名宝

2008-01-13 23:08:03 | 日本文化
東京国立博物館は
結構好きな場所です。
フランスのルーブル、イギリスの大英博物館
日本の東博です、が、ルーブルとか大映博物館とは大違いだなあ
と思っている方。

なかなかなんですよ、東博も。
本館では今の時期、日本の名宝長谷川等伯の「松林図屏風」が展示されています。
何度もみました。
みるたびに心にさざ波が立ち、嵐が吹き荒れるような、凄い絵です。

本館のほかに
東洋館
表慶館
平成館
法隆寺館
があります。

全部じっくりみようと思ったら一週間かかかりますよ。

年明け1月2日から、宮廷のみやび 近衛家100年の名宝 展
が始まっています。

近衛家は藤原氏の嫡流です。
展示品には藤原道長自筆の日記「御堂関白記」がたくさん出ていました。
もちろん国宝です。
様々な天皇の自筆の書状や、詠草、手鑑などがこれでもかと展示されています。
みているうちにめまいがしてくるごほど圧巻です。

藤原行成 白氏詩巻
粘葉本和漢朗詠集 伝藤原行成筆
古今和歌集断簡 本阿弥切
百寿

など、本物はコレか、というかんじ。

唐紙の料紙も様々に鮮やかなものがみられて満足、というかもっと勉強したい。

そうそう、平安時代や鎌倉時代のものでも、最近描いたような状態の良さは見事です。
色も鮮やかで痛んでいないものも多く、どんな保管なのか、興味がわきます。
圧巻だったのは、予楽院表具と言われる独特の華やかな表具のコーナーです。
華やかで、個性的な表具ですが、表具の印象が強烈で、本誌の印象が薄くなる感じがしますが
どうなんでしょう?
表具自体を美術品と考えると、かなり高感度な美しさですが。
布地や、反物も展示もあり、貴重なものをみられたと思います。

表具と本紙の関係を改めて考えてしまいました。  

あまり混んでいなくて、ゆっくりみられるのも◎。



今年ももう酉の市の季節

2007-11-25 16:18:03 | 日本文化
浅草は、何かと行事が多いところです。
昔からの庶民の町だからでしょうか。
テレビもネットもない昔は、
いろいろなイベントで盛り上がって楽しんだんでしょうね。

ここ数日、急に身にしみる寒さがやってきました。
今日は、鷲神社の酉の市。二の酉。

米俵や金貨や鶴松、松竹梅、おかめ・・・
縁起物を満載した熊手を売る市です。

夕方から出かけました。
家から言問い通りを歩いて、国際通りを北千住方面に上がっていくと
徒歩10分ぐらいで着くのですが
・・・大混雑。まるでいつもの通勤山手線状態。

一時間以上、立ち往生、のろのろ牛歩です。
警察官が、街頭車に立ちスピーカーでタクシーは止まらないで、
とか、車道に出ないで、とか、叫んでいます。

気温は寒かったのですが、あまりのギュウギュウ詰めで、あたたかい。
それにしても、日本人は大人しいと言うか、我慢強いと言うか、
こんな寒空に牛歩1時間でも、誰も文句は言いません。
整然と、列も乱さずのろのろ止まったり歩いたりしています。
他国なら、こうはいか無いんじゃいの?

今年の混雑は特別です、
二の酉で終わりだし、今日は祝日だったし、お天気はよかったし。
景気が悪いと酉の市が繁盛すると聞きました。
景気悪いのね。(私のお財布の景気も悪いので)

やっと境内に入って

あらら、仕事で知っている会社の特大熊手発見。
ちなみにチョコレートメーカーです。

去年も見た、石原家(都知事の家です)ご一同様も。

渡辺大臣とか。

政治家も縁起担ぎ。


お買い上げになると、売り子さん総出で景気付けの三三七拍子。
熊手は値切るものなんです。
でも、値切った後、その分は「はいご祝儀」といって返すのが
決まり事。

狭い境内、熊手で溢れて、活気に満ちていました。
年末、冬が来たなあー
と実感する日。
明日からちょっと気分も新たに。気持に区切りをつけて、
さっぱりと冬の気分になろう。

秋は紅葉 龍田姫

2007-11-11 14:11:51 | 日本文化
この辺では、紅葉はまだみたいです。
もう11月も半ば。そろそろ冬支度?の気分だというのに。
台東区は町並みに緑が少ないせいかな。
紅葉は見ないけれど、落ち葉は多い気がするなあ。

秋の風情を味わいに
お能を観てきました。
千駄ヶ谷の国立能楽堂。
ひっそりとしつつも、趣のある堂々としたたたずまい。
門をくぐると、そこからは幽玄の世界へ。

狂言とお能が一曲ずつの普及公演。
今はネットでチケットが買えるので、予約も楽です。
上演時間も短く、比較的お手軽です。
お能に親しむのにいいですね。
狂言の上演の前に、歌人馬場あき子さんの解説がありました。
お能「龍田」のテーマになっている和歌の解説。龍田神社の成り立ちや意味。

龍田川といえば、伝統的図柄に紅葉が川いっぱいに流れる図としてよく描かれます。
江戸千代紙でも、龍田川という版がありました。
桜は吉野、紅葉は龍田。

お能は、
いざ上演がはじめると、いつものごとく心地よい睡魔が・・・(笑)
前半の半分くらいはうとうとしました。
後半は何故か目が覚めて、
後シテの龍田の神様 龍田姫が舞う姿を堪能しました。
山吹色と朱の袴の装束がとても美しかった。

私が眠くなる理由の一つに
お能独特の囃子があります。
あれが好きなんですけど、波長が合うのかすーっと眠りを誘うのですね。
今日のお囃子の、大鼓の澄んだ音色が大変美しく、今日のお囃子はスゴイなあと思っていました。
あとでパンフレットを見たら
「需要無形文化財保持者」安福建雄さんでした。

この音色を効きながら眠るとすごくスッキリ。
睡眠障害の友人を連れてきて寝かせてあげたいくらいです。
リラックスの周波が出ているのでしょうね。

魂が浄化されたごとく、凹んでいた心が少し元気になりました。

炎の魂を送る・・・五山の送り火

2007-08-17 00:02:27 | 日本文化
吉田山の頂上に着いたのは、送り火の2時間前、6時頃だった。
ここからは、大文字と妙法が一度に見える。

頂上のちいさな広場にはもう人が十数人立って待っていた。
持ってきたCDウォークマンで「トゥランガリラ交響曲」を聞く。
不協和音と変拍子が渦巻き、時々メロディアスな音楽が
幻想的な気分をさらに盛りあげる。

私はその時、とても辛い気持、煩悩そのもののような自分の揺れる心を持て余して
五山の送り火を無性に一人で見たかった。

大事にしてきたものを捨てようとして捨てられない
人に対する執着と妄執の混濁したこんがらがった自分のこころ
どの糸がどのように絡んで解けなくなっているのか、
心の奥底までたどって、ひたすら中へ入って行く。

送り火を待ち、一人一所にじっと立ったまま音楽を聴き
段々辺りが暗くなって行く2時間のあいだ
私は自分の魂の奥へ向って彷徨っていた。

立ったまま、足も疲れ、心も疲労を感じる頃
やっと送り火がはじまってざわめきが起こった。
もう周りはぎっしり人が立ったり座ったりして混雑していた。
大文字にだんだんに火が点灯していくさまを、音楽をかけたまま何も考えずにじっと見た。
聞こえるはずは無いが、薪の燃え盛りはじけるパチパチという音が
聞こえる気がした。

真っ暗な空に、すこしづつ大の字が浮かび上がり、徐々に激しく燃えていく。
この行き場の無い思いも、私の魂から抜け出して一緒に燃え尽くしてしまえばいいのに。
そう願いをのせて、炎を見送った。

大文字も妙法も燃えきって、炎もうつろに小さくなるさまを
横目で見つつ、山を下りた。

幻想の山を下りて下界を歩きながら、
妄執に燃える私の魂を炎もいっしょに送り火にのせて
空に放ったような気持になった。
薪が燃えたあとの炭が心に残ってしまったように
無常な寂しさが私を襲ったのだった。



ぶあいそう*武相荘、町田へ気分は小旅行

2007-07-15 04:51:20 | 日本文化
台風が来ています。
朝からすっかり雨でした。
にもかかわらず、以前から約束をしていたので
町田まで。
町田も東京都ですから、旅行か?と思いますが、浅草から町田は遠いです。
ちょっとした小旅行の気分。景色も町の雰囲気も全然違うし。

白洲次郎・正子夫妻が暮らしたお家の記念館
「武相荘」へ行きました。
鶴川の駅から、歩くこと15分。
小高い丘の上に、素敵な入り口が。

茅葺きの農家で、お庭も庭園のように広くて
東京であることを忘れそう。
白州正子が、著作随筆集「夕顔」で、
東京に病気で入院した。家の緑が恋しくて、緑に飢えていた。
と書いていましたが、ここにお住まいなら納得の緑に囲まれたお家。

次郎と正子の食卓
という企画展示中だったので
お膳や素敵な民芸家具が並ぶ和室や、大きなソファのリビングには、イチゴのタルトやアップルパイなど
生前ご夫婦が好んでいた正子さんお得意のお菓子が飾られていました。
お菓子と共にさりげなく並ぶ瀬戸物や硝子器も大正時代や明治のもので、素敵。

和室には、正子さんのお着物が出されていました。
越後上布や、小千谷縮や、八重山上布など、織物の夏着物。
どれも今はないような手の込んだ織ばかり。正子さんは小柄だったのでしょう、お着物が小さいです。
私には着られないサイズ。

正子さんの書斎も展示。
3畳くらいのちいさなスペースに掘りごたつに文机、窓に向っていて窓の外には鮮やかな緑が。
壁には一面本が並んでいます。
ああ素敵、こんな書斎があったらいいのに。

次郎の展示室には
若かりし頃の次郎の様子が展示されていて吉田茂との親交や
天皇陛下(昭和天皇)の署名入りの辞令とか。
凄くかっこいい。Gパン姿もスーツ姿も、晩年好んで一生三宅を着ていたという写真も。

離れは、カフェになっていて
ここで予約しておいたフレンチのお弁当を頂きました。
まず目に美味しい、朱と黒の塗りのお重にきれいに盛りつけられて出て来ました。
キャロットのスープも器が素敵。
お味も本格的で、満足。

お庭を散策していたら
白百合が咲いていました。
雨に濡れて美しかった。

すっかり日常から離れて、タイムトリップした気分になりました。
雨なのに、新しい雨ゴートを着たいと思い着物でした。
濡れちゃったけど、あの空間は着物がぴったり。
今日の着物は
萌葱色の絹芭蕉の夏着物に
灰色の綴れ織りの帯を銀座結びに。
帰ってきて脱いだとき気づいたんですけど
お太鼓部分が二重になっている、ので袋帯仕様かしら?
銀座結びは変だったかも?まあいいか。


和の扉

2007-07-13 04:03:51 | 日本文化
銀座小松アネックスにある、ちいさな和のお店
「和の扉」
からDMが来ました。夏は贈り物の季節だからか、あちこちからお買い物のDMが。

私はここで
「ご利益散歩にでかけよう」平野恵里子著
「旧暦日々是好日」
を買いました。

「ご利益散歩」は、東京の一年の神社等の祭事のご利益スポットを
月ごとに紹介していて、季節の風物詩としても、ガイドブックとしても
面白いです。なんか、私のご利益&季節感&着物散歩ナビになってる。

「旧暦」は一年の季節の伝統行事や花鳥風月をのせた、旧暦ダイアリー。
手帳として使おうかと思いましたが、旧暦で暮らしていないのでさすがに無理。
カフェで、季節の銘を探すのに、役立ちました。
来年も買おうっと。

先日行った時には、吉岡幸雄氏の草木染めの紬を使った御朱印帳がありました。
同じく、名刺入れもあって、お給料が出たら狙っています。

DMには秋の商品の紹介が
伊藤若冲の日向葵雄鶏図に描かれた朝顔のブローチ
尾形光琳の秋草図屏風に描かれた帰郷のブローチ
露草のかんざし
毬玉のストラップ
などなど
そそられます。

行かなくちゃって、思ってしますところが
すでに釣られています。

HPは花火が載っていました。
しぶい、線香花火。
そういえば、浅草に花火の問屋さんがあります。