舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

『フラガール』観賞報告

2006-10-03 03:28:38 | 徒然話
それにしても皆さん観てらっしゃいますね、『フラガール』
今日のレッスンのメンバーF子さんなど公開初日の第1回に観たのだそう。
しかも、出てきたら次の回に入ろうとする同じクラスのY子さんと鉢合わせ!!
そのうえ、やはり同じクラスのM子さんはその翌日に行ったとのことです。
しかもおおむね評判がよろしいようなので、私達も今日のレッスンが終わると映画館へかけつけたのでした。

まず、先ほども書きましたが映像のイメージに反して選曲がナウいことを好ましく感じました。
ダンスシーンに使う曲はもちろん当時を模したものですからたしょう古い音であっても納得がいきますが、それ以外の場面に関しては、やはり今様ハワイアンでいってほしいですものね。
しかぁし、そんな素敵な選曲にも物語佳境で致命的欠陥が...!!!
その話はとりあえず後に譲って、映画の進行に沿ってみていきましょう。

物語開始後間もなく小野えみちゃん(第一期トップダンサー、現レイモミ小野先生)役の蒼井優さん(劇中での名前はキミコ、しかしキミコさんというダンサーはほかにいたそうですよ、マミちゃんによると)が登場しました。
蒼井さんの初登場から5秒後、私は心からの雄叫びをあげました。

「うまい!!うまいよ蒼井さん!!!」

何がうまいってあなた、東北地方の方言ですよ。
私は4代続いた江戸っ子の家庭で育ったためネイティブ東北弁については余り明るくありませんが、すくなくとも栃木弁などからの類推やほかの出演者との比較から察するに、彼女が一番「らしく」喋れています。
そのうえもっと細かい演技、たとえば「正座し過ぎて足がしびれた演技」なんてのも非常にうまい。もしかするとなかなか演技力のある女優さんではないでしょうか。
ああしかしなぜその演技力をダンスに活かせな(強制終了)


.....ゴ、ゴホン(気を取り直している)。
続いては早川先生、つまり松雪泰子さん演じるまどか先生の登場シーンに注目です。
実際の早川先生も、このように華やかなファッションに身を包み、モダンガールの雰囲気だったとか。
先生は登場するなり川に乗り出してゲ......ちょ、チョット待たんかい!?!?
は、早川先生を汚さないでぇぇ!!!!
松雪さんときたらしょっぱなから車酔いか酒酔いか判別しないままに足下はふらつき、ビールはラッパ飲み、しかも川に向かって○○○(放送禁止)って、仮にも実在の人物をそんなヒドイ方向に脚色すなァァァァ!!!(涙目)
ううむ、以降出てきた銭湯での乱闘シーンなども、見てれば胸はすくようですがちっとばかし激しすぎる脚色...たぶん...ではないでせうか。
フィクションだと思えばなかなかエキセントリックで面白いキャラ設定ですが、モデルがいると思うとなあ。しかも、マミちゃん経由とはいえモデルその方を存じていたりするとなあ。
早川先生の名誉のために申し上げますが、映画で語られていることのすべてが必ずしも「本当にあったお話」ではないことを、ここではっきり言明しておきたいと思います。

もうひとつ描かれていない重要な事実は、早川先生はお一人ではなかったということです。
劇中のまどか先生はなんだか孤独な人のように描かれていますが、実際にはレフアナニ佐竹先生と二人三脚で頑張っていらっしゃったのです。

早川先生と佐竹先生は、ともに洋裁を学ぶためハワイに留学された際に、マミちゃんもお世話になった「イリマフラスタジオ」に通ってフラやタヒチアンダンスなどを修得されたそうです。
残念ながら映画では取り上げられていませんが、こないだご紹介したように関連本の『あなたもフラガール』では感謝の言葉が捧げられていました。
映画で描かれなかった分(もちろんストーリーを煩雑にしないためには仕方がなかったのでしょう)、こうして私がさいはてのブログから佐竹先生への愛をさけんでいるわけです(?)。

もちろん事実も描かれています。
早川先生が煙草飲みなのは本当だそうで、お酒もハワイでマミちゃんと飲みにいったそうですから、本当にお好きなようですね(でも、いくらなんだってあそこまでじゃないと思うけど)。
そして何より、まどか先生が繰り返し口にする高いプロ意識も、早川先生は持っていらっしゃいます。
あれはまさしく事実のとおりですね。

最高だったのは前半のまどか先生の台詞!!
「プロをなめんじゃないわよ、プロを!!!」
おもわず「そうだー!!!」と拳を突き上げてしまいました。
いや、物語の趣旨はそんな仕事一徹人間が人とのふれあいで心を開くという、そっちの方だとは思うんですけど(笑)、私的に一番共感したのはココでしたねえ。

さすがに今はフラとストリップを混同しちゃう人なんてのはいないと思いますが、「ダンサー」とか「ダンス教師」すなわちダンスのプロに対する認識は、40年前と思ったほど変わらないのかもしれません。
だから十分なキャリアもないままに安直にプロを名乗ってしまう人とか、向上心のないプロとかが出てきてしまうんですな。
特に昨今ブームのフラなんて、そういう人がまさしく雨後のタケノコ状態ではないかと思います。
そんな中、早川先生とか前述の佐竹先生は、フラが市民権を得た今となっても勉強を怠らないのだそう。
佐竹先生とはちょっと前にハワイの某教室で偶然お会いしたのですが、つまり先生は数十年のキャリアを持ってもなお、さらに多くを学ばんと向上心を持っていらっしゃるのですね。
そのあたりが「プロ意識の高さ」なんですな。尊敬します

うががが、話が横道にそれまくってしまいました。
そんなまどか先生とダンサーたちとの絆が深まった頃、ある事件をきっかけにまどか先生に対するハワイアンセンター反対派の人々の反感が強くなり、先生は東京へ(だから横浜じゃないのか)帰らざるを得なくなってしまいました。

しかし、発車寸前のプラットフォームにダンサーが集結。
まどか先生に教わった"To You Sweetheart, Aloha"の振りで、涙ながらに先生への思いを伝えるダンサー達。
帰ることを決心していたまどか先生も、その姿を見て涙があふれだす...。

なんと感動的なシーンでしょうか。
それなのに、この映画一番の泣きどころで、私はとんでもないことに気を取られて泣くどころではありませんでした。
か、かかか、歌詞と振り付けが合っとら~~~ん!!!

そう、いくら感動的な演出でも、かかっているBGMはダンサー達の手つきとはまったくの無関係だったのです。
ふ、フラが根本的に誤解されているッ。フラの動きは「手話に音楽を合わせたもの」じゃないのよ。「歌詞に合わせて動きが生まれた」のよォォォ!!!

制作スタッフに私の書いた渾身のフラ論文をお見せして説教したいところですが、いまさらさいはての映画館で吠えてもまったくの手遅れ。あああああ。
マミちゃんと絶望のまなざしを交わしている間に、まどか先生はめでたく残ることとなり、クライマックスのダンスシーンに突入しました。
い、いいんだ。ストーリーが感動的だからこれでいいんだ.....ッ!!(←言い聞かせている)

最後のシーンは実際にハワイアンズで撮影されたそうで、昔を復元した玄関のカットも映りました。
できてせいぜい7年くらいのはずのウィルポート宿泊者専用口(あッ、私がこないだ通ったとこだ)が丸見えなのはチト気になりますが、それ以外の看板も特設ステージ(いつものステージとは別にセッティングされたらしい)もすばらしい出来でした。あッ、もっとも新しい(はずの)ウォータースライダーも見える。

横道にそれまくりつつ辛うじて最後までたどり着いたところでそろそろおひらきといたします。
うはは、最も深刻なダンスシーンの話題が残っとるなあ(笑)。

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