舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

DREAMGIRLS

2007-02-21 23:08:20 | 徒然話
素敵すぎるカエルバイブル『カエラーたちのつぶやき』を発見したその日、映画『ドリームガールズ』を観てきました。
理由はもちろん私がビヨンセ・ノウルズ様を崇拝しているからです。
ビヨンセ様は、エロ&エレガントの女神ディータ・フォン・ティース様と双璧をなす理想の女性です。
女性としてのタイプはかなり違いますが、自分の美しさやアーティストとしてのクオリティを完璧に高めようとするプロ意識は共通しているお二人といえましょう。

そんなビヨンセ様がその高いプロ意識でもって「どうせやるならトップ(=オスカー)狙いで行く!」と宣言して主演した映画『ドリームガールズ』だったのに、いざ蓋を開けてみると、映画自体はいくつもノミネートしているにも関わらず、ビヨンセ様はノミネートすらしていないという結果に!!!
ビヨンセ信奉者の私はショックを受け、いったい何ゆえこんな事態になったのか知るためにも、ぜひともアカデミー賞発表前に見にいくことにしたのです。

映画の舞台は1960年代。歌手を目指した幼なじみの女の子3人組が、アメリカン・ドリームを実現していくサクセス・ストーリーです。
しかしその裏側、すなわち彼女たちが成功と引き換えに失っていったものや、音楽業界の影の部分なども描かれていきます。

特に不幸に見舞われたのは3人組の一人・エフィーです。彼女は圧倒的な歌唱力を誇り、当然のように長年リード・ボーカルを務めてきたのですが、いざメジャーデビューとなったそのとき、彼女はバックコーラスに降ろされ、かわりにメンバーの一人・ディーナ(こっちがビヨンセ様の役です)がリードに抜擢されることになりました。
理由はディーナの方が「テレビ受け」するスレンダーな体型と美貌の持ち主であったこと。また、当時はエフィーのようなパワフルな実力派より、囁くようなソフトな歌い方の方が流行ったという時代の風潮もありました。

そしてもう一つ、彼女たちを見初めてデビューにこぎ着けた新進プロデューサー・カーティスの心変わりも、エフィーにとって悲劇でした。
彼は当初、エフィーといい感じだったのですが、次第に美しさをましてゆくディーナに惚れてしまったのです。
そんなカーティスの個人的感情と並外れた野心の犠牲となり、エフィーはついに仲間うちから孤立し、一人去っていくことになりました。

一方で、ディーナをメインに据え、エフィーのかわりの女性を迎えた新生トリオは大成功。一躍時代の寵児となり、カーティスの立ち上げたレコード会社はドル箱スターを多数抱える大手に成り上がりました。
そのうえこいつはますます美しくなるディーナと結婚し、二人で豪邸に住んでウハウハです。

しかし、あっというまに心変わりして才能あふれるエフィーを捨てたことからもお分かりのように、こいつがどうしようもないイヤなヤツなのです。
成功のためなら手段を選ばないカーティスは、自分の考えを押し通し、意見の対立した仲間を片っ端から排除してゆきます。
それは奥さんのディーナに対しても同じです。彼女の気持ちはまるで聞き入れず、あくまでも自分に従わせようとするダメ亭主の代表状態です。

でもね、この辺りで思いましたよ。
そんなダメカーティスに逆らえないディーナもけっこうダメなんじゃないかと。
普段の強くカッコ良いビヨンセ様とは対照的に、彼女の演じるディーナは横暴な亭主に対し、結局は言いなりになってしまいます。
これはビヨンセ様にとって結構フラストレーションだったらしく、撮影後に作られたアルバムではたまったストレスが爆発し、かつてなく刺激的なリズムや挑発的なリリックが生まれたとか...。

それに引き換え、カーティスに捨てられ一人で生きていくエフィーの逞しくてカッコイイこと!!!

捨てられるときこそ泣いてすがったエフィーでしたが、結局はあんなダメ男に頼らず、一人で子供を育てながらクラブ歌手として歌い続けます。最高です。
ただでさえビヨンセ様すら霞むほどの圧倒的な歌唱力を発揮していた彼女。前半で見せたチャーミングさに加え、中盤以降で転んでもただでは起きない逞しさを見せられてしまったら、もう彼女の魅力に夢中です。

エフィーはかつて同じくカーティスに切られた老練マネージャーと手を組み、ついにレコード発売にこぎ着けます。
しかし、カーティスはそれを汚い手段で潰した上、その曲のパクリをディーナたちに歌わせてヒットさせました。

籠の鳥として生きてきて、そんな裏事情をまるで知らされなかったディーナでしたが、ある日ついにダメ亭主がエフィーにした仕打ちを知ります。
おまけにダメ亭主から「おまえの声は個性がないからいくらでもミキシングできて都合がいいんだ」とあんたはK室T哉か的なことを言われ、頭に血が上ります。
これでようやくディーナも目が醒めたらしく、今までカーティスがしてきた悪行をリークし、すがりつくダメ男を振り切って家を飛び出したのでした。
よくやったディーナ。でもあと10年くらい早くやれよ。

個人的には、これだけでは飽き足らず社会的に制裁を加えられ凋落してゆく末路を見届けたかったくらいイヤなカーティスでしたが、彼を演じたのはなんと名作『Ray』でレイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスなのです!!!
かたや稀代のジャズミュージシャン、かたやダメ亭主の悪徳プロデューサー。どちらをやっても素じゃないかと思うような演技に、ひたすら天晴です。
これじゃ、彼の要求したギャラが法外に高かったというのも仕方ない気がします。

でも、映画の配役が役者の印象をも変えてしまうというのは仕方のない事実です。
それでいくと、籠の鳥を演じたビヨンセ様より、圧倒的な歌唱力を見せつけた上に泣かせる役どころを演じたエフィー役の女優さんの方に軍配が上がったのは、不可避の成り行きなのかも知れませんね。

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